見返しから既に始まっています。
いいえ、表紙からかな。
タイトルの書いてある標題紙がありません。![]()
足の長いクモのような、ゴキブリのようなものたち。
そして、ヘビのように忍び寄る陰。
それらが森を抜けると、黒い鳥と共に一人の男のもとへ……。
もう、ぞわぞわします。
戦争は、日常をずだずたにする。
「進行していますね」と耳元でささやかれる病気のように。
上記のように「戦争は、……」で始まる17の文章と、不気味なダークトーンの絵で構成されたこの本は、ポルトガルの詩人、作家、戯曲家、ジャーナリストのジョゼ・ジョルジェ・レトリアと画家である彼の息子:アンドレ・レトリアの合作による絵本です。
最初から最後まで、禍々しい雰囲気に充ちています。
戦争は、憎しみ、野心、恨みを糧とする。
怪しげな虫の影は、軍服姿のような男の胸へ這いあがり、仮面をかぶったその男は、山と積まれた書籍に火
を放ちます。
戦争は、人びとを悲しませ、押しつぶし、黙らせる。
戦争は、痛みの機械だ。
あらゆる怒りを生み出す、邪悪な工場だ。
量産された戦闘機は広場を埋め尽くし、やがて空へ。
顔を持たない兵士たちの整列を前に、栄光を語る指導者。
戦争は、廃墟の町を支配するのが好きだ。
町を襲う
空爆。
戦車とともに銃を向ける兵士たち。
そして、倒れ伏す人、人、人の影。
その数、50,100,200,300,400,……。
途中で数えるのは、やめた。
残るのは廃墟のみ。
戦争は、沈黙だ。
「戦争は、人びとを悲しませ、押しつぶし、黙らせる。」
しかし、悲しくて、押しつぶされても、黙らない人がいる。
この本をつくった人のように。
それが、
希望。
私たちが、「何も聞かない、何も見ない、何も感じない」ことのないように。![]()
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