神戸拘置所に収監されていた少年死刑囚:鏑木慶一が脱走した。少年は、一年半前、十八歳のとき埼玉県熊谷市に住む一家三人を殺害した罪で、死刑判決を受けていた。その後、名前と顔・風体を変え、さまざまな場所で潜伏生活を続け……。
良くも悪くもエンタメで、おもしろかったです。
文庫本で600ページを超える長編なんですが、文体が読みやすくてページが進む、進む。![]()
潜伏先や仕事を、
東京オリンピック施設
の工事現場の作業員
➡ ライフニュースを発信するメディア会社:(株)メディアトレンダーズの
在宅ライター
➡ 菅平高原のスキー場
の旅館『山喜荘』の住み込みバイト
➡ ミノリ製菓
のパン工場の派遣パート
➡ ![]()
住宅型有料老人グループホーム:アオバのパート職員
と変えていくのですが、3Kで条件はすこぶる悪いけど、偽名で働ける所って、いろいろあるんだなぁと驚きました。
まぁ、それだけに、いろいろ問題アリなんだけど。
彼には、ある目的があり移動をしているのですが、行く先々のエピソードで、鏑木慶一という人間が見えてきます。
それは、どれもこれも、凶悪な殺人犯という印象からは程遠い、良いイメージしか持たないような行動で、彼と関わった周りの人間は、いつしか彼のファンになってしまうほどです。
幼い時に両親を亡くし、施設で育った彼は、その年頃の者なら知っていそうなことにも疎く、初めて経験すること、飲酒、リフトにスノボに対しても、素直に喜ぶところには好感が持てます。
そして、持てる知識を駆使して、労基法違反や、新興宗教と連動した詐欺事件を暴露したり、交通事故の通報まで、人としてあるべき姿を示してくれます。
自分のこと考えたら、そんなことやっとる場合とちゃうやろと思わなくもないほどです。
まぁ、それが原因で移動を余儀なくされることにもなっているのですが。。。
だって、殺人犯で脱獄囚なんですよ。
身元が割れたらこまるでしょ。
でも、非常時に、助けを求める
ところって、やっぱり110番とか119番なんですよね。
わかっていながら、困っている人には、手を差し伸べねばすまない性格。
というか、たぶん、これが常識的な行動。
そんな彼は、本当に凶悪な殺人犯
?
なんて思いますよね。
当然、彼を身近に見る人々は、彼の正体を聞いて驚きます。
そして、それを知ったときは、彼との別れのときになるのです。
う~ん、なんかこんなアメリカのドラマあったよね。
もしも、もしも、私だったら。。。
と考えさせられました。
通報するのかなぁ。
それとも……。
いや~、そーゆーとこ鈍いから、気づかへんかったりして。。。
それはそれで、アカンやん。![]()
【おまけ】
◆鏑木慶一の偽名
- 桜井翔司 (介護スタッフ)
- 遠藤 あだ名:ベンゾー (現場作業員)
- 那須隆士 (在宅ライター)
- 袴田勲 (旅館の住み込みアルバイト)
- 久間道慧(ひさまみちとし) (派遣パート)
痴漢の冤罪で職を失った弁護士さんが登場するのですが、彼の名前が「渡辺淳二」。
ここから連想したのが、作家の「渡辺淳一」。
なので、「桜井翔司」は嵐の「櫻井翔」?から採ったのかなと単純に思ってました。
ところが、「袴田」という苗字の出現で、もしかして……と思い、それぞれググって
みたところ、それらしき実在する冤罪事件がヒットしました。![]()
![]()
- 桜井昌司 「布川事件」
- ヒットせず
- 那須隆 「弘前事件」
- 袴田巌 「袴田事件」
- 久間三千年(くまみちとし) 「飯塚事件」
記事一覧をクリックの上、テーマ別記事一覧の選択で、テーマ別のタイトルの詳細が表示できます。