オンライン授業を始めて早くも4ヶ月が経過し、オンラインと対面授業の違いについていろいろやってみて想うところがあります。それらを申し上げたいと思います。まず、当塾の生徒にオンライン授業についての意見を聴いたところ、「家では生活音や弟や妹の声がして授業に集中できない」とか、「家族に聞かれるのがはずかしい」という意見で、あまり乗る気でない様子でしたが、これに対し塾だと1対1なので集中できるという意見は全員同じでした。時間をかけて通塾してでも集中して自分をすべて出し切れる学習環境を望んでいることがわかります。そこで当塾におけるオンラインの位置づけとしては、天候悪化、体調不良、大幅に遅れそう という場合に、オンライン授業で行うか、他の日に振り替え可能というあたりで落ち着いてきたように思えます。この4ヶ月のまとめとして申し上げるなら、基本は通塾で、オンラインとの併用により、欠席による振替授業がずいぶん減りました。生徒にとっても、また私にとっても負担減となりました。加えて、実際にオンライン授業を実施してみたところ、画像と音声は共有できても、他の機能を使いなれていない生徒が大半で、当塾の「売り」であるその場で添削指導と弱点補強という強みを発揮することができません。さらに、オンラインだとA4版ですのでやりとりに時間がかかり、塾ほど十分な問題量を解かせることができません。

そこで私は、試しに問題演習は止めて、音読だけにしてみました。ところが、この試みが思わぬ良い結果につながりました。良い結果とは、オンラインによる生の授業をお聞きになって、ご家庭のご協力が得られるようになったことです。
授業後にお母さまの声を聴かせていただきました。授業に対する感想とご意見などのいくつかをご報告致します。

まず、中1生のお母さまから「スタートでつまずくと大変と思い、一緒に勉強始めました。丸つけばかりにこだわっていましたが、書けることが第一ですね。勉強のやり方を私が覚えました。解かせる前に読ませて書かせるですね。ケアレスミスばかりする原因がわかったような気がします」と感想を述べていただきました。
私は「ノートを活用して、まず書いてみて正しい英文を書けるようにする。繰り返し書いた方が、英文を正確に覚えて 、感が働くようになりますので、応用力も養われます。また、教科書を音読して丸暗記する習慣が身に付きますと、初見の長文も、よし、どんな内容か読んでやろうという意欲的な姿勢になります」とアドバイスしました。

次に、中2のお母さまから「先生が説明してくださるのかと思ったら、娘の声ばかり聞こえてきて、ところが、娘の自分で説明しといて自分で間違えたぁ、とはずむ声が聞こえてくると、娘の様子から先生になついているのがよくわかりました。最近、娘がやりたいことが見つかったと申しておりましたが、まさにこの事でしたか。下の子にまだ手がかかるために、十分な時間は取れませんが、少しでも手伝ってあげたいと思います」とお話いただきました。私は「お母さまがお忙しいなら1ページ丸暗記してからお母さまに聴いてもらうとか、お母さまに日本語文を読んでもらって、本人が英文を言ったり書いてみるというふうな家庭学習をしてみてはいかがですか」と提案しました。もちろんお母さまからは 快諾いただきました。1対1のオンライン授業で、私ばかりがしゃべると、動画と同じです。私が試みたのは、生徒に任せてみる授業です。生徒にテキストを読ませて生徒のペースで進めてゆけば、読み合わせの授業でも集中します。わからなければ、すぐに質問できます。今回の授業は、不定詞と動名詞でしたが、最初のうちは左ページに解説があってそれを参考にしながら右ページの問題を解いても間違えます。一度に覚えようとしないで、無理なくノートに繰り返し解けば、覚えます。私は生徒にはそれぞれ覚えられるペースがあると思います。そのペースを自覚させれば、一回では無理だ。繰り返して覚えてゆこう。という計画性が生まれます。この段階で手助けしてあげるのが、最も効果的です。当塾ではこの段階で畳み掛けるように解かせて添削指導します。やりたいことが見つかったというのは自信の現れです。自信が付くと言葉や顔の表情や態度に現れます。今ちょうどやらされている勉強から、前向きになり自分でやる勉強に変わりつつある段階です。励ましてあげることでさらに伸びてゆきます。自分の勉強をしっかりと受け止めてくださる保護者の方がいるだけで、自立を自覚させ促し早めます。

そして、中3のお母さまから「オンライン授業でも受けなければ、わからなかったことですが、息子が英語を読むのを始めて聞きました。それにしてもひどい発音ですね。学校の授業以外では、教科書を開いていないのがよくわかりました。そちらにお願いしてまだ日も浅いですが、先生から家でも音読させてくださいとアドバイスいただいたのが 、このことかぁ、と納得しました。この調子だと読めない単語が増えて、英語が不得意になるのは目に見えてます。教科書準拠のCDも未開封のままですし、もう本人任せにはしていられません。これからはCDを活用して先生のアドバイス通り、私が読ませようと思います」とお約束いただきました。私は「最近では授業始めに一斉に音読させる学校が増えてきたように思います。しかし一人だと、本当に読めるのか絶えず確認し完璧にしておく必要があります。本人にCDを渡しても、たぶんやりません。そこでお母さまがCDの先生の声に合わせて発音し、まずやってみせてください。そうすると本人が、僕の方が上手いと言って、大声で堂々と発音するはずです 。その瞬間を逃さず、やっぱさすが!パパの子だけあって飲み込みが早いわねぇと誉めてください。誉めることは認めたことですし、認めたことは、一人でできることを意味しますし 、自分で音読を始めるきっかけになるはずです。そして、できれば毎日音読するように心がけ、チェックして習慣化させてください」とアドバイスしましたが、さらに申し上げるなら、やや大きめのカレンダーの余白に音読した日ごとにページと所要時間(当塾の目安としては長くても1回連続15分)を書き込みます。毎回記入することで、月単位で管理ができるようになり、やらなかった日があっても気にならなくなります。そしてカレンダーは勉強部屋ではなく、リビングに貼ったほうがいいです。自分の勉強を家族全員が共有するイメージです。いわば家庭学習の可視化です。見守ってあげるだけでいいと思います。当塾では、授業の始めにこの一週間で何をしたかを発表してもらいます。また授業の終わり少し前に次回までの宿題を話し合います。まず教科書、それから英検リスニングの放送文を読むというふうに、自分でやることを決めてやりきることを繰り返せば、音読習慣が身に付きます。音読は英語学習の基本ですが、我流にならないように、必ずネイティブの先生の声に合わせて読むように指導しています。この読み方(シャドウイング)を繰り返せば、英語のリズムが身に付きますので、読みやすく聞き取りやすくなるだけでなく、いちいち和訳しなくてもかまわず先に進めますし、解くスピードも飛躍的にアップします。テストで結果が出せるようになると音読の大切さが認識でき、自信がつき、家庭学習にもはずみが付きます。