我孫子武丸「凜の弦音」。


 昨年度の青森県高校入試に出題された作品の前巻です。(出題は2巻目の残心)


 表紙とタイトルからわかる通り弓道部の青春小説です。連作短編集なので読みやすくおすすめです。昨年度は、幾つかの県で弓道に関する作品が出題されました。流行りなんですかね?


 作者の我孫子武丸さんは、ミステリー作家なので、入試に出題は意外でした。今作も、一話目が殺人事件で、主人公の女子高生が鋭い観察眼で犯人を特定します。入試向きではありません。



 ですが、二話目からがこの作品の真骨頂です。弓道に向き合う主人公と、それを取り巻く部活の仲間、恩師と部活の顧問、他校のライバルと青春小説をしています。

 弓道に関する知識も学べ、「道」に関する捉え方などしっかり読ませてくれます。入試に関係なく中学生におすすめします。



 作者の我孫子武丸さんの作品は、中学生のときにミステリー好きの祖母の本棚から借りて読んでいました。意思を持った腹話術人形が事件を解く「人形シリーズ」など6,7冊読みました。どれもコメディ・ミステリー小説だったので、真面目に弓道を突き進む青春小説「凜の弦音」は驚きでした。我孫子武丸作品を知っている保護者の方にも意外な作品ですのでおすすめです。