では、幾つかの例文を、この文型の基本法則にしたがって考えていきましょう。
同一文に対する複数の文型解釈
例えば、先ほど例に挙げた、I want you to sing a song. という文を、文型の基本法則に当てはめると、下記パターンが考えられます。
1) I (S) want (V) you (O1) to sing a song (O2). -> 第4文型
私は(S)、あなたに対して(O1)、歌を歌おうとする状態を(O2)、欲する(V)。
2) I (S) want (V) you (O1) to sing a song (C). -> 対象文型無し
私は(S)、あなたに対して(O1)、歌を歌おうとする状態で(C)、欲する(V)。
3) I (S) want (V) you to sing a song (O2). -> 第3文型
私は(S)、歌を歌おうとするあなたを(O2)、欲する(V)。
4) I (S) want (V) you (O2) to sing a song (C). -> 題5文型
私は(S)、あなたを(O2)、歌を歌おうとする状態で(C)、欲する(V)。
この文章の文意を「私は、あなたに歌を歌って欲しい。」という意味だと捉えると、2)や4)は「自分が歌いたい」という意味になってしまうので、文意としては正しくないことになります。3)は一見良さそうな感じはしますが、"you to sing a song"は厳密には、「あなたが歌を歌ってない状態から歌を歌い出す直前までの状態」をイメージしながら話している事になる(これはちょっと解釈が難しいので別のページで解説します。)ので、あなたが歌い出したら、私は突然興味がなくなってしまう事になります。(歌ってと言っておいて、歌い出す瞬間に伴奏を止めちゃうコントでもやっていれば別ですが。。。)なので、この場合は第4文型ということになります。
また、3)については、そもそも英語として間違っている可能性があると思っています。(もう少し研究したいのでここで書く事は空くまでもまだ仮説ですが)それは、
代名詞は形容詞句によって修飾できない
という別の法則があるからです。この問題は、直接的には文型の問題ではありませんが、間接的に一つの文型の疑問を解消してくれます。
これは、形容詞の限定用法に関する制限として、学校でも教わったかもしれません。代名詞が形容詞句によって修飾できないという考え方の詳細は、別途、形容詞句をテーマにしたページに記載することとしますが、基本的には、代名詞はある特定の名詞を、繰り返し使うことを避けるために使われる、要するに、その代名詞の意味は既に限定されていて(それがどんなものなのか、その文章を聞いたり読んだりする人は既に知っている)、限定されているものを、形容詞句を使って更に限定修飾することは出来ないという考え方です。
なので、you to sing a songを一つの目的語と捉えた場合、to sing a songという形容詞句がyouという代名詞を修飾していることになり、この法則から矛盾することになります。また、この法則を正とすると、次の問題を解決することが出来ます。なぜ、以下の場合、4)は文法的におかしいのか?
1) I pick Ken up. ○
2) I pick up Ken. ○
3) I pick him up. ○
4) I pick up him. ×
ここで、1)と3)の文型を考えて見ます。
I (S) pick (V) Ken [or him] (O2) up (C). となります。
(S:誰が)私は、(O2:誰を)ケン[彼]を、(C:どのように)上方に、(V:どうする)つまむ。(上方につまむ->拾う->迎えに行く)
では、2)はどうでしょうか?
I (S) pick (V) up (C) Ken (C). ×
Kenは、どのようにpickするということを説明する補語の意味としては使えません。
I (S) pick (V) up (C) Ken (O2). ×
補語の後に目的語が来ることは、語順として許されていない(はずです)。
I (S) pick (V) up Ken (C). ○
と言うことは、up Kenを「上に上がって行くケン」をイメージして一つの補語句と捉えると、(S:誰が)私は、 (C:どのように) 「上に上がっていくケン」という結果を得るために(結果、ケンが上に上がるように)、(V:どうする)つまむ。という解釈ができます。
この時、upは「上に上がっていく」という意味でKenを修飾している形容詞だと捉えることができます。
up Kenを「上に上がっていくケンという結果を得るために」と意訳するのは、強引な気がするかもしれませんが、述語動詞の直後に、何らかの移動があってからその名詞に到達するイメージの前置詞(toやupやdownなど)を伴う補語が来る場合、その動作を実行した後の結果を表します。
I proposed to her. 私は彼女にプロポーズした。
((結婚する)提案という行動を起こして、結果、それが彼女に届くイメージ。)
I gave up my dream. 私は夢をあきらめた。
(夢を手放して、結果、それが上の方に行ってしまうイメージ。)
She turned down Ken. 彼女はケンをふった。
(背中を向けて、結果、ケンが下に落ちていっているイメージ。)
さて、もうお気づきかもしれませんが、up Kenをup himに置き換えた場合、「上に上がっていく彼」ということになり、代名詞をupという形容詞が限定修飾することになります。このため、I pick up him. という語順が文法上許されていないと考えています。
今のところ、文意の捉え方によっては、2)や4)の文型解釈が間違いだという結論には達していません。2)は「私は歌を歌いたいと思いながら、あなたに対して(何かを)望んでいる。」、4)は「私は歌を歌いたいと思いながら、あなた(自身)を欲しがっている。」と捉えることも出来るのではないかと思うからです。但し、「どのように欲しいか?」を説明するための補語として「歌を歌おうとする状態で」という説明は、「あなたに対して(何かを)望んでいる」または「あなたが欲しい」という目的に対して、あまりにも脈略が無いため、そういう解釈にはならないのでは無いかと思います。
例えば、
I call him a taxi. (私は、彼のためにタクシーを呼びます。) 第4文型
I call him Mike. (私は、彼をマイクと呼びます。) 第5文型
見た目の文型は全く同じなのに、前者は明らかに第4文型、後者は第5文型です。でも、もし、私が彼の事を本当に“a taxi”というあだ名で呼んでいたら、前者も第5文型になります。でも、普通は、彼のためにタクシーを呼んでいると思うでしょう。それは、“a taxi”というあだ名は、あまり現実味が無いからです。これと同じ様な感じです。
また、これは、
単語と文型だけでは文意は一意には決まらない
ということも意味しています。文意を理解するためには、想像力も必要だということです。
I (S) + call (V) + him (O1) + a taxi (O2).
(S:誰が)私は、(O1:誰に対して)彼に対して、(O2:何を)タクシーを、(V:どうする)呼ぶ。
I (S) + call (V) + him (O2) + a taxi (C).
(S:誰が)私は、(O2:何を)彼を、(C:どのように)タクシーと、(V:どうする)呼ぶ。
第4文型から第3文型に変換すると、間接目的語(要素)が修飾語句(飾り)になる?
She (S) gave (V) him (O1) a present. (O2) -> 第4文型
She (S) gave (V) a present (O2) to him. (不要な物?) -> 第3文型
何で、文意が全く同じなのに、第4文型のhimは文の要素で、第3文型のto himは文の飾り(要らないもの)になってしまうのか不思議でしたが、この第3文型は、S + V + O2 では無く、
She (S) gave (V) a present (O2) to him (C).
(S:誰が)彼女が、(O2:何を)プレゼントを、(C:どのように)彼に向かって、(V:どうする)あげた。
全部、文の要素だっちゅーの!(古。。。)