監督: 渡辺 歩
2021年公開
原作:西加奈子『漁港の肉子ちゃん』(2011年)
所要時間:1時間37分

 

本作は、西加奈子の同名小説をもとに制作された映画で、
とある漁港に住む親子とその周辺を描いた群像劇アニメ映画です。
独特な作画と表現、音楽や音の入れ方が面白く、
目に新しい色彩でいつの間にかどっぷり見入っていました。
そういった演出部分も素晴らしいのですが、
それに加えて本作の主人公である肉子ちゃんの魅力が一番大きいかなと思います。
 

恰幅の良い肉子ちゃんは人生山あり谷ありでいろいろ辛い経験もしてきたはずですが、
そんなことは微塵も感じさせない快活さがあってすがすがしいくらいです。
一緒に暮らすキクコとの関係や、
キクコの学校の友達関係などもしっかり描かれ、
全体的に「社会で普通と言われる人たち」からは
はずれたところにいる人物たちがメインに描かれていきます。
大胆かつ粗雑な面もある肉子ちゃんですが、
情に厚くとてもやさしい性格で、
観ているだけで何かが救われる気がしてくるから不思議です。