教えるとは……、学ぶとは……
教育を語る時に、必ずと言ってよいほど引かれる名句があります。
あまりにも有名すぎて、ことあらためて引用するのも気が引けるのですが、本年度最後のメッセージとして、やはり記しておきたいという誘惑に負けます。
それは、フランスの詩人、ルイ・アラゴンの詩集『フランスの起床ラッパ』のなかの「ストラスブール大学の歌」という詩にでてくる句です。
ストラスブール大学は、戦火と弾圧を避けて、中仏、オーヴェルニュ地方のクレルモン・フェランの地に疎開していたのですが、1943年11月、ナチの手によって大学の教授・学生達が銃殺され、数百名が逮捕されるという事件が起こりました。
アラゴンはその死を悼み、抗議した詩の一節です。
冒頭、「陽の色に輝くカテドラル」とあり、二連で「御身の薔薇形窓の思い出を、いっぱいつめた背負袋を肩に、それはながい別れとなる」と歌い、そして、
教えるとは、希望を語ること
学ぶとは、誠実を胸に刻むこと
続けて、「彼らはなおも苦難の中で、その大学を再び開いた……」(大島博光氏訳)と。
いかなる困難、苦難の中にあっても、教えるとは、ともに未来と希望を語ること、また学ぶという営みは、まことをこころに刻み込むことなのだと謳います。教えるとは、学ぶとは、その意味を時代を超えて私たちに問いかけてきているようです。
このことばを、「青森風信」本年度最後のメッセージとして皆さんにお送りいたします。
平成27年3月31日
