宮部みゆき「さよならの儀式」。

 宮部みゆき初のSF短編集です。


 宮部みゆき作品は5作ほどしか読んでいないので、「らしさ」について書ける程ではないのですが、らしくない新鮮な作品でした。


 近未来・ロボットが当たり前の世界や異世界からの侵略者、黒いキリスト、伊藤計劃 作品のトリビュートなどバラエティに富んだ内容でした。表題作のロボットの話は、手塚治虫 の「火の鳥」を思い起こしました。ほんと面白いです。


 お気に入りは、「保安官の明日」です。

 クローズドの世界が何周もして、あるポイントで終わりを告げる様子は、大好きな荒巻義雄 の「時の葦船」や笠井潔 の「エディプスの市」を思わせる王道のSFでした。良い意味で、令和の時代にこの作品が読めたのが嬉しいです。


 SFやファンタジー好きな中高生には新鮮に、大人には何処か懐かしい、おすすめの本です。