$寝ても醒めても ~ Nuit et Jour ~-victory.jpg


夏至の夜の祭り。
一年で一番短い夜に出逢った、
際立って美人の女性との物語。

パリ郊外のエクスクルーシヴなカントリークラブ会員の集い。
高級官僚、会社役員、弁護士、医師、そしてよくわからないセレブ達。

ブルネットの髪にノワール(黒)のドレス。
40代にみえる。
訊けば、子供は3人と。
一番上が29歳、次が24歳、ともにNY在住。
一番下が6歳の女の子。
絵の中から現れたように傍らにいる。

そうか、やはり50代か。
20歳の年齢差などなんとでも
乗り越えられそうだ。
モデルと思ったが、、、
フード関係のマーケッティングマネージャーとか。

ヴィクトリィは私に潤んだ目で語りかけ、
腕をとって耳打ちする。
「あなたはなんていう名なの?」
『はるき』
「アルキ??」
『日本人だからね。Hを発音するんだ。』
「ハルキね。ハルキ。遠い異国の香りがするわ。」
舌足らずにする発音もかわいい。

女友達とやってきたヴィクトリィ
焼けた肌がまぶしい。
長い睫毛を伏し目がちにして一瞬遠い目をして言った。
「ハルキ、画家であった夫は3年前に他界。
最後はもう10年以上、闘病生活だったのよ。」

末の6歳の娘は夫の忘れ形見か。
「ノン、命尽きる前の忘れ形見なんかじゃないわ。彼の死後の嫉妬よ。」

この美しい妻に世話をさせるために残した娘。
自分の亡き後に他の男に奔る足にちょっとした戒め、、、、

瞬時に悟って私は身震いした。
母も娘も、、、、