National Service(NS)  | シンガポール通信

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「National Service」(NS)とは、強制的な「国家サービス」を意味する一般用語で、通常日本語で言うところの「兵役」を意味します。「Military Service」とか 「Conscription」とも言いますが、NSという言葉は第二次大戦中から英国にて使用され一般化された英国起源の言葉のようです
(By Wikipedia)


国家が国民に兵役に服する義務を課す制度が徴兵制度ですが、CIAの「World Fact Book」や外務省などの資料によると、現在世界で、軍隊またはこれに類する組織を保有する約170か国のうち約67か国が徴兵制度を採用しているそうです(By Wikipedia)。


ばくっと言って世界の3分の1の国で徴兵制があるようですが、アジアでは徴兵制は意外と一般的でして、日本のお隣の韓国、北朝鮮の徴兵制は有名な話です。台湾や中国にも徴兵制度はあります。但し、台湾は2015年までに徴兵制を廃止することを明言してます。又中国の場合は、志願兵だけで定員を充足しているため制度はあるものの実際には徴兵は行われていないようです。


東南アジアにおいても徴兵制度は一般的で、ASEAN加盟10カ国のうちブルネイは制度自体がないのですが、他の多くの国には徴兵制度があるようです。


英国の影響が強い当地シンガポールのそれは、まさに「National Service(NS)」と呼ばれ、18歳に到達したシンガポール国民男子及び親がPR(永住権保有者)のシンガポール居住外人男子は2年間(*注)のNational Serviceに服す義務があります。

尤も、服務先は軍隊:Singapore Armed Forces(SAF)に限らず、警察:Singapore Police Force(SPF)や消防、救急等:Singapore Civil Defence Force(SCDF)もありますので、必ずしも「兵役」とはいえないのですが、大半はSAF、中でもArmyに服するのが一般的ですので、当地ではNational Service=Armyと言っても過言ではありません。


(*注)2004までは2年半でした。


シンガポールにおける徴兵招集の流れですが、通常、中等教育(Secondary School)終了後に1回目の召集令状が届き、 17歳時には健康診断、運動能力審査等の徴兵検査を受けるものの、実際の入隊は高等教育(Junior College/Polytechnic等)終了まで延期するのが一般的なようです。

従って、Junior College卒業者の場合は19歳くらいから、Polytechnic卒業者の場合は20歳位から2年間のNational Serviceに服すことになります。


Armyの場合は、まずはテコン島(チャンギ空港のすぐそばのBMTCenterがある一般人立入禁止の島です)で3ヶ月間の基礎訓練「Basic Military Training(BMT)」を受け、そこにおいて射撃、野外工作、サバイバル、カモフラージュ等の教育を受けるそうです。兵になると、一般市民の身分証明書をNSの身分証明書と替えたり、髪を丸刈りにしたり、軍服、軍靴やバックパックといった装備一式が支給されます。BMTの最初の三週間は家には帰れませんがその後は週末に限り戻れます。

BMT終了時にテストコースがあり合格したら修了式にのぞみ基礎訓練は終了します。あとの兵役の生活はBMT時の成績によって隊長が決めた適当な軍隊に編入されることになります。

尚、NS期間中、給料は支給されるのですが、日本円換算で月4~5万円程度といったところでしょうか。


こうして2年間のNSが終了すると" Operationally ready"とみなされ、「Operationally-Ready National Serviceman(NSman)」となります。所謂Reservists(予備役)です。

つまり、この2年間のNSが終了しても、40歳までは(将校は50歳まで)年一度の招集に応じなければならず、又13年間はIn-Camp Trainingを受けなければなりません。

更に、毎年不定期に、主に電話を使用する「Silent」、又はテレビ、ラジオ等マスメディアを使用する「Open(注2)」のいずれかの方法による非常招集がかけられ、対象者は一定時間内に定められた装備を装着して非常呼集司令部に集合しなければならず、正当な理由なく応じなかった場合は処罰(罰金、懲役)されます。
(注2:シンガポールでテレビを見ている際に時々画面隅に暗号のようなテロップが流れるのに気づかれるかと思いますが、それです。)


シンガポール男性はNS義務を終え、更に大学を経てから社会に出るとすると大体25歳前後になります。
社会に出るスタート年齢がシンガポール女性や他国人比遅れるというハンディに加え、社会に出てからもこのような継続的な義務を背負ってるという意味で我々には想像できないストレスを負っている(あるいはマインドセットが違う)気がします。


NS制度自体の是非については当地でも当然ながら賛否両論あります。(私見を述べるのは控えるとして)NSをテーマにしたシンガポール映画に、(歴史的名作?)[Army Daze] directed by Ong Keng Sen(1996)と昨年これをリメイクした [Ah Boys to Men] directed by Jack Neo(2012)とがあるのですが、興味が有る方は一度観られる事をおすすめします。前者はYoutubeで観れますし、後者は今、シンガポール航空のフライトに乗るとシートTVで観れます。


ただ、少なくともNS制度を維持する財政上の負担という意味では少なからぬものがあるのは明らかです。
シンガポール国の歳出項目の第一位は常に国防支出(2013年度歳出予算S$53.4Bilの内S$12.3Bil=23%)となっているのもうなずけます。

因みに歳出項目の第二位はこれも常に教育関連(2013年度予算S$11.6Bil=22%)となっており、シンガポール国の歳出は国防、教育で半分近くを占めるという構造が続いています。


余談になりますが、今年に入り当社シンガポール人男性スタッフ二名に立て続けに同じような時期での2週間の訓練招集がありました。
さすがにこれでは業務に支障が出ますので、こういう場合は会社として国防省に対し訓練期間の変更あるいは短縮の嘆願書を提出することになります。
いろんな(もっともらしい)理由を付したレターにするわけですが、リーゾナブルな理由である限り大体認められます。
当地にてシンガポール人を雇用しビジネスを行わせていただいているものとしては誠に有り難い限りです。
尚、(あまり知られていないかと思いますが)会社の被雇用者が訓練に狩りだされている期間の、会社としての損失に対する補填(Make-up Payment)として、当該スタッフ月給のほぼ該当期間按分の金額が後日国防省より会社に対して支払われます。これも又有り難い限りです。