無事に頸部郭清術を終え、病理検査結果は 節外浸潤無し。
これで次のステップに進むことができます。
ここで、リンパ節に節外浸潤があった時のお話を、、、
頸部郭清で摘出したリンパ節の病変が、節外浸潤している場合は
再発リスクが高い ので、
浸潤箇所周辺に
放射線を照射し、
浸潤しているがん細胞を、
焼き尽くす必要があります。
そのため、p16陽性中咽頭がんの治療において、
原発の手術前にリンパ節に節外浸潤が見つかった場合は、
通常、原発の手術は行いません。
これは、頸部(首)に広く放射線を照射する必要があり、
放射線照射を回避する事を大きな目的
としている、ダビンチによる中咽頭の原発切除の意義が弱くなるためです。
また、中咽頭がんにおける頸部郭清の対象となるリンパ節は
原発に隣接している事が多く、
当該リンパ節周辺への放射線治療によって、
そのまま中咽頭の原発治療ができると考えられます。
(照射野は浸潤箇所だけではなく広くなると思われます)
節外浸潤の有無は、最終的には「切ってみないと分からない」ですが、
リンパ節が「動くかどうか」と、画像診断により、ある程度予想可能です。
首の外の皮膚の上から病変リンパ節を上下左右に押したり回してみて、
しっかり動く場合は節外浸潤していない可能性が高く、
がっちり引っ付いて動かない場合は節外浸潤している可能性が高いようです。
私の話に戻ります。
手術直前に造影MRIや造影CTで測定したリンパ節の病変のサイズは29.6㎜で、手術直前でもよく動いていました。
画像を見た医師たちも「浸潤してなさそう」とのこと。
そして、病理検査の結果、
節外浸潤無し! 何度もすみません
サイズは4cm
なんと、画像検査時より35%も大きかったようです!
そして、奥に映っていた10㎜のリンパの腫れは陰性だったようで、
この結果、私の中咽頭がんのN分類は正式にpN1となりました。(p16陽性です)
pN1の「p」は"pathological(病理学的)"の略号で、病理検査の結果という意味です。
つまり、pN1とは、切除・摘出した病変を病理検査した結果、
N1だったとの意味です。
一方で、病理検査を実施していない場合は、
clinical(臨床的)の頭文字である「c」を、
TやNの前にが付けます。
手術前に言ってた「T1」や「N1」というのは、
言い換えれば「cT1」「cN1」という呼び方で区別できます。
論文ではTNM分類にpやcが付いているので、
不思議に思った人もおられますよね!
転移した病変リンパ節のサイズ、節外浸潤の有無は治療を選択するうえで非常に重要な因子です。
節外浸潤が有りそうな時や、病変リンパ節が大きい時に、安易に治療を選択する事は危険かも知れません。
化学放射線と頸部郭清(+原発手術)、どちらか一方だけで治療が終わる場合もあれば、
導入療法とよばれる抗がん剤治療を先行することもあれば、
化学放射線と頸部郭清(+原発手術)の
どちらもやる場合もあります。
どちらの治療も必要になった時、
どちらの治療が早かったかの順番によってリスクが大きく変わり、
治療が成功しても、
後遺症が大きく違うこともあります。
どちらが良いかはその時しか分りません。
もしかしたら、その時になっても分らないかも知れません。。。
医師としっかり相談して最良の治療を見つけて欲しいと思います。
今日書こうと思っていましたが、
ダビンチは次回に!
続く