桜庭一樹「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」。


 衝撃的な作品でした。山本弘 の「BISビブリオバトル部 」のミステリー回で紹介されていたラノベを何気なく検索していて引っかかった作品です。ラノベのレーベルからリリース後に本体の方で再リリースされた作品で興味がでました。米澤穂信の「氷菓」もその流れの名作ですね。



 今作は、家庭内の児童虐待と、引きこもり問題、貧困問題、障害者問題、スクールカースト問題など、子供達を取り巻く不幸で不穏な課題が詰め込まれた青春小説です。

 ただ、動物や子供の死が出てくるので、かなりショッキングな作品で読むのに注意が必要かもしれません。よくラノベで出版したなと感心します。ミステリー要素もありますが、風味程度で吹っ飛びます。


 自分の貧困、不幸にどっぷり浸かった主人公の少女と、親からの虐待で現実から空想に逃げている少女が過ごす、短い夏の一幕が美しく悲しいです。

 物語りのスタートが、虐待を受けている少女の死亡記事からの始まる衝撃の展開です。


 

 子供、大人どちらにも必ず感じるところがある名作だと思います。200ページ未満の作品で読みやすいので、ぜひ読んでいただきたい作品です。