義弟がブラジル人の血をひいた彼女を連れてきた。
私はこれまでの人生の中でブラジルの血をひく人と接したことがなく、
彼女との出会いはそれはそれは衝撃的だった。
ブラジルというかもしかしたら、彼女自身の性格かもしれないが、
恐ろしいほどテンションが高く、考えるよりもまず行動派。
感情をそのまま言葉にし、行動にする。
日本人がよく使う、言葉の裏側というのは、彼女には存在しないような気がした。
そして何より驚いたのが愛情表現のオープンさ。
彼女と会ったのは、旦那の実家だったわけだが、人様の家のリビングで
それはそれは堂々と熱くハグし、額をこすり合わせ、頬をこすり合わせる。
おなかをつつき合う。
日本人である私は、その光景を見るのがなんだか気まずくて下を向いてしまった。
他人がいちゃつく光景を無意識に「はしたない」「破廉恥だ」と思ったとき、
ああ、私は日本人なんだな。とそう思った。
きっと彼女の国、家では、どんな場所でもハグしたりキスしたりするのが普通なのだろう。
それは「はしたない」ことでも「破廉恥」なことでもない、普通のことなのだろう。
ブラジル人の彼女は、私たちにブラジル料理をふるまってくれた。
ふるまってくれたといっても、彼女は途中で料理に飽きてしまったので
私や義弟も途中から一緒に作ったのだが、
そのみんなで作ったパステウという料理がとてもおいしかった。
あと、日本の反対側で食べられている料理を食べていることになんとなく感動を覚えた。
世界で一番離れた場所であるブラジル。
理解しあえないところもあるだろうが、一緒に「おいしい」と共感しながら食べられる料理もある。
彼女と良い親戚関係が築けるかは正直謎だが、
でも一緒にパステウを「おいしい」と言えたことは忘れずにいよう。