「弊社千葉支店協力専門業者会研修旅行」で「徳島」に来ており、
そして今回の「研修旅行」の主目的が「大塚国際美術館」で「陶
板名画」を拝見する事で・・・「地下三階」から拝見し、現在は
「地下二階」におります。
出発集合時間までの残された時間を気にしながら回っていますが
何しろ広いんです!
以前に伺ったことがあるので、何が何処に展示してあるのか大体
は頭に入っているのですが・・・「吹き抜け」に架かる「橋」を
渡り「グロッタ」のゾーンに入って参ります。
「グロッタ」は、貴族が庭園に作った「人工洞窟」でルネサンス
期に大流行したと云います。 洞窟内には人・動物・植物等の奇
妙な装飾壁画が施されており、「グロッタ」で発見された美術・
装飾の事を「グロッタ式装飾、グロテスク装飾」と」呼ぶように
なり、「グロッタ」は奇妙・不気味なものを意味する「グロテス
ク」と云う言葉の「語源」とされます。 当時のイタリア貴族達
は、真夏にも庭園を散策し、冷房の無かった時代に「洞窟」に入
り「涼」をとっていたと言われています。
「魔女キルケ」
1523年頃 ドッソ・ドッシ
イタリア・ローマ ボルゲーゼ美術館
「キルケ」は「ホメロス」の「オデュッセイア」に出て来る魔女
で、旅人に魔法をかけて動物に変えてしまう美貌の女性。 この
女性が「キルケ」かどうかはハッキリしていないが、黄金のター
バンを巻き、魔法使いの附属物である杖や図形を描いた板を持っ
ている事、また楕円形の記しの上に座っている事などから、彼女
が「魔法」を使っている事は明らかであるが・・・これを16世
紀の「アリオスト作 怒れるオルランド」に登場する善良な魔女の
「メリッサ」とする説もあるとか。
「四季より 夏」・・・右
1563年 ジュゼッペ・アルチンボルド
ドイツ・ウィーン ウィーン美術史美術館
神聖ローマ皇帝ハブスブルグ家マクシミリアン2世の注文で描い
た、擬人化された「四季連作」の一枚(原作品は、同美術館所蔵
の「冬」との二枚だけ残り、1573年の画家によるコピー四連
作がルーブル美術館にある)で、女性を表わしています。 麦の
穂と藁で編んだ金色の服に、鼻はキュウリ、頬は赤みを帯びた桃
やニンニク、額と上唇はサクランボ、首はズッキーニ、頭は野菜
やブドウなどの果物で構成され、胸の上にアーティチョークが突
き出る。 とくにサクランボは快楽の儚さを意味する。 この連
作は人生の四期も象徴しているため、「夏」は自信に満ち勢い溢
れる青春期と その快楽の儚さを描き出している。
「四季より 冬」・・・左
1563年 ジュゼッペ・アルチンボルド
ドイツ・ウィーン ウィーン美術史美術館
四元素は人間の四気質を構成するだけでなく、年代や季節などの
時間経過による万物の変化も支配するとされた。 つまり空気が
春、火が夏、水が秋、土が冬で、また人間にも四世代あり、少年
は空気、青年は火、壮年は水、老年または死が土である。 画家
は四元素の他に四季の連作も描いたが、これらは同じ元素組成の
考えから生まれたものである。 この絵は「冬=老人」を表わし
ている。 顔全体は樹齢を経た古木の幹で、いかにも自然と人間
の老いの共通性を感じさせる。
「四代元素より 火」・・・右
1566年 ジュゼッペ・アルチンボルド
ドイツ・ウィーン ウィーン美術史美術館
16世紀まで世界や人間は「火・空気・水・土」の四元素から成
ると考えられ、それぞれの元素が優勢な場合には 性格や体質が、
その影響を受けると思われた。 また錬金術などオカルト哲学で
は「火と空気は男性」「水と土は女性」とされた。 この「火」
はいかにも攻撃的な戦士で、髪の毛は燃える火である。 鼻と耳
は鉄の部品で 口髭はマッチ、顎はランプで 舌は炎、目玉は蝋燭
である。 火で構成された人間の気質は 黄胆汁質で怒りやすく
攻撃的とされた。
「四代元素より 水」・・・左
1566年 ジュゼッペ・アルチンボルド
ドイツ・ウィーン ウィーン美術史美術館
この画家は、マクシミリアンとルドルフ2世の 宮廷画家として、
宮廷内の祝祭やページェントの装置や衣装に奇想を発揮した。
それらは残っていないが、その奇妙な肖像画によって彼がいかに
才能あるデザイナーだったかがわかる。 この絵は「四元素」を
それぞれ人間の姿で表した連作の一枚で「水の元素」である。
様々な魚が一人の女を構成し、ネックレスとイヤリングは真珠で
髪にサンゴをさしている。 こうした絵は「グロテスク趣味」と
して珍重された。
「アイソンを若返らせるメディア」
1570~1573年頃 ジローラモ・マッキエッティ
イタリア・フィレンツェ パラッツォ・ヴェッキオ
「コルキス」の王女「メディア」は、恋人「イアソン」の為に親
と兄を殺し、彼と結婚して二人の子供を産むが、「イアソン」が
彼女を捨て他の女性と結婚した時、彼の花嫁・その父・二人の我
が子まで殺した。 「メディア」は「イアソン」の老父「アイソ
ン」の古い血を抜き、薬草の液と入れ替えて若返らせた。 彼女
は釜のそばに立ち、月桂樹の枝で材料をかき回している。 「ア
イソン」は椅子にのけぞっている。 この主題が好まれたのは若
返りが人間の不変の願望だったからである。
この後、「屋外展示」の「モネの大睡蓮」を見に参ります。
周りを池に囲まれてた「大睡蓮」ですが・・・小雨模様の所為か、
残念ながら見に来る人が少ないようですね。
この後は、大人気で行列が出来ている「フェルメールギャラリー」
に向かいます!