Q 26 公立高1の女子です。学校は2期制で、国立理系志望です。ところが、10月のテストで英文法が思ったほど得点が取れず、返却された答案には空欄が目立ちました。これまでは、学校のテキストとセットになった参考書、それにタブレットでいくらでも動画解説が見れると言って、一人で勉強してきましたが、やはり授業を通して勉強を指導し、計画を立て管理してくださる塾の先生にお願いした方が、立て直しは早いように思います。そこで、娘と話して、学校の進度に合わせてご指導いただき、娘に合った勉強法で引っ張っていただける塾を検討中です。また最近では動画を使った個別や個人塾も増えていると聞いていますが、そちらでも動画授業ですか。動画の活用についてどのようにお考えでしょうか。併せてお尋ね致します。

A  教科書の進度に合わせて塾テキストと文法問題集を計画的に解いてゆけば、どんなことを覚え込めばよいか解ってきますので、余裕が生まれます。この余裕があればこそ、判断力が鍛えら、ピンときて、素早く正解を導きだせるようになります。文法を仕込むだけでなく、その内容を絶えずテストしてみることでポイントは定着します。目標とした期限までの進み具合を チェックしながら毎日の積み重ねを心がけてゆけば、着実なステップアップを実感できて、勉強の進め方が解ってきます。自分に合った勉強法は、英文法が難しくなるにつれて、常に変える必要があります。「今何をやるべきか」学習管理ができてこそ、高校英語と受験英語を連結させることができます。ポイントは、自分がどこまで進んでいるのか。まだ十分でないならその足りない所に気づかせることです。そこで、家庭でやるべきことを実際に塾でやらせて、勉強法のイメージをつかませています。先を見据えてどのようにやるべきか、目標を立てて、覚えたかどうか、絶えず自分にテストして学習管理を徹底させるよう指導しています。すると、まだこんなことも覚えてない。と次に自分でやる内容がひらめきます。当塾で、受験における自分の立ち位置、進捗度合いがわかると 、家庭での日々の積み重ねから次第に手順や要領を心得てきますので、効率的な勉強法になってゆき、無理なく先に進めます。

当塾の英文法の授業の進め方と家庭学習での動画の活用について、2つに分けてご提案致します。まず、授業中に動画を使うことはありません。生徒が 、じっと黙って授業を受けるということはありません。むしろ、1対1の生授業であることを生かして動画にないことをやろうと試みています。そこで英文法もまず音読です。書くよりも口で答えてもらった方が沢山英文が作れますし、頭に浮かんだ英文をすぐに口に出してなじませることでポイントをおさえ、表現力を強化できます。基本例文を板書して語句を変えるだけでポイントを何度も繰り返しますので 、生徒もどこを覚えればよいのかがわかります。黙って頭だけ使うよりも口を同時に使った方が効果的です。頭だけだと頭から逃げてゆきます。何度でも口にする反復演習で頭に定着します。私が心がけておりますことは、生徒の反応に即対応することです。生徒は、例文をまねて、わかったら、その瞬間その事を伝えたいという気持ちが起こるはずです。その積極的に乗ってきた一瞬を逃さず汲み取ってあげたら、生徒は自信が付いてうれしくなるはずですし、さらにやる気になりますので、「英文法も音読だぁ」と言わんばかりにどんどん答えようとします。この反復演習がポイントの理解と定着になります。また、その結果として反復演習で養った勘が働き、英作文のスピードが格段にアップします。知識として使いこなせるようになった証拠です。

そして十分な反復演習を行って馴染んだ後、更なる得点力アップを目指して、添削指導による問題演習を行います。問題を解いている間は静かです。教えたことをしっかりと確認しながら解いてほしいです。そして解き終わったら、私は添削しながらそれに関連した
文法事項をどんどん質問してゆきます。知識を増やすと同時に知識の整理です。例えば、今回の娘さんの試験となった動名詞なら「この avoid ~ingはよくできました。他に動名詞のみ目的語に取る動詞を挙げてみてください」生徒は「enjoy,finish,stop と、あと学校の先生からメガフェプスダァで覚えろと言われたけど、まだ覚えてない」私が参考書と文法問題集の解説部分をひろげて「はい、ここに一覧表で出てます」と言うと、生徒は「来週までに覚えてきます」と宣言します。分詞の使い分けで「この ~disappointed  はよくできました。他に分詞形容詞となる動詞を挙げてください」生徒は「surprise,excite あとわかりません」「はい、ここに一覧表で出てます」「来週までに覚えてきます」という授業の流れです。翌週には、私が板書して簡単な確認テストを行った後、問題集の解説部分の読み合わせをおこないます。解説部分は、どんなことを覚えればよいかを示してくれています。ここを覚え込めば 、間違えなく得点力アップになります。さらに同時に何冊かの解説部分を読み比べて丸暗記した方がよい箇所を調べ挙げてゆきます。まさにこの辺りが、受験英語の真骨頂ではないでしょうか。それが必ずと言っていいほど定期テストに出ます。模試にも入試にも出ます。私は常々「文法は、自分で調べて仕込もうという気持ちになれば、時間があればいつでも仕込めるので、解けば解くだけどんどん力が付いてくる」と言ってます。実際に当塾でめきめき力を付けている生徒は、次から次に市販の文法問題集を解いてきます。解き終わった問題集は読み比べで参考書として使えます。当塾にはすべての市販の文法問題集を揃えているわけではありませんが、受験生が毎年よく使う問題集と、基礎からグレード別になった問題集を用意しています。これらの問題集と参考書と塾テキストを駆使して勉強計画を立ててゆきますが、解くだけでなく知識を整理してまとめることも必要です。まとめ方の上手くなった生徒は、まるで暴走するかのように一気に伸びてゆきます。例を挙げて申しますと、高2の私立男子校の生徒が、「定期テストの範囲が比較と仮定法になり、ノートやカードに写して覚えようとしても、どうしても覚えられない」という相談を受け、私は他の生徒が赤シートを使っていたのを思い出して、穴埋めカッコにして(no)(more)(than)と赤ペンで書いて赤シートでかくして覚えるという方法をアドバイスしたところ、生徒は「これならやれそうだ」と言って早速取りかかり、試験では高得点を取って、答案返却時に先生から「よし」と言われて、みんなから「うぉ!」という声があがったそうです。やはり生徒にとって一番うれしいのは、先生だけでなく、みんなから認められたことだと思います。
今やるべきことを今やったからこそ、出せた結果です。英文法の得点は受験に対する自分の本気度を計るよい尺度になります。あとは小さな目標を立てて毎日やりきることを心掛けてゆけば、今の実力を維持し着実に伸ばしてゆけます。私が塾テキストや問題集の文法解説の読み合わせにこだわる理由は、生徒に読ませながら進めてゆきますので、むずかしいと思ったらすぐに質問できます。大切なポイントを説明し忘れたということも起きません。私にとっては、板書する手間が省けますし 、生徒には、ノートにメモる手間が省けますので時間を効率的に使えます。また生徒には、マーカーや赤ペンを引きながら、この辺りが試験に出そうだとか、どうやってまとめようかとか、いろいろイメージして家での勉強を考えてほしいからです。やる気があるのに結果が出せなくなった場合は、読み合わせの時に思い付いた新しい勉強法を試みることで、また前進し始めます。

これはあくまでも私と生徒とのテスト直しでの指導経験から申し上げることですが、中学英語の試験では、むずかしい問題には、「そうだ。あのことかぁ」と気付きやすいようにヒントが織り込まれていますので、授業中にやったことなどを思い出して答えることができます。生徒は「教科書には載ってないけど、似たようなことやったよ」と言います。ところが高校英語の試験では、テスト範囲はあっても、教科書からその通りに出題されるとは限りません。教科書中心に勉強することは基本ですが、習った、習ってないではなく 、その単元の文法を丸ごと丸暗記する。という意気込みで仕込んだ方が、得点力が付き、よい結果に繋がるように思えます。特に正誤問題や整序問題は苦手な生徒が多いですが、何冊かの文法問題集の同じ単元を解いたり、すでに解いたものであれば、見直しておけば、そこから同じポイントが出題される可能性がきわめて高いです。私は毎回テスト後に、高校生はテスト直しよりも感想を尋ねていますが、「やったことは覚えてるけど試験中に思い出せなかった」と言います。私は「その反省を次回に生かすためにも、もっと早くテスト対策を始めよう。ではなく、毎日の勉強の積み重ねが余裕を生み、試験の時もすぐに思い出せることを実践して実感してほしい」と言ってます。これは私の勝手なテスト結果への感想ですが、どうも、ここまでやればよいという線引きが、逆に思い出しにくくしているように思います。それよりも、これも覚えておこうぐらいに間口を広げて、どんどん仕込んで反復してゆけば、後は頭が勝手に出る順にその知識を並べ替えてくれるように思います。仕込みと反復とテストを繰り返すことにより、定期テストのためだけでなく精度の高い受験英文法になってゆきます。高校生の暗記力は、その気になれば、一生の内で一番脳が活発に働く時期です。英文法が頭に入らないのは、頭が悪いからではなく、頭に入れる勉強法が身に付いていないからです。頭に入れる勉強法で重要なのは、反復の音読から生まれる工夫です。私と一緒に読み合わせをしている時に、生徒は「こうしたほうがおぼえやすい」と、もっと効率的な方法をピン!と思い付くはずです。その工夫を生かし、
実践してみることで自分流の勉強法がさらに改良されてゆきます。今後の大学入試は、時間はそのままで問題量が増えると予想されていますが、合格ラインに到達するためには、今以上に速く正確に解く必要があります。受験英語にも効率性の追求が必要になるはずです。毎日の勉強で目標時間を決めて、てきぱきと実践するように心掛ければ、自ずと読み取り能力と処理能力が速くなり、集中力も付いてきますのでますます勢いがつくと思います。よく受験生は、受験レールに乗っかると後は一直線。と申しますが、自分に合った効率的な勉強方を絶えず試みて改良することで、学習進捗(到達度)管理ができます。学習進捗管理ができる受験生こそが、受験レールに乗れるものと思います。

次に動画の活用についてですが、授業中に動画を見ることはありません。家庭では動画を積極的に活用するように言ってますが、実際のところ無理強いも出来ませんので、生徒に任せています。
確かに動画の学習教材としての認知度は高まるばかりです。最近では、塾用テキストにも、市販の参考書や長文集にも動画解説付きが増えたように思います。当塾の生徒に動画の活用についてきいてみたところ「必要な時に見ている」と答えた生徒が多かったです。またタブレットを授業で活用する学校が増えてきたのも最近の傾向です。
少し前にさかのぼりますが、当初私が動画を薦めた理由は、生徒が動画で勉強して目的意識を持ってきてくれれば、そこから始めることができます。導入部分は省いていきなり本題に入れます。板書による即英作文で、勉強してきたことが本当に解っているかどうか確認し、テキストやプリントの添削指導で、ポイント整理と定着にも十分な時間が取れます。また一方的に進めることはせず、様子を見て進度や内容レベルを調節できますので、やりたいこととやらせることにズレが生じません。まさにその時間、私と生徒で考えていることが合致しますので、満足して納得ゆく授業になるはずです。できるところまでは、とことん自分で勉強してくる。そうすれば「その生徒のためだけの90分。1分たりとも無駄にさせません」という特色を、はっきりと打ち出せるはずと考えたからです。しかし生徒の考えは、真逆でした。「英語が苦手だから塾に来てるのに、予習するとなると、精神的な負担も大きいし、かなり時間が喰われるために他のことができなくなる。予習しない方が新鮮で頭に入り易い気がするし、家での復習も楽に進める」というものでした。動画では、それまでの習った内容を理解していることを前提に、新しい文法を学んでゆきますが、苦手な生徒には、生授業でしっかり問題を解いて、理解して自信が付いてから復習で動画を活用するくらいの位置付けの方がよいように思えます。その方が、次に何が解説されるかテキスト内容を思い出して予想できますし、動画の流れも把握できますので頭にしっかりと定着します。
また、動画はまったく見ないという生徒もいます。中3生で、夏休みに学校からこれまでの復習内容の課題テキストが渡され、勉強の進め方について話し合いました。私は、まず動画を見て、解説文を読みながら問題を解いて答え合わせをしてまとめる。という進め方を提案しましたが、生徒の進め方は全くその逆でした。「言われた通りにやってみたが、やはり動画は時間がかかる。それより自分がどのくらい実力があるか、まず解いてみて、解説を読みながら答え合わせをして、それで理解できれば動画は見ない。理解できないところは動画ではなく先生が教えてほしい」と言います。生授業のよいところは、生徒のペースで進めますので、対話しながら生徒の知りたいところにいち速く到達できます。しかしそれでは次の授業まで待たなければなりません 。そこで私がいなくてもその場ですぐに解決できるよう、パソコンで解説文を活用してはどうかと私は提案しました。それから二人でパソコンで調べて、ちょうど不定代名詞のotherの使い方のところでしたが、「theが付くとその他残り全部という意味」という解説を読んで「これか!」と納得したようでした。解説文では、一足飛びにストレートにわかならいところに直接飛んでゆけますので、動画のようなじれったさがありません。「ここ書き取ったほうがいいですよね」と言って、ノートに重要と思うところを書き取ると、「こうしてやればいいか」と言って、この調べ方が彼の勉強法になりました。
また、いろいろな先生の動画を見ていると一人一人の教え方が凝っていて楽しい。と動画を積極的に活用する生徒もいます。その生徒も同じく中3生で、現在完了の been とgoneについての質問を受けたことがきっかけでした。私が板書しながら説明すると、生徒は「なるほど、先生の授業は分かりやすいね」と言います。おそらく生徒が分かりやすいと言ったのは、私が全部説明せずに、説明の途中で生徒に考える時間を与え、思い付いたことを発言させたからです。整理しながら自分でポイントにたどり着けたことが嬉しかったのだと思います。この一緒に考えながら自分で気付かせるというのが、私の教え方であり、そのやり取りが「わかったぁ! 」の正体です。しかし次々に沸いてくる疑問にすべて答えていると先に進めません。そこで私は「対話式にはならないけれども、パソコンがあれば動画を見たり解説文を読んで先に進められる。次回に教えてもらうことを待っていないで、なるべく自分で解決するコツを身に付けてはどうか」と提案して、パソコンで been と gone の使い分けで動画検索してみました。そしてそのうちの1本を見て生徒に感想をきいてみると「文章より時間がかかるが、動画の方が分かりやすい。動画があると心強い」と言います。私も本気で見れば本当に力が付く。繰返し見るのも良いし、他の先生の動画と見比べるのもいい。と感じました。ほんとに良い動画を見れば一気に引き込まれてゆきますし、同じ先生の次の動画を見たくなります。その生徒の勉強法で、おもしろいと感じたことは、自分が先生役になって自分に授業して、後で動画と比べてみる。というものでした。例えば現在完了でbeforeは使えても、なぜwhenやyesterdayはそのままでは使えないのか説明せよという問題を出して、自分で上手く説明できないところが自分の弱点であることがわかります。動画の先生が、そこをどのように説明するか集中して見れると言います。
私は、当塾のない日の相談相手として動画を上手く活用してほしいと思います。動画を見ようとしないのは、動画を使い慣れていないためではないか。わからないところに細かく絞って検索すれば、動画は最も頼れる相談相手になるはずです。「ここ動画に教えてもらおう」と目的を持って見れば、動画の内容がどんどん頭に入ってくるはずです。ある生徒が「青木先生の授業は、早口で、説明が雑で、板書が汚いけど、まあわからなくもないから付き合ってあげてるけど、動画の先生の授業は 、ゆっくりとていねいで、板書も予めされてるから、わかりいやすい。見終わった後にスッキリする」と言ってました。私は、当初の思惑通りと思った反面、「貴重なご意見は真摯に受け止め、今後の糧にさせて頂きます」としか答えようがありませんでした。
最後に、
生の授業にせよ動画にせよ、教え方にこだわるよりも自
分のまとめ方にこだわった方がいいです。授業を受けて
問題を解いて、そのあとまとめてみなければ、使いこな
せるようにはなりません。まとめたことを継続的に反復
させることで定着してゆきます。動画より文章のほうが
より詳しく説明されています。生徒は、わからないとこ
ろの解説を探そうとして文章を読むと、書いてある内容
が頭に入ると言います。なぜなら絶対に突き止めてやる
という勢いがあるからです。生徒は集中します。この瞬
間に消化して一気に英語力を伸ばしていると思います 。
実際に試験で解けるのは消化した内容です。勉強は、集
中して積極的に取り組んで、まとめることが大切ですが、
やはり動画は、見たくなったら見るくらいの位置付けでいいのではないかと考えております。
しかし家庭でいつ動画を見ればよいかについては、ご提案できます。毎日の家庭学習の始めに見るとよいと思います。あるお母様から欠席の連絡をいただいた際に、「学校の宿題が忙しくて、なかなかテキストをやってこれないと言いますが、そんなに大変そうですか」とお伺いしたところ、「先生そんなのうそですよ。うちの息子は、机に向かっても取りかかるのが遅いんです。いつになったら始めるの?っていう感じで、こっちがイライラしてきます」とお答えいただきました。家庭学習は初動の遅れがその日の勉強量を大きく左右し影響を与えます。急ぎの宿題とか無い日は、動画から始めて勢いをつけるというのも有効的な時間の使い方になります。