『宇宙の片隅で愛の風を』オリジナルライトノベル小説(恋愛)
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あらすじ
「安住の地を探すために彷徨い続ける宇宙船で多くの人間たちがコールドスリープで眠りにつく中、テオたち六人だけが十年起きたまま生活していた。
資源不足を憂いながらも協力して代わり映えのない日常を大切にする六人。全員が互いを家族だと思っていたが、ある二人が付き合っていると気づいてしまった時から少しずつ日常が崩れ始める。
喧嘩が起こり、秘密が明かされる中、テオは幼い頃から大切にしていたアリアへの想いを自覚してしまって─」
家族のように宇宙船で暮らしてきた六人の関係が恋によって揺れ動く中、宇宙船内に隠された謎が明かされていく物語。
【宇宙の片隅で愛の風を】著:蒼キるり
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COCORO BOOKS
おまけにSSを載せております。
本編を読み終えられた方に少しでもお楽しみいただければ幸いです。
テオがベッドの上で丸くなっている。前に映像で見たことのある猫という生き物を思い出した。
かわいいな、と思いながらついそっと頭を撫でてしまった。ゆる、とテオが私を見る。アリア、と名前を呼ばれた。
「なあに」
こんななんでもないやりとりが本当に楽しいのだ。もう少ししたら英雄たちの星に着くからこんな風に過ごせるのは今だけ、と思うのもこの時間への愛しさに拍車をかけている。
テオが私の指に自分の指を絡めてくる。テオがこういう触れ方をしてくるようになったのは本当に最近のことで、私はされるたびに胸が締め付けられる。
「こうやって、さ……六人で手を繋ぎながら、この宇宙船を降りることってできるかな」
「うーん、ぎゅうぎゅうにくっついたら、いけるかなぁ」
ちょっと難しいかも、と六人で手を繋いだ姿を想像しながら言うと、テオは目を逸らした。
「……変なこと言った、ごめん」
「変じゃないよ」
私は絡めた指に力を込めながら言った。そしてテオの隣に寝転ぶとテオは少しだけ驚いた顔をした。
快適な柔らかなベッドに揺られながら思う。猫に似ていると思ったけれど、赤ん坊にも似ている、と。胎内で穏やかな夢を見て羊水の中で揺れる赤ん坊に。
「ねえ、テオ。私たちが向かう星は、どのくらいの大きさなんだろうね」
すぐ近くにあるテオの目を見つめながら言う。こうしていると六人一緒に眠っていた頃を思い出す。このまま二人きりで眠ろうと言ったらテオはどうするだろうか。
「土地は余ってるのかな。どうなんだろう。もし昔の地球みたいに埋葬の文化があるなら、みんなのお墓も作ってもらえるかな」
テオの目がさっきよりも大きく見開かれる。アリア、と口を開いたけど私は首を振って微笑む。
「私もこうやって遠慮なく話すから、テオだって話していいんだよ」
私の意図を察したらしく、テオは目を伏せながら指に力を込めてきた。ごめん、と言い掛けて言葉が飲み込まれる。
「ありがとう」
空いている手でさっきよりもしっかりテオの頭を撫でる。テオは心地良さそうに目を細めてくれた。
テオは自分で気づいていないかもしれないけど、たくさんの人に愛された分だけ寂しがり屋のあなたのそばにいる一人でいられることが私は嬉しい。
どうかいつまでもこの人と共に在れますように、と二人で絡めた手で祈るように思った。







