東南アジアよもやま情報-1 | シンガポール通信

シンガポール通信

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○ シンガポールの人口(500万人に)

先般、シンガポール統計局は今年6月末時点でのシンガポールの人口統計を発表しました。http://www.singstat.gov.sg/
それによりますと、総数は498万7,600人で前年末比3.1%増となっています。

もっとも、以前にもご紹介しましたように、ここシンガポールは、いろんな「外国人」で構成されている国でして、この約500万人のうちシンガポール国籍を持つ「国民」は約320万人(前年末比1.1%増)で居住者全体の6割強です。

残りの4割、約180万人は居住を許されている所謂「外国人」になるわけですが、内訳は永住権者(PR)が53万人(同10.4%増)で、企業駐在員とその家族や出稼ぎ労働者等の「外国人非定住者」が126万人(同5.5%増)となっています。

因みにシンガポールの人口は、1965年の独立当時は200万人弱でした。
以降1990年に300万人2000年に400万人と増大してきて09年でほぼ500万人となったわけです。
尤も「外国人非定住者」の数は1990年が31万人、2000年が75万人、09年が126万人となっており、
つまり1990年以降の人口増加は「国民の人口増加及び永住権者の受け入れ増加」でその半分が賄われ、残りの半分は「外国人非定住者の受け入れ増加」で賄われたものです。

居住者人口のエスニック別比率は、中国系が74%(2000年は77%)、マレー系が13%(同14%)、インド系が9%(同8%)となっています。

国民年齢の中央値は37歳(1970年は20歳)。年齢65歳以上の住民は居住人口の8.8%(1999年は7%)で、65歳以上の居住者1人に対する15~64歳の居住者の数(Old Age Support Ratio)は8.3人となっています(1970年は17人、1999年は10.1人)。

シンガポール国民及び永住権者(これが"Residents“と定義されています)の世帯数は約110万世帯あり1世帯平均人数は3.5人。

初婚年齢は、大学教育を受けた女性の中央値で08年が28.2歳(10年前は26.8歳)、男性は30.1歳(同29歳)となっています。
尚、08年の合計特殊出生率は1.27(07年は1.28)となっています(日本と同)。

一口メモ:
日本の合計特殊出生率の低さはよく話題になるのですが、日本より低いアジアの国・地域も意外にありましてマカオ(中国)が最低で0.95香港(中国)が1.02、韓国が1.22、シンガポールが日本と同じく1.27となっているらしいです。(国連統計http://www.un.org/esa/population/publications/wpp2008/wpp2008_text_tables.pdf
尚、世界全体の合計特殊出生率は2.56とのこと.

人口の自然増と自然減の境目は2.08とされ、これを下回る状態が長期に継続すると人口が減少するとともに、医療水準が高く平均寿命が長くなると人口構成の高齢化が急速に進むらしいです。

先進国の合計特殊出生率は概ね低く、OECD加盟30か国中2.08を上回っているのはメキシコ2.21、トルコ2.13、アイスランド2.1と米国2.09の4カ国のみ。

又人口1億人以上の人口大国は現在1位の中国から11位のメキシコまで11カ国あるのですが、内4カ国は2.08を下回っています。(ブラジル1.9、中国1.77、ロシア1.37、日本1.27)


○ 若い国、東南アジア
以上のようにシンガポールは新興国のイメージはあるものの、人口構成をみてみると、長期間の合計特殊出生率の低下もあり国民年齢の中央値は既に37歳にもなっており人口構成の高齢化という「先進国」としての問題を抱えています。
(因みに日本の国民年齢中央値は44.2歳、ドイツ43.8歳。仏39.4歳、英国40.2歳、米国36.7歳
尚、世界平均は28.4歳。 以上CIA WorldFactBookhttps://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/fields/2177.html

そういった中で、東南アジア(ASEAN)全体としての人口構成はどうなっているのか調べてみたところ以下の通りでした。

・ ASEAN加盟10か国の各国人口・年齢中央値は、
インドネシア:229百万人・27.6歳、 フィリピン:91百万人・22.5歳、 ベトナム:86百万人・27.4歳、 タイ:66百万人・33.3歳、 ミャンマー:59百万人・28.2歳、 マレーシア:27百万人・24.9歳、 カンボジア:14百万人・22.1歳、 ラオス:6百万人・19.3歳、 シンガポール:5百万人37歳、ブルネイ:0.4百万人・27.8歳

合計人口・加重平均年齢中央値は 583百万人・27.2歳
となっており合計特殊出生率が2.08以下の国はシンガポールの1.27とタイの1.81の二国のみ。
世界人口を68億人とすると人口は約9%を占め、年齢中央値は世界平均の28.4歳よりも若い27歳。

因みに中国・日本・韓国の東アジア3国の各国人口・年齢中央値は、
中国:1,328百万人・34.1歳、 日本:128百万人・44.2歳、 韓国:49百万人・37.3歳
合計人口・加重平均年齢中央値は 1.504百万人・35.06歳
世界人口の約22%を占める地域ですが、合計特殊出生率が中国1.77、日本1.27、韓国1.22を考えるととても「若い国々」とは呼べそうも無いですね。
(参考までに、北朝鮮は人口24百万人・33.5歳で合計特殊出生率は1.86とのことです)
出所:人口/合計特殊出生率;国連 国民年齢中央値:CIA