村上しいこ @shiiko222 

 「夏に泳ぐ緑のクジラ」


 よく、高校入試や中学入試に出題される作家さんの作品です。小学校低学年向けの児童書から中高生向けのヤングアドルト作品までを数多く執筆されています。

 タイトルと表紙から、夏にピッタリのファンタジー小説かなと読み始めました。ファンタジーではありましたが、表紙の爽やかさとは逆の重めのヤングアダルトでした。家庭環境や進路に悩む中高生におすすめの作品です。


 親に恵まれない中学3年生の男女3人が主人公です。


両親とも心の病気で離婚になり、離島の祖母の家に1人預けられる予定の少女。


DV気味の父親に嫌気がさし、不倫・駆け落ちから自殺した母親という家庭の、野球少年。


明るい母親の一言でイジメにあう、家が食堂の秀才少女。


 それぞれの家庭環境に悩む少年少女達の前に「つちんこ」という子ども姿の妖怪(妖精)が現れます。主人公達のサポートをするわけでもなく、現実社会の辛さを見せつけて・・・、


 セオリー通りの優しい妖怪ではない所が、村上しいこ作品ですね。主人公達の親も、子供時代は悲惨な家庭環境で自分の子供への接し方が分からないという負の連鎖状態がリアルでした。以前話題になった「親ガチャ」を思い浮かべました。その中で成長していく主人公達の意地らしさ、健気さ、強さが際立つおすすめの本です。


 「少年達の成長」と「夏の離島」、「妖怪」が素敵で新海誠監督で映像化して欲しいくらいです。中高生と保護者におすすめの作品です。