僕:グアトは、久しぶりに日本に帰ってきた。ロジの定期健診のためだ。彼女は三か月ほど前にドイツでうけた検査でちょっとした不具合が見つかったらしい。検査のためロジは、情報局本部ニュークリア近くの病院に入院している。トランスファのクラリスからロジの診断データが漏洩したことを知らされ病院に向かった僕は、病室で彼女の姉のスズコと名乗る女性から、ロジはクルマを取りに行っていると聞く。待っている間にロボットに襲われたが、二人してロジのクルマに合流し事なきを得た。ロジが狙われたのは、彼女が新種のウィルスに感染していたからのようで、彼女の濃厚接触者である僕も、後日、感染していたことを知るのだが……。
ロジとグアトが、未確認ウィルスに感染?
濃厚接触者?
時節柄やなぁ。
なんて思ってたので、全然気づかなかったです。
不覚。
しかし、ネタバレになっちゃうので、そこは自粛します。
もっとも私的には、そこよりもドクタ・マガタとドクタ・クジ・マサヤマ、サエバ・ミチルとクジ・アキラ、そしてロイディの方が、気になります。
それから、ケン・ヨウの遺体がキョートで見つかったことも。
こんなとこにリンク貼るなんて「百年シリーズ」再読したくなるじゃないですか。
終盤近くに、シキ(二百五十歳)とグアトの対面シーンで「共通思考」について語るシーンはあるのですが、物語全般としては地味かな。
二百年前?の四季と犀川先生を思い出します。
グアトって、犀川先生の子孫だったかなぁ。
それらしき伏線があったかどうかも覚えてないけど、二人の会談にヤキモキするロジは、まるで萌絵やね。
同じパターンやん。
歴史は繰り返す?
では、グアトも……。
簡単に好きな場所へ行き、おもしろい体験ができる夢。
それを、バーチャル以前から、誰もが苦も無くやってのけてる人間の脳ってスゴイ。
でも、それを言うなら思考は、もっとスゴイんちゃう?
夢は、自分の思う通りにはできひんけど、思考なら……。
で、「共通思考」なのか。。。
いや知らんけど。
だんだん複雑になってきて、ついていけてないあほ頭が恨めしいです。
そして、ウォーカロン・メーカー最大手、中国のフスが、新しいタイプの人工細胞および人工臓器を発売すると発表します。
「ラストタイプ」と命名された商品は、体内に入れることで、全身の細胞に効果が広がり、人類最大の課題である生殖不能を解消できるという画期的なものです。
予約受付が開始されるのですが……。
疾病や老化に抵抗してきた技術が、医療です。
あらゆる疾患は自然現象で、病気になり、衰弱し、死に至るのは自然なことです。
なのに、それらを防止するため、言い換えれば不自然な状況を作り出すために、医療技術を発達させてきたところ、子どもが生まれなくなった未来という設定です。
その人口の減少による不具合を、ロボットやウォーカロンや人工知能やトランスファを作り出すことで凌いできたものの、やはり子どもが生まれないという不自然には、全力で抵抗している人間。
そして、作られた細胞を入れるという不自然な行為に及ぼうとするのも、また人間。
確かに、「マイナス」×「マイナス」は「プラス」になるけれど、「不自然」×「不自然」=「自然」は、成り立つのかしらん。
なんだかなぁ。
「WWシリーズ」も、これが7冊目。
徐々に、まとめに入っていますね。
どんな着地をするのかなぁ。
また、逃げられそうな気もするけど……。
今回、シキが、なんかソフトになっているように感じました。
グアトが、クラリスとの会話のなかで、日本国マガタ・シキトラウマ説を披露してくれているのですが、ラストに向けてシキのイメージに修正いれてきたのかなぁと思いました。
あの事件は、衝撃的でしたもんね。
生きものっていうのは、死ぬか生きるかで綱渡りしているような存在なんだよ
【おまけ】
◆記憶
グアトが、食堂のシステムについて、どうでも良いことなので、まったく記憶に留めていなかったと言っています。
これって、ホームズと一緒やん。
なるほど、賢い人は皆そうなんか。
◆トランスファの恩義と友情
そもそも、トランスファとは、マガタ博士の作ったプログラムから発展してできたものだそうです。
初期においては、一般的な武器と同じで、引き金をひく者の側として働くものだったのが、学習を積み重ねていくことにより生まれた価値観から、生みの親を尊重するということが自然に生まれ、すべてのトランスファは、マガタ博士に恩義があると、トランスファであるクラリスが話しています。
そして、グアトに対しては、友情を懐いているのだそうです。
これも、学習の成果でしょうか。
いつまでたっても、対立が無くならない人間は、学習が足りないのかもしれません。