
マサミが私の胸をまさぐられる。
私は全身の孔から水や気を滴らせながら、くすぐったいのか、痛いのか、
気持ちいいのかわからない触感に身もだえしている。声を出したら笑われると、
頭の隅では思っているのだが、うめきか、泣いているのか、わからない声が、
唇を噛んでいるというのに、漏れあふれていくのだ。
マサミの指がようやく探し当てたかのように(それともじらされていたのかも)、、、
乳首でとまった。左の乳首。マサミの親指、人差し指、それに中指も?
”キュッ”とつねられた。
「あっ!」
笛のような高い音がのどの奥から空中に飛んだ。
”キュッ”
短く、すばやく、強い指の力。
「痛い!」
眼の中が涙であふれる。痛い、本当に身を切る痛さ。私は泣き始めた。
嗚咽のしのびが低音で流れる、でもからだは身もだえを続ける。
痙攣して、くねくねして、空気の隙間ができないくらいにマサミのからだに密着しようと動く。
「痛い?」
とおっしゃる。にじんだ涙の向こうで、マサミが私の顔をのぞかれている。
「ええ」
かすかに答える。
「じゃやめる」
指の動きが止まる。痛さが遠のき、いろいろな触られ感がなくなっていく。
私はほっと安堵する。
まだ私はマサミの腕のなかにある。私の唇はおとがいの下、鎖骨の間のネックレスに触れている。
かすかに汗ばんでいい香りがする。
唇を離してマサミを見上げると、私をじっと見つめられている。
指は乳首の上にまだ残っている。なにを言わせたいの? 私はあなたのものよ。
「でも、あなたはおもしろいし、楽しいんでしょ?」
マサミがコックリされる。
「じゃ、やって! もっと! もっと、私を弄んで! めちゃめちゃにして。お願い!」
かすれた声だったか、叫ぶように言ったのか、覚えていない。
私は訴えて、マサミの胸に顔を埋めた。
「よし」
という声が聞こえた気がした。
でも、それは風の音。マサミがさっと動かれて立った風。
私にはわかる。実際にこの眼で見たわけでなくとも、
私のお願いにマサミが破顔されて覆いかぶさってこられたことを。
暖かい感触を敏感な場所に感じた。足を開かれて舌の動きがこまめに動く。
吸われる。舐めまわされる。押し出される。
舌そのものに新たな何かが宿ったような予測不能な動き。
執拗に繰り返される。快感の証がしたたり落ちる。
自然に動き出す腰。
確認したかのように、突然マサミの筋肉が一瞬固くなったのを感じた。
見えもしないのに、マサミの紅潮した唇が一瞬微笑んだのがわかった。
私にのしかかってきたマサミは
”ギューッ”
強力な万力で、いっきに私の乳首に吸い付き噛んだ......
「アーッ!」
マグマの爆発のような、ものすごい快感。私は身を瞬時に灼いた。
そして真っ暗な奈落に転がり落ちた。
「どうした、白目をあけてよだれを垂れ流していたよ」
笑いながら、マサミが私のあごの下を撫でてくださった。
私は失神していたのだ。
恥ずかしかった。おそるおそる乳首を見ると、赤黒い傷跡が残っていた。
私は幸福感に包まれた。