米澤穂信「冬限定ボンボンショコラ事件」。


 高校入試に出題された作家さんの作品です。(入試出題は古典部シリーズ)


 古典部シリーズと同じ高校生が活躍する「小市民シリーズ」の完結編です。古典部はまだ未完なので、こちらは完結でスッキリと同時に安心しました。


 自らの洞察力や推理力を隠すことを決めたのに隠しきれず事件に入り込む小鳩君と小佐内さんコンビの苦い出会いの物語りです。


 このシリーズは、高校生が主役で殺人事件などは出てこないのに妙に暗く後味の悪い雰囲気を甘味で中和するのが売りだと思っています。

 その暗さや後味の悪さの根本が、最終巻で明らかになりました。未消化の出会いの事件とリンクする現在の事件が入れ子式に絡んでミステリー小説として楽しめました。



 小鳩&小佐内コンビの未来がお洒落でロマンチックに描かれたラストは納得の最終巻でした。


 シリーズを全て読んでも5冊なので中高生におすすめです。また、古典部シリーズ(氷菓)に続き、アニメ化されるようなので、アニメ好きで受験が気になっている中学生には長文に触れる機会としてもおすすめします。