辻村深月「スロウハイツの神様」。


 高校入試に出題された作家さんの作品です。下巻では、怒涛の伏線回収が進みました。上巻での気になる部分が、スッキリと回収されて思わずニヤりとなりました。なんて優しい物語なんだろう。やはり、「凍りのくじら」を思わせる素敵な小説でした。


 スロウハイツのみんなで原稿を完成させる部分も、鉄腕アトムのアニメをトキワ荘の面々で完成させた話へのオマージュかなぁ。藤子不二雄ファンの辻村深月さんならではのエピソードですね。


 何かを生み出す「創作」の難しさと喜びをこれでもかと叩き込んでくる、とっても優しい物語です。中高生には特におすすめします。