Q24 英検3級の英作文と表現力の伸ばし方についてお伺いします。付属小6の娘ですが、私(母親)と一緒 に勉強して前回4級を取得し、今回3級に挑戦しましたが、不合格でした。私が熱を入れすぎ、勢い余り娘に無理を強いてしまいました。結果を見てみますと、英作文と長文問題で得点できていません。やはり基礎からの語句や文法の積み重ねの大切さを痛感させられた思いです。娘は 、意気消沈ぎみで、3級はまだ無理と申します。中学では、英語が週に4時間、英会話と英語演習が各1時間あります。もう一度立て直して、意欲的に自信を持って新たなスタートを切ってほしいと思います。入学まで間がありますが、今から英検や大学受験にも通用する英語の勉強法を教えていただき、もっと表現力が伸ばせるような授業をお願いできませんか

 

A   お引き受け致します。きっぱりと気持ちを切り替えて、心機一転、仕切り直しをした方がよいと思います。どのような心構えでスタートするかによって、その後の伸びが全く違ってきます。そこで、これからはもう小学生ではない、中学生だ。という自覚を自分に持たせるためにも、新たな勉強法を提案します。それは、まず自分でやってみるという習慣付けです。習うのを待っていないで、自ら先を仕込んでゆく、いわば予習による攻めの勉強法です。今日は何のために塾で勉強するのか、習う前にノートに解いてみて、予習して授業を受ければ内容がしっかり理解できるだけでなく、自分の予習も正しかったという満足感も得られます。自分は覚えるのが苦手と思うなら、まさにこの時期から予習の習慣をつけることをお薦めします。毎回何か新しいことを少しやる。学校の進度に関係なく進めてゆく。その積み重ねで自分の英語を築きあげてゆきます。自立学習を目指し甘えからの脱却です。英語の予習の勉強法を身につけて習慣化させることで、自己管理のできる中学生へと成長してゆきます。また、大学入試も2020年度入試からは延期されましたが、将来大きく様変わりする可能性があります。これまでのreadingとlisteningに加えてspeakingとwritingが加わります。大学受験に向けてCEFR(セファール)でB2 B1レベル、英検で2級、準1級レベルに達すること を目指すには、読解力文法力リスニング力に加えて、自分の意見を述べる発表力を十分に鍛え上げてゆく必要があります。負担が増して大変とお感じになるかもしれませんが、英検3級に向けて身につけた勉強法は、出題形式が似ていますので英検2級、準1級にも生かせます。さらに仕込んだ知識を、新たに始まるコミュニケーション英語の授業などで、実際に書いたり話したりして使ってみることで、読む、聞く、書く、話すが一体のものであることがわかってきます。特に発表力はリスニングとの関連が強いです。聞き取れることが使いこなせることの証です。何度も聞いていると話すときに自ずとその表現が出てきます。また、話の流れあらましを整理するために何度も読んでいると英語の文章の進め方、組み立て方には、一定のルールがあることがわかります。今度は自分の意見を述べる際に、相手が聞き取り易い、理解し易いように話すにはどうしたらよいかと悩んだ場合に、そのリスニングの放送文台本が役に立ちます。私は英検3級だけでなく、コミュニケーション英語の授業にも役立つように、何が問われ求められているのか、どのように答えたらよいか、その対策と取り組み方を指導し、家庭での予習の進め方を指導します。英検3級取得には少し時間がかかるかもしれませんが、予習の要領をつかめれば、自分で新しい内容を仕込む際も、これまでの知識と関連付けながら定着させてゆきますので、理解が深まり、加速度的に問題演習量が増えてゆき、英検準2級と2級の取得時期は早まります。しかし繰り返しになりますが、私が中1からの予習にこだわる理由は、中学生になるとホントに忙しくなるからです。やはり学校の英語が第一です。学校の授業への対応以外に部活動や学習塾、習い事などで、思うように時間が取れなくなります。目先の予定に追われて学校の授業も塾の授業も受けっぱなしとなってしまいがちですが、予習をする習慣をつけることでほったらかしは防げます。予習して授業を受けて復習する場合と、ただ授業を受けて復習する場合とでは、定着度に大きな差が生じます。予習をして授業を受けると、復習もしやすいですし、予習の際にどうして教科書やテキストに書いてあることに気付かなかったのだろうという反省もできます。この予習と授業とのずれを復習で反省するという積み重ねにより、自分独自の勉強法が生まれますし、これからどんなことを習うのか、いつまでに仕込めばよいか、大まかな目安がつかめて、学習計画がたてやすくなります。私は生徒と勉強の努力目標ルール作りを行います。学校によっては細かな予習の指示を出すところもあります。予習の指示のない学校については、どのくらい時間をかけて予習復習すればよいか、塾のない日はどんな勉強をすればよいか、どんなに忙しくてもこれだけはやろう。今日は勉強をしなくてもよい日を無くそう。というふうにルールを設定し、 毎日の時間の有効活用を心がけるように指導します。予習をして初めて予習の優位さ有利さが実感できますし、一度では無理、時間をとって繰り返し覚え込まないと暗記できないと思う内容が列挙されてきますので、空き時間に何をすべきかも自ずとそこに予定が入るようになります。予習をして時間を上手く使いこなせるコツを身に付けることこそ、油断することの怖さを知り、段取り手順を心得て、英検や大学受験にも通用する勉強法になってゆくと思います。

 

次に、表現力の伸ばし方は、私もお母様がご指摘なさった通り、英文法の基礎からの体系的な積み重ねが重要だと思います。具体的には基本例文を何度も音読して慣れることです。口で慣れ、耳で慣れるにつれ、日本語で納得しようとするこだわりが消えてゆきます。単語が入れ替わっても英文のまま内容が取れますし、同じ内容を別の表現で書くことができるようになります。この基盤となり土台となる基礎英語がしっかりしていないと、慣れによる英文運用力が働きませんので表現力を伸ばすことができません。私は英文法を学ぶ理由は、日本語には無い、英語の特色、考え方を学ぶことではないかと思います。たとえば、中1で Tom has many books.  3単現と複数形を習います。中2で Tom has more books than Bob. 比較を習います。ところが、高校生になって、東京は大阪よりも人口が多いという文を英語にする場合、Tokyo has more population than Osaka. としても通じる英語になりません。なぜなら population は manyを使わず、largeを使います。正解は、The population of Tokyo is larger than that of Osaka. となります。へぇ、そうなんだ。と生徒は、驚きと興味を示します。私は、この余裕こそが次の高校英語に進むために、今どうしても必要不可欠な要素に思えます。中学英語をしっかりと身につけて積み重ねてゆけば、慣れが働き、余裕が生まれスムーズに高校英語に移行できます。また、増やすだけでなく、まとめることも表現力を伸ばすために大切です。高校生になっても must はよく間違えます。I must get up early を否定文にすると、I must not get  up early. とします。must not はmay の強い否定で、してはいけないという禁止を表します。正解は、must = have to で、このhave to を否定して I don't have to get up early .となります。また、must のもうひとつの意味、He must be busy. の否定文は、He must not be busy. ではなく、He can't be busy. 彼は忙しいはずがない。となります。この can't がなかなか出てきません。mustの覚え方としては、mustn'tはどんな時に使うか 、Don't 命令文 = mustn'tと覚えておけば、あとは芋づる式に思い出せます。すぐに使えるように整理のしかたを工夫することが重要です。私は生徒に、説明にこだわるよりも、引き出しやすくするために仲間の例文と一緒に覚えるように指導しています。must の過去で、I had to get up early. 未来は、I will have to get up early. また、He may be busy.彼は忙しいかもしれない。Can he be busy ?はたして彼は忙しいだろうか、という強い疑問を表します。さらにこの文の応用として、He must have been busy. 彼は忙しかったにちがいない。という文が高校で出て来ます。関係の深いその仲間とまとめながら覚えてゆけば、お互いに支え合う作用が働き、強固になるだけでなく応用力がついてきますので、体系的な英文法が出来上がってゆき、表現力が伸ばせます。

 

次に、英作文の指導について説明させていただきたく思いますが、その前に、まず今回の不合格の原因は、時間配分に失敗したからではないでしょうか。3級の筆記は4級に比べて15分長くなりますが、英作文が加わります。4級に比べ語数も増え内容も難しくなった長文で時間を取られてしまうと、英作文の時間が残りません。よく3級を受けた生徒に、どうだったときくと、時間が無くて英作文の2つめの理由がうまく思い浮かばなかったとか、語数が足りなかったと申します。英作文の時間を確保する(50分中12、3分くらい)ために、残りの問題の時間の割り振りを意識しながら、てきぱきと解いてゆく必要があります。毎回出題形式は同じですので、語彙力と文法力を鍛えてゆけば、次第に自分がどこが苦手で時間を取られてしまうのか分かってきますし、過去問や類似問題を数多く解き、弱点補強をすることによって、目標時間内(40分くらい)に解けるようになります。

 

自由英作文は、書き直しました。再掲載します。よろしくお願いいたします。

 まず、お詫びと訂正をさせていただきます。2021年冬休みが明けるとすぐに中1の生徒たちが、「学年末のテストでは、急に範囲が増える。学校の先生は未来形まで進むと言っている」と急に騒ぎ始めました。私は中1のそれぞれの生徒に1月末の英検4級をめざして十分な対策を施してきましたので、それほど慌てることもないと思いましたが、普段の学校の進度が速くなり、しかも内容が増えることは、生徒にかなりの衝撃を与えたようでした。私も2021年中学校新学習指導要領で検索したところが、大改革であることがわかりました。その詳細は、文科省のHPや他塾様、業者様が詳しい記事を掲載されていますので、詳しくはそちらをご覧頂きたく思いますが、私は、2021年度からの中1英語学習に対して、これまで掲載した文章では、全く指導方針がずれていると判断し、その文章を削除し、書き換えました。大学入試改革ばかりに気を取られ、全くの不勉強でした。深くお詫び申し上げますとともに、実際4月以降、始まってみなければわからない部分もありますが、新たに新中1の生徒をどのように引っ張ってゆくか、当塾の指導方針を説明させていただきたく存じます。よろしければご覧願います。

 

最初に、私が感じましたことは、これからは、教えてもらうのが勉強ではなく、自分から考えて進めるのが勉強だ。と言われているような気がします。そこで当塾では、しっかりと自己学習管理ができ、自ら先に進めてゆける自立した生徒になれるよう鍛えあげてゆこうと決意しました。新しい教科書では、内容量が増えますが、週あたり4時間の授業時間は変わりません。当然進度が速くなり 、何もしなければ、取り残されてしまいます。不安をお感じになるかもしれませんが、学校の毎回の授業を大切にして参加意識を持って積極的に取り組み、その後にきちんと復習する習慣が身に付けば、決して難しくなったとは感じないはずです。また、各学年毎に年間を通しての到達目標が設定されており、項目ごと目標達成チェックリストが付いてます。詳しくは、「CanDoリスト」で検索してご覧願います。また、教科書にはレッスンごとに、どんなことを学ぶのか、何ができるようになればよいか、努力目標が示されています。これにより、4月新学期始めにおそらく各学校で学年ごとに、「CanDoリスト」に基づいた年間授業予定表が配布されると思いますので、今何をすべきか、今後何を習うか、把握できますし、家庭での学習計画は、立てやすくなります。そこで、学校と家庭学習との間に当塾を入れていただければ、待ってないで自ら動くよう、目先の目標を設定し、実践させてゆきますので、無理や無駄が省かれ、学校⇒家庭学習⇒当塾という効率的な勉強サイクルが稼働し始め、抜群の学習効果が期待できます。では、具体的にどのように教科書を塾と家庭で進めてゆくか、次にご説明いたします。

 

今回の改訂で私が特に注目したのは、3つあります。1つは、教科書によって出てくる単元の順番がバラバラだということです。2つめは、単語数が、これまでの1200語から、小学校で700語と中学校で1800語で、合わせて倍の2500語になること。そして3つめは、英語の授業は、英語で行うことを基本とするということです。
まず、教科書については、当塾は、1対1の完全個人指導ですので、単元の順番だけでなく学校ごとに単元の進度や内容の深さが違っても、その生徒の学校の授業に合わせて指導できます。テキストは、塾用の教科書準拠ワークを使用しますので、学校で次に習う内容の先取り学習をすることにより、余裕と自信を持って学校の授業に臨めます。そして授業後に授業の受けっぱなしを防ぐために、授業のまとめ方も指導します。内容が増えて教科書が厚くなると、年間4回か5回の定期テストでは範囲が広く、対策がかなりの負担になってきますので、おそらく今後は、レッスン毎の小テストが増えてくるはずです。このまとめ方が学校の小テストに直結します。完全個人指導ですので、本人が「わかった!」と納得するまで指導できます。また、検定外教科書を使用する生徒は、付録の文法問題集を塾用のノートを用意して、それに各レッスン毎にやって来て頂きます。ノートの見直しと教科書の例文暗記が、小テストに直結します。
また当塾では、その時間に他の生徒はいませんので、音読指導に力を入れています。読めない単語は、覚えられませんし、使いこなすことができません。そこで 、新しい教科書にはQRコードが付いていますので、授業中にネイティブの先生の声に合わせて一緒に読んでいきます。生き生きとまるで文章が踊るように跳ねるように読まれるのを聞いているだけで、家庭でも、同じことを毎日繰り返せば、思いがけず、口を衝いて英文が出てくるようになりますし、自分がしだいに英語に馴染んできたことが実感できるはずです。教科書の読み合わせに慣れてくると、応用力が付いてきますので 、初見の長文でも一定の速さで読むようになり、フレーズを意識して意味のまとまり、文の切れ目で区切って読み、間を取って読むようになります。自然と柔らかい読み方になり、読んでいても疲れません。そして、読み方が上手くなると、リスニングが強くなります。よく、英語にはリズムがあると言われますが、おそらくネイティブの先生の読み方や声の調子を丸ごと真似ようとしたことで、自ずと英語のリズムが感覚的に身に付いて、リスニングでは、逆にそのリズムがこれまでの慣れをよんで 、「聞いたことがあるような気がする。これならわかる」とすぐに馴染んで、落ち着いて聞けるようになり、内容が聞き取れるのではないかと思います。
さらに来年度以降都立入試でスピーキングが実施されますが、英検の2次試験と同じく、タブレットの長文をマイクに向かって音読します。英文の読み方が評価されます。その際にもネイティブの先生の読み方を真似て積み重ねてきた音読練習の成果が、遺憾無く発揮されるはずです。

次に、中3までに出てくる単語が倍になることへの対応策ですが、私は、教科書の単語と、受験に向けて覚えるべき単語は別々にした方が良いと思います。実際のところ、私立中では、教科書とは別に市販の単語集で週1の単語テストを実施しているところも多く、中3では高校内容の単語集を使用しているようです。2500語は優に越えて4000語レベルではないかと思います。当塾でも生徒の学年と努力目標に合わせた市販の単語集を使っていますが、最近では、その単語集がアプリでも使えるようになりました。アプリは本当に便利です。これまでの単語テストの手作業をアプリが簡単に代わって管理してくれます。
そこで 、授業では毎回100題くらいの単語熟語の例文読み合わせにとどめ、テストとその管理は家庭でのアプリに任せて、私は小学校でも習ったはずの英単語リストを使って、辞書を積極的に活用する習慣を付けてもらおうと考えました。英語学習には、自ら調べて進めてゆくために辞書が不可欠であることを認識してほしいと思います。辞書を引くことで自分で解決できれば、自信がつき、英語の勉強がますますおもしろくなるはずです。そこで辞書を引くきっかけとなるよう、意味が似ている単語を引いてゆきます。例えば、食事をするのは table ですし 作業をするのは desk です。見ようとして見るのがlook ですし見えるのが seeです。また聞こうとして聞くのが listenですし聞こえるのが hearです。これらの単語を生徒と一緒に引くことで単語集の暗記だけではなぜ弱いのか、辞書が英語の考え方を説明してくれます。また、辞書の英文で覚えるようにすることでその単語がどの位置にくるのか、単語の語順と一緒によく使われる語句も覚えられます。そして、ある程度基本単語に慣れたところで、教科書を利用して教科書の単語を辞書で調べてゆきます。実際自分で辞書を引くことが、先生に頼らない勉強法の第一歩だと思いますし、意味を確認するのも辞書の役割ですが、それ以上に、その単語の使い方と英語の考え方を教えてくれるのも辞書の役割です。英単語は、1つの単語に1つの意味ではなく、いくつかの意味を持っているものが多いです。イディオムや慣用句など関連する内容を同時に覚え込むことでその単語の使い方がしっかりと定着します。表現力の源は辞書にあることがわかりますので、辞書を引けば、引くほど英語表現をそのまま受け入れようとするようになります。英語の考え方を学ぼうとしますので、いちいち日本語に訳すというこだわりが無くなります。日本語を離れ、さらに質の高い英語の運用力が身に付きます。
教科書の最後にある単語リストだけで片付けようとする生徒と、いつも辞書で調べる生徒との間では、英語の運用力においておそらく格段の差が生じてくるはずです。教科書単語は辞書に慣れるきっかけを与えてくれます。それを上手く利用して辞書で知識をふくらませ、使いこなせることを目標にします。テストでは、教科書単語を使って、その単語が使いこなせるかどうか文を作らせる英作文が出題されるはずです。辞書に馴染んでおけば、使い方が分かりますので難なく対応できます。
これまで当塾の教科書対応は、希望者のみ、丸暗記してきて、授業始めに教科書の本文を発音しながらノートに書いてもらうという形式でした。生徒によって1ページから2ページくらいの分量で、主に定期テスト前に実施していましたが、今年度からは、教科書の分量が増えるということも考慮して、少しずつに分けて実施しようと考えています。丸暗記では 、やさしい単語もむずかしい単語も一緒に覚えます。受容語彙(読めたり聞き取れたりできる)とか発信語彙(自由に使いこなせる)とかの区別なく、丸暗記ですべて書けることを目指します。
これまでの実例を申しますと、私は丸暗記の不得意な中2の生徒に、始めから覚えるのではなく、まずは大切と思う部分を覚えて、それからつなぎとなる残りの部分を覚えたらどうですか。と提案して、次第に内容の流れをくみ取って暗記できるようになりましたが、それ以上に私が驚いたのは、長文読解が得意になったことでした。大切な部分とそうでない部分とを素早く読み分けて設問を解いてゆきます。普段から音読して読み込むことで英文に慣れて、そこから生まれた速読速解釈力です。単語集で覚えた単語でも、重要単語は、辞書を引いて使い方を確認して、十分に納得してから音読を繰返します。さらにノートに書いてみて確認を繰返し丸暗記を目指します。無理に覚えようするよりも毎日見直そうとした方が覚えます。音読とノートでの丸暗記演習により、体に例えるなら足腰が強くなりますので、初見のむずかしい長文でも引かないで食いついてゆく「粘り」が出来てきます。
この粘りこそが、意味の分からない単語が出てきても、前後の単語との関係からだいたいの意味を推測する力を養い、将来の高校や大学受験において必要不可欠なものとなります。

次に3つめの、英語の授業は、英語で行うことを基本とするということですが、文法の授業とコミュニケーションやりとり、発表の2つに分けて申し上げます。まず、これまでと比べ、時間数は変わらないのに、文法の単元や本文の内容量が増えれば、必然的に文法の解説とその演習時間が少なくなると思います。文法の説明も英語で説明されるのかどうか、学校によりさまざまかもしれません。当塾の姿勢としましては、私は、これまで通り、日本語で文法を教えることにこだわります。日本語できちんとていねいに説明して生徒に納得してもらえれば、生徒は満足してしっかりとついてきます。分かったことを主張するかのように、音読にも力が入ります。しかし、説明がわかったことと問題が解けるのは別です。試験は、問題が解けたかどうかで評価されます。1対1の授業の良いところは、演習+添削により生徒の間違えているところをその場で指導できることです。文法の説明は理解できても問題の解き方が分かってないということがよくあります。問題の指示をよく読まないことが原因です。例えば、中1の代名詞で、カッコ(Tom)内の語を適当な形になおしなさい。This is (Tom)car .という問題で、生徒は、よく his として、「なんでこれで間違えなんですか」と質問してきます。下線部の語を代名詞1語にかえなさい。とよく混同してしまいます。正解は、Tom'sです。私は生徒に、問題の指示に従って、何を答えたらよいのか、よく考えてから答えるように言ってますが、やはり一定量の問題を解き込んで、設問のパターンにも慣れることが必要ではないかと思います。
そこで得点力を伸ばすことを第一に考えて、基本となる文法を使いこなせるように、学校の進度とは別に、もう一度英文法を最初からやり直すのが良いのではないかと思います。英語には時制と修飾という芯となり軸となる2つの柱がありますが、ここに着目しながら積み重ねてゆかないと体系的な英文法は構築されません。小学生から英語を習っているからといって、そのまま中学教科書をその上に乗せてもよいものでしょうか。私は、危うさを感じます。例えば、最近では当塾の体験授業を受けに来る新中1の生徒で、4級か3級を取得している生徒は珍しくなくなりました。「これまでの英語は簡単だったから、どんどん先を習いたい」と言います。そこで私は、板書で Are these your books ? Yes, (   )are. 「カッコ(   )に適する語を入れてください」と質問すると、「its」と答える生徒がその生徒を含めこれまで何人かいました。正解は、問いの文では、これらは、が主語ですから、答えの文では、それらは、で受けて they になります。its は it の所有格で、it の複数形ではありません。it の複数形は they です。当塾のテキストには、このような解説がしっかり載ってます。これまでの総復習のつもりで、中1の塾用テキストを解き、解説を読み、自分でまとめるという勉強法を身に付け、積み重ねてゆけば、しっかりとした土台が出来上がります。学校の授業が英語でされたとしても、本人には、自分の勉強法で対応できますし 、私も毎回、進度と内容のチェックをして、必要な部分は板書授業解説を入れてゆきますので、落ち着いて日々の学習に取り組めると思います。

次に、コミュニケーションやりとりと発表ですが、教師と生徒、または生徒間でペアかグループでのやりとりで、学校により内容もレベルもかなり異なった授業になりそうだ、との予想記事がでていました。新学習指導要領によれば、中学生段階においては、日常的な話題と社会的な話題について 、外国語で自分の意見や気持ちを相手と相互に伝え合うことができる、となっています。そして、その具体的な目標となるものがあるのか、と考えた場合、おそらく英検3級の英作文と2次面接、また来年度以降に実施される都立入試のスピーキング(換算式ですが、約2割の配点)に役立ちそうな気がします。
私は、コミュニケーション能力を伸ばすために必要なのは、緊張感だと思います。先生と生徒よりも生徒同士の方が、遥かに高い緊張感が生まれます。そこで一つ提案したいのですが、当塾では無理ですが、何人かの友達で集まって勉強会を開いてはいかがでしょうか。お互いを高め合う会話練習と考え、普段の生活やニュースで関心のあることなど自由に考えを述べあうようにすれば、互いに評価し合い、会話を楽しむことで互いの力が伸ばせます。テキストの模範解答と違って友達の「生の声」ですから、かなりの刺激を受けるはずです。また、自分一人が、しゃべり過ぎないように、慎み自重する訓練にもなります。
その時1つだけ気をつけてほしいのは、言いたいことが言えなくなることを避けるため、決して友達の考えを批判しないことです。自由闊達に意見を述べ合えば、いろいろな意見や考え方があることに気付き、どんなことを言えばよいか、ひらめきやすくなるはずです。絶えず今の自分の英語力をかくさずに敢えてさらすことで、時には大恥をかくかもしれませんが、自分と友達との表現力の実力差が、はっきりと出てしまいますが、むしろその場で自分の表現力を出しきった方がよいです。どうしても同じ表現ばかり繰り返してしまい、限界を感じた場合、その場にいる友人たちに助けを請うのがよいです。友人たちは、まるで自分のことのように真剣に考え、自分の勉強法を披露するなどして、アドバイスをくれるはずです。そのアドバイスが本人の励みになりますし、一気に限界を突破し、視界が開けます。また新たにフレーズを仕込もうという 積極的な意欲もわいてきます。
英語の運用力は、新しいフレーズを仕込んでは、やりとりで出し切るの繰り返しで伸びてゆきます。この勉強会は優劣をつけることが目的ではなく、互いに自分のフレーズを出し切る発表の練習の場です。学校の授業だけでは、十分な練習の時間が確保できないと思います。場数を踏む必要があります。差し出がましい気もしますが、友あればこそ、とも申します。試しにやってみてはいかがでしょうか。
また、当塾のコミュニケーションの授業では、日本語をそのまま英語に当てはめないように、辞書で調べてみるように指導しています。例えば、焼き芋は、a baked potato ですが、餅を焼くは、grill または toast a rice cake となります。昼休み時間は、lunch time でもいいですが、 lunch break です。お茶の時間は、tea time でもいいですが、tea break です。break にすると、疲れたから、休もうという意味合いが強くなるそうです。
文化や生活習慣の違いが、言葉の考え方、捉え方
となって表れます。それがフレーズやイディオムです。こんな場合に、こんなふうに考えるんだ、という外国人の考え方を受け入れるようになれば、日本人である自分の考えをいかにうまく外国人の相手に理解してもらえるか、と悩むことになります。そこで、そんな時に頼りとなるのが、電子辞書の例文検索機能です。
言いたいことがうまく英語に直せないという場合、もやもやした気持ちが残りますが、電子辞書があれば、スッキリ解決できます。あいまいながらも自分の考えの中心となる語句をいくつか打ち込んで、検索機能を使って候補を調べているうちに、英語ならどのように言えばよいか正しい英語表現に導いてくれますので、まさにぴったりの表現が見つかったり、他のリストアップされた候補を読み比べていると、英語独特の表現が見つかったり、しだいに表現の幅が広がってゆき、表現のこだわりが無くなります。絶えず電子辞書を活用するようになると、「この日本語の内容を英語に訳すならどうすればよいか」という考え方になりますので、ただ単に機械的に日本語を英語に置き換えた英作文から、骨組みとなる例文を土台として活用した、勉強した跡が現れる、通じる英作文になります。
中1の段階では、電子辞書は、単語やフレーズを調べるのが主ですが、中3になると、発表のための下書き原稿を書いたり、学校から課題として出される自由英作文(例えば、SDGsについて関心のある項目とその理由を述べよ)など、電子辞書を活用する機会が増えてきます。「ちょっと、この課題を見てくれませんか」と言って下書き原稿を持ってきます。私は内容には触れずに、相手が読んで分かりやすいように、易しい単語で短文で書かれているかをアドバイスしています。言いたい意見が先に進んで、結論付けられているかが、評価のポイントになるはずです。電子辞書は、しだいに馴染んで使いこなせるようになると、「自分の勉強法はこれだ」という勢いが出てきますし、塾にいつも電子辞書を持って来るようになります。
私が一番感心するところは、本人のチェック機能が働くようになることです。以前は、「はい書けた」と言って私に提出していましたが、今では、見直しをして、気になるところは辞書で調べて私に提出します。一端、書き始まると、猛烈な勢いでどんどん書いていって、その集中力はすさまじいものがありますが、これも頼れる辞書が手元にあるという安心感から生まれたように思います。本人が英作文を好きになって得意になってゆく様子が側で見ていてわかります。

最後に、3級英作文は、注意点、採点基準等、英検HPに詳しく説明されています。まず、そちらをご覧いただき、実施要項をご確認願います。次にそれに基づき、当塾の取り組み方を説明させていただきます。英作文は、普段の練習量が如実に表れます。「私はこのレベルの英作文の練習を十分に積み重ねてきました」という、いわばその成果の発表披露の場です。その努力の跡が評価されるためには、読み手にとって流れるように読みやすい文章になっていることが必要です。読みやすい文章とは、模範解答に倣って、手順を踏んで、易しい単語で、短文で書かれた文章です。読み手は抵抗なく読み進めて行けますし、先の内容が予測できますので、読み返すことなく正確に書き手の意見を読み取ることができます。決め手となるのは、語句と文法と構成です。英検3級の英作文は、Questionに対して25語から35語で自分の考えとその理由を2つ述べる形式です。また、学校の定期テストや実力テストにおいても、この形式でよく出題されます。
英作文の模範解答を見ると決して難しい表現は使われていません。具体的に申しますと、普段から模範解答で使われたような英語表現に馴染んでいるか、どうかが問われているように思います。「この表現が欲しかった。知っている単語ばかりなのにこの英文が浮かばなかった」というふうに日本語では言えるのに、うまく英語に直せないというくやしい思いをすればするほど、それがバネになって伸びてゆきます。
英作文が得意な生徒は、普段から他の模範解答をフレーズごとに分析し、丸ごと真似るなどして書き方を学んだのではないでしょうか。実体験なのか全くの創作なのかはともかく、普段から練習を積み、書き慣れていれば、その力が本番で遺憾なく発揮されます。
差がつくのはフレーズによるまとめ方です。得点力のある生徒は、おそらくポイントをいくつかのフレーズとしてまとめて、運用力を高めるど、自分独自の勉強法を持っているのではないかと思います。普段から、英語の仕組みを理解しようという気持ちで、習ったフレーズをまとめる習慣をつければ 、英文がすぐに思い付かないという苦手意識がなくなるはずです。しかも、生徒は語順に弱いです。おそらく単語ごとに英作文しようとするせいではないかと思います。適語選択や穴埋めの文法問題だけでは英作文は伸びません。むしろその前後の語句が書けるかどうかが重要です。そのためには、フレーズを意識させることです。私は、「単語は一人にするな。覚えるときは必ず関連深い誰かとくっ付けろ」と言ってます。フレーズごとに組み立てた方がどこに入れようかと語順に迷いません。
書かなくとも毎日音読を繰り返すうちに、英作文は、まったく何もないところから独自に作るのではなく、手元にある例文や基本文をフレーズごとに真似ればよいことが分かってきます。即座に英文が思い付かないとか、日本語と語順が違うと分かっていても、単語が増えると日本語の語順で並べてしまう、といった苦手意識が、反復音読によって、克服されてゆきます。これまで仕込んだ例文や基本文から、どれと似ているか、その場で適するフレーズと語順がひらめき、応用できるようになります。まず主語と動詞の部分から組み立てて、フレーズごとに語順を考えて組み立てる練習を積み重ねることで、自分独自の勉強法が完成します。このフレーズと語順を意識した勉強法が、スピーキング力を鍛えることにも役立ち、即答が求められる英検3級の二次面接試験や都立入試スピーキングにおいて抜群な威力を発揮します。