明けましておめでとうございます。昨年中は何かとお世話様になりまして誠にありがとうございました。本年も何卒宜しくお願い申し上げます。
昨年を振り返りますと私ごとではございますが1/20に結婚式を挙げさせて頂き、能役者としても社会人としても大きな変化がありました。多くの皆様より祝福のお言葉を賜り、公私ともに充実した日々が送れるよう、より一層の精進を心に誓った次第でございます。
また6月には能「海士」を父の会にて舞わせて頂きました。謡も多く、また「海士」の持つ世界観に挑んだのですが、全く歯が立たずもっと稽古に励み、多くの舞台を拝見して勉強せねばならない事を痛感致しました。
そして昨年12/19には研能会例会にて若手能楽師の登竜門的演目の能「乱(みだれ)」を初演させて頂きました。私の能の前には、師匠の梅若万三郎先生が能「当麻」をお舞い下さり、非常に多くのお客様が見守るなか「乱」を無事に勤められたのは、先輩諸氏のご指導と日頃よりご支援くださるお客様皆様のおかげと改めて実感致しました。この場を借りまして皆様に御礼申し上げます。
能の世界では初演のことを披キ(ひらき)と言います。ある方は披キというのは新たなる自分を開く、つまりは開拓する意味合いが含まれている、と教わりました。「乱」披キに際して謡や舞といった技の面でも大きな発見や技術の錬磨を通して多くの事を体得出来ました。
それと同様に自分の鍛錬の成果を多くの方に厳しい目でご覧頂くことで、己の芸が高まってゆくことも当日の舞台で実感しました。以前より漠然とは思っていたことですが、今回の「乱」でより一層必要なことであると考えるようになりました。
上記の2つは車の両輪の様なもので、片方に力を入れすぎると芸の道を外れてしまうというのが私の考えであります。もちろん舞台に生きる役者ですから舞台が最優先であることは疑いの余地もございません。
ひとつ目の技芸の向上に関しましては、幸い多くの先生方より身に余るご指導を賜っており、先生方の教えを守ってこれからも精進して参ります。
しかし2つ目に関しましては私1人の力では達成は非常に難しいと思っております。
この事を知人や友人に相談しましたところ、まずは青木健一という能役者を応援したいという人間の受け皿となる組織を作ってはどうだろうか?つまり友の会やファンクラブを設立して協力や支援をしてもらい、あなた(健一)は会員の方の能を観る目を育ててみては?とのご提言を頂戴しました。
会員の育成は一考の余地がありますが、サポートして頂ける方の受け皿を作ることは確かに必要であると思いました。
そこで本年より青木健一友の会として「一河の会(いちがのかい)」(仮)を発足させて頂くこととなりました。
と言いましても、細かい会則や運営方法などはこれから詰めてゆくので、本格運営は少し先の予定です。しかし新しい年を迎え、この時を逃しては、きっと実行出来ずに終わってしまうという思いから、まずは今年の目標を宣言させて頂きました。
これからも芸道に邁進して参りますので、皆様方におかれましては、今後も変わらぬご厚情を賜りたく宜しくお願い申し上げます。
青木健一拝