多分、好きな言葉は?座右の銘は?と問われたら「一期一会」って答えが、かなりの割合で出てくる。とても良い言葉だと思う。

誰だって、人と人との出会いは嬉しい楽しい大好きなんだけど、、、実際は、面倒くさかったり、中には不快でしかなかったりもする。

とはいえ、良くも悪くも、僕らの持てるエネルギーと時間の大半は“人”に費やしてる。或いは、喰われてたりする。

何だかよくわからん、“縁”って奴が、こんがらがって、思いもよらない事態になったりする……

ここ最近は、想定外の出来事が多いからかな?「袖触れ合うも多生の縁」という言葉が、やたらと脳裏をよぎる。

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娘によって生じた“縁”は、まだ、産まれて半年ばかりなんだけど、やたらと多い。

この子には、何だか引きの強さを感じる。

生まれ持った“アイカルディ症候群”は、ほぼ女児だけの障害だとの事。それは男児は致死性だからなんだけど、女の子を強く望んだ僕ら家族には、なんの因果か!?

この子が産まれたのは2014年11月28日。当初は障害に気づかず、クリスマス、年末年始の帰省なんかのイベントを楽しく過ごした。

この時は、たまに、しゃっくりをするくらいで、ウエスト症候群の症状も現れなかった……

多分、産まれたときから脳波は常に乱れてて、ただ、新生児すぎて症状として表に現れなかっただけかも知れない。

けれど、僕には、親族なんかへのお披露目迄は気兼ねなしにどうぞ♪って親孝行しようと突っ張ったんじゃないのかな?と思ったりしてる。

ソコからの落差はシンドイ事なんだけど、この子の診断が下されたのが年明けての1月末。そこから色々とコトが転がり出す。

まずは転院、転勤、転居、転校。転々だらけで書いてるだけで目が回るのだけれど、まあ、これだけでもう、出会いと別れのオンパレード!

高松の小学校のお友達、剣道の仲間、産院のママ友とのお別れ……子育て時代の千葉のお友達からの声援。それから、育児時代を過ごした大阪での再会。

転居先での新生活でも、小学校の同級生よりも先に仲良くなったのが、同じく難病を抱える子供達や、その兄弟達。

長時間病室の外で放置の長男次男が「病院行こ!病院!」って位に楽しく過ごせるのは、良いお友達のおかげで、非常に助かってる。

境遇が似てると、通じるモノがあるのかもね。……正に、むすめがもたらした縁。


一つ一つに素敵なエピソードがあるけれど、とても書ききれない。娘の障害がなかったら起こらなかった出来事。

それから、その間、アイカルディ症候群が2015年度から国の難病指定に加わってたりする。結構凄いタイミングなんだけど、僕らは「へぇ~」で終わり。

後々で多大な恩恵があると思うけど。



でも、一つだけ話しておきたい事がある。

今回のコロコロと転がり回る3月初旬。僕ら家族は、毎度の事ながら、ロクでもない会社のルールで、異動の内示から2週間で引っ越しせねばなかった。

転勤先の大阪へ物件を内覧に出掛けていた日、うまい具合に大阪のお友達と会食の時間を作れた。

久し振りの再会。近況報告は妻のLINEである程度済んでいたけれど、実際会って話すのってのは、やはり別格で、なかなか良いね。

特に嬉しかったのは、ごく自然に、昔と変わらない調子で僕らと娘に接してくれた事。きっと気を使わせたと思うけど、ソレを感じさせない優しさ……いい友達。

長男の幼なじみ達とも長い間ご無沙汰だったので、見違える程成長した彼女ら(何故か女の子ばかり)には驚かされた。

文句なしの美少女へ向かって、絶賛成長中のお友達は想定内なんだけど、ベビーせんべいをガシガシやってる位しか記憶にない、元気一杯のお友達が、正に女の子になってるのは衝撃だった。

そんな幼なじみの女の子が隣にちょこんと座って折り紙を始める。

「お、折鶴やね。上手やな」

「ココを揃えて、それからこーしてあーし……はい完成!」

スルスルと手際よく折っていくお友達に感心する。可愛らしい折鶴を僕にくれた女の子は得意そうにしてる。ママ友の一人が咳払いをした気がする。

「実は、渡したモノがあるの」妻が初産の産院で知り合った最初のママ友が言った。大きな紙袋を用意してる。

「はゆるちゃんの話しを聞いてね、皆で何か出来ないかなって話したの」

千羽鶴!!!

こんな時に僕ら夫婦ときたら、目をパチクリ、口をパクパクしただけで、気の利いたリアクションを取れなかったのは一生の不覚。

完全な不意打ちに、涙も無い言葉も出ない。ヘラヘラ笑って、有り難うと言えたのがイッパイイッパイ。

本当の感動って、瞬間的にはこんなもんかもしれない。

ママ友の声掛けに、大阪時代の顔見知りから、その友達までに輪が広がり、折鶴の会が出来て、つい先日完成したとのこと

で、どうやって高松へ送ろうかなと話してた折、「引っ越しで大阪行くよ、飯いこ、飯」って僕、ら家族がノコノコやって来た。渡す側もエラくビックリしたらしい。

感謝感激の僕らに「いいねん、ウチらも日頃は近くても逢う機会なんて殆どないけど、折鶴の会をキッカケに沢山集まれて、楽しかったよ。こっちが感謝したいくらい」

そんなカッコイイ事言われたら……もう、何も言えねえです。はい。

アレもコレも娘を中心とした縁。とても弱々しい娘だけれど、僕なんかでは計り知れない凄いチカラを持ってるのかも知れない。

彼女のこの縁の多彩さはきっと、前世でブイブイやってきたからだよ!?

袖触れ合うも多生の縁……ウチで娘を見守る1000の鶴達が、そうクチバシを揃えて言ってる様に見える。