山吹静吽「迷い家」。


 日本の昔話は好きですか?昔話に隠された、怖く悲しい真実を知っているでしょうか。


 今作は、悲しみを持った霊宝(呪物・呪具)と太平洋戦争下で人生が狂ってしまった軍国少年と妹の悲しいホラー小説です。


 戦前戦後を絡めて、戦争下の狂気と翻弄される人々の描写がとにかく悲しく怖かったです。妖怪や霊宝を駆使した戦いよりも、よほど怖いですね。戦争の怖さを直接描く作品もありますが、直接でない分、心に響く物語もあります。


 異世界(迷い家)に迷い込んで戦争に絡む作品では、富野由悠季 の「リーンの翼 」があります。入手が難しいですが、おすすめです。

 悲しさと妖怪の割合だと藤田和日郎 の「うしおととら 」「双亡亭壊すべし 」が近いです。

 霊宝(呪物・呪具)のカタログ的な説明も大量に出てくるので、最近流行ってる作品を読む上でも参考になるかもしれません。

異界や戦前の都市伝説が満載なので宮澤伊織「裏世界ピクニック」 や高橋克彦や恒川光太郎 の作品を好きな方にもおすすめです。