トランプ大統領は先の総選挙の終盤、高市首相と自民党、日本維新の会の連立政権への「完全かつ全面的な支持」をSNSで表明した(朝日新聞2025-2-7)。外国の選挙で特定の陣営を支援するなど普通ならあり得ないことだが、トランプ大統領は内政干渉もいとわない。これまでもハンガリー、アルゼンチン、ブラジルなどで自分に都合のいい政治家への支持を表明してきたし、昨年はドイツの総選挙を前に、バンス副大統領が極右政党への支持を表明した。こんなことをしているようでは、ロシアなどがこっそりアメリカの選挙に介入することも批判する資格がなくなってしまう。
それにしてもトランプ大統領が高市首相をそんなに買っているとは知らなかった。
昨秋、高市首相が台湾有事発言で中国の怒りを買ったときは、トランプ政権は日本を支持する発言を控えていたことは記憶に新しい(現代ビジネス2025-12-3風傳媒日本語版2025-11-15(日経を引用))。問題はまだ終わっていない。さまざまな日中交流イベントは中止や延期が続いているし、レアアースをはじめ経済的な締め付けをしてくる可能性も捨てきれない。「完全かつ全面的な支持」しているなら、今からでもいい、高市首相に助け船でも出してくれればいいのに。

だがそうはならないだろう。総選挙での高市首相の支援をしたのはトランプ大統領にとって何のコストもかからないからだ。中国が重視する問題で日本の肩をもてば、米中関係にも余波が及びかねない。トランプ大統領はそうした代償を払ってまで日本を支持することはしないだろう。
ことは台湾有事発言問題に限らない。今後日中間で対立があったとき、トランプ政権が日本を見捨てる可能性があることは常に意識しておくべきだ。安保条約があろうと安心できたものではない。そんなトランプ大統領に対してせっせと貢ぐことに意味はない。節度も常識もかまわず自分の得になることしかしない相手に対しては、こちらも「ディール」に徹するべきだ。政治家たるもの、現実を見据えてほしい。