随分と久しぶりに新入社員がやって来た。半日程の営業同行の機会に感じた感触は、一言で言えば「爽やか」だった。

いやいや、なかなか頑張って気配りしてる姿は健気だし、優秀さも垣間見られる。気の毒な程厳しい競争から勝ち抜いて来たんだからね。そりゃそうだ。

ゆとり世代とか悟り世代とか……僕らはどうもカテゴライズしてモノを理解しようとする。

玉と石がごちゃまぜの世の中だから、解かり易い箱が無いと困るからね。しかも最近は、玉石だけでなく、飴ちゃんとかガジェットとか、もしかすると宝珠とか、UMAとかまで混ざってそうで、僕らの理解を超えてくる。

だから、カテゴリーにハメないと怖くてかなわない。「そう、車とか興味無いのか……」とどっかのやさしいメディアが用意してくれた箱が見つかって安心する。

僕らの時は「ロストジェネレーション」とか言われた(後付だった?)けれど、すっかり、シットリ世間に混じってしまって、大きな箱の隅っこでヌクヌクしてる。

箱の外は、想定外って怖い。 


ガンバレ新人!どうか僕らのちっぽけな箱なんか突き破っておくれ。(他力本願)


そんな新人達によって時代が変わるかも知れないと感じながら、真逆の古い話しを思い出す。僕が社会人一年生の時の事を……

新卒で入社したのは中小企業だけど、ソレなりの業歴でシッカリとした基盤のある会社だった。そこでの営業職として諸々の経験を積んだんだけれど、正に新人時代に実直な上司の言葉が、

「お前に 無駄な 仕事は 無い」

まあ、新人だから、デリバリーとかで一日が終わったりする様なゆる~い仕事がある。

確かに大切な仕事だけど、効率とか費用対効果とかは、無能な新人とはいえ、貧乏性の僕としては気になるところ。

そんな僕への一言だった。

浅はかな僕は「はぁ」と頷いてはみるけれど(なにを仰るウサギさん)位に捉えていたと思う。

でも、今、この言葉を噛みしめている。新人に無駄打ちなんて無い。

お局様の落っことしたボールペンを膝付いて拾ったらいい。エライさんとランチを一緒して、愛想笑いでクタクタになったらいい。得意先を怒らせて上司と謝りに行けばいい。

海岸で肩並べ明日に向かって石投げ♪って、そんなお馬鹿な事もやってみたらいいと思う。

何が、どんな所にキイてくるか解らない。結果、全て徒労になるかも知れない。

けれど、バタフライ・エフェクトみたいに、小さな蝶の羽ばたきが嵐を巻き起こすかも……無駄だと思う事が、実は後キイてくるかも知れない。

このブログだって、蚊の羽ばたき位のささやかさでも、ひょっとしたら、世界の裏側のセクシーな美女のスカートをハラリとめくるかもしれない。

そう思うと少しモチベーションがあがる。


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万能薬と期待してた2週間のACTH治療の効果は、残念ながら見られ無かった。

でも、娘と僕らの頑張りが、いつか、何処かで、何かにキイていてくるかも知れない。娘は、まだ障害の新入社員みたいなもんだからね。

「お前に 無駄な 仕事は 無い」とあの時言われた言葉を噛み締め、すがりついてみようと思う。