最後に今春からシンプルになった英検CBT(パソコンで行う英検)についていろいろと思うことを述べさせていただきます。まず、当塾の5月英検CBTの受験結果として、中3生が準2級、高2生が2級に合格しました。私は、合格の報告を受けるまで全く知りませんでした。最近ではCBTで受けて合格したら報告するという生徒が増えてきました。二人の話によると、ライティングは今春からパソコンに打ち込むタイピングと用紙に書く筆記とが選べるようになったそうです。二人とも用紙に筆記を選択しました。また自分の都合に合わせて受験できます。これからですと英検第2回は10月ですが、CBTでは9月と11月にも実施されますので自分の側で選べます。そして何よりも一次と二次が同時に行われるため1日で済むので負担が少なかったというのが二人の共通した意見でした。そこで私は、これまで準2級にCBTで合格した他の在塾生にも、なぜCBTで受けたのかと聞いてみました。すると、生徒の言葉をそのまま引用しますと「かなり前のことになるが、3級の1次は学校で受けたのでよかったが、2次試験会場まで以外と時間がかかった。さらに指定時刻に行ったにも拘らず、待機室にはすでに多くの生徒で混み合っていて、試験までやや少し待たされた。また中学生だけでなく小学生や付き添いの小さな子連れの母親とかもいて、静かに落ち着いて待つ雰囲気ではなかった。家に帰って母親にありのままを話すと 、しばらくして準2級はCBT受験を勧められた。CBTは2次試験から始まり、1次試験の終了した時点で申し出て退室できた。無駄な時間も生じることなく1日ですべて終わった。今2級もCBT受験を前提としたパソコン教材で準備を進めている」と答えてくれました。(追記)もう一つの例は、同じくCBTで準2級につい先頃合格した中3の女子生徒で、3級の対面の2次試験の際には、残り時間ばかりが気になり上手く答えられなかった。その事を先にCBTで準2級に合格した友人に相談したところ、「CBTだと答え始めてから残り時間が表示されるから、落ち着いて答えられる」とアドバイスをもらった。実際その通りだった。それと今回は使わなかったが、もう一度質問を聞くというボタンがあった。2級の時は使うかもしれない。とCBT受験の感想を述べてくれました。

また、CBTの経験のない他の生徒に9月のCBTを勧めたところ、生徒の言葉をそのまま引用しますと「それってちゃんとした英検なんですか。私は10月は忙しいので1月の第3回を学校で受けるつもりです」という意見が返ってきました。英検HPには同じ資格と明記されています。また、他の生徒は「パソコンは使い慣れていないので操作に時間がかかるし不安。マークシートの方が安心」という意見でした。今後CBTの受験者が増えるにつれてCBTの認知度も高まってくると思いますが、現状ではテストは鉛筆を握って受けるものという筆記試験に根強い支持があるものと思われます。しかし文科省のHPでは、現在中3と小6対象に行われている全国学力テストも2025年度からまず中3がその翌年に小6がパソコン受験(事情により紙でも可)になり、また文科省のすすめるGIGAスクール構想により次回の教科書改定となる2024年度からデジタル教科書が本格導入され、紙の教科書との併用になる模様です。文科省による学校でのパソコン導入化は更なる勢いで進みそうです

さらに受験対策においても、来年度から都立入試でスピーキングが加わることも影響しているのかもしれませんが、学校でも従来型の講義の授業に加えて、イヤーフォンマイクを付けてスピーキングテストを想定した授業も増えてきました。英会話のように何度かやり取りをする形式ではなく、英文で流れてくる問いに対して一度だけマイクに向かって答える形式です。生徒は問題の指示を聞き、日常生活についての質問に答えたり、パソコンに映る英文を読んだり、絵を見てマイクに向かって英語で場面を説明したりして、練習を積んで時間に追われても答えられるように慣れていきます。英検CBTもこの方式とよく似ています。私は、今後はパソコン受験に慣れるためにも、3級以上はCBT受験を生徒に積極的に勧めたいと考えてますが、無理強いもできませんので最終的な判断は生徒にまかせるつもりです。
またその一方で、文科省の「大学入試のあり方に関する検討会議」は2025年以降の大学入学共通テストにおける英語民間検定試験と記述式問題の導入は困難だとする提言案を大筋で了承した。という記事を見つけました。大学入試は現行の試験形式(筆記とリスニング)が継続されることになりそうです。

まとめとして、英検2次試験やスピーキングテストは、今後の自分の英語学習の方向性や普段の勉強に生かせるヒントを与えてくれているように思えます。実際にスピーキングテストに類似した問題集を当塾の中3生に2題解いてもらいました。まず絵を見て場面を説明させる問題で、問題の指示が活字となっている以外は同じです。ここで大切なのは、準備時間と解答時間が予め設定されていることです。私は練習のためやや長めの各1分としました。それでも生徒は答えだすと、途中で詰まって考え込んでしまいます。2分経過後に私は言い切ってほしいと思い「out of を使って」とヒントを与えると、すぐに「そうか、get out of ,take out of を使えばいい、put はダメですよね」と言うので、私は put into で 逆の意味になることを辞書の例文で確認しながら説明しました。そしてもう1題は、どこに行ってみたいか。その理由も述べよ。という問題で、準備時間と解答時間を各30秒にしました。「2年前にハワイに行って泳いだり買い物をしたが、また行きたい」と答えてくれました。しかしここで大切なのは、2年前と、はっきりと過去を表す語句があるときは現在完了は使えないということです。正しくは、I have been to ではなく I went to Hawaii two years ago. となります。

生徒に感想を聞くと「普通に知ってることが思い出せない。悔しいけど楽しい」と答えてくれました。私は、スピーキングテストは、暗記テストではなく活用テストだと思います。文法や語句の使い方を普段どれだけ大切にしていますかという問いかけです。口からポンポン弾むように英語が出てくるようにするには、相手が普段から使っている表現を丸ごと覚えることです。英語独特の表現をたくさん覚えることです。自分の知っている単語と文法を駆使して英文を作っても、相手に通じなければ意味がありません。その場合、普段英語を使ってる人なら、いくつかに分けて、適切な慣用句を用いて話すはずです。相手も普段自分の使ってる英語表現なので理解できます。私は、この相手が分かる表現を自分が使うように心がけることが表現力を伸ばし英語の運用力を高める秘訣ではないかと思います。単語や文法を覚えることは、文を組み立てるために大切ですが、同時に慣用表現を数多く覚えて使いこなせるようになることも、表現力を豊かにし、お互いの理解を深めるために役立つのではないかと思います。私は英検2次試験の対策の時に「なるべく文を短くして。7語以内」と言ってます。また、この対策を通して学校の定期テストの英作文で、文構成が満点で good ! をもらった生徒がいます。相手に通じる話し方をしよう、書き方をしようという普段の心がけが評価を得たものだと思います。