海洋国家日本と東北漁業の復興を担う「新青丸」 | 青木愛オフィシャルブログ「いま、原点に立ちかえる時。」Powered by Ameba

海洋国家日本と東北漁業の復興を担う「新青丸」

 9月5日午後、文部科学委員会、科学技術・イノベーション推進特別委員会委員として、試験航行の途中、晴海埠頭に寄港した東北海洋生態系調査研究船「新青丸」を視察しました。
 新青丸は今年1月に退役した「淡青丸」の後継船ですが、建造の大きな目的が東日本大震災で被災した東北の主要産業である漁業の復興と、海洋の生態系の回復・再生過程を調査することにあります。
 全国の大学・研究機関が結集して立ち上がった「東北マリンサイエンス拠点形成事業」が、地球深部探査船「ちきゅう」をはじめとする調査・研究船や、世界に誇る探査機を駆使する多くの研究者、技術者と共に今後の新たな海洋国家日本を切り拓いてくれることを期待し、晴海に寄港した機会に乗船見学させてもらいました。



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 船首と船尾に「新青丸」の船名が描かれていますが、船尾には母港である岩手県「大槌(おおつち)」の名が掲げられています。
 主要研究機関である東大大気海洋研究所国際沿岸海洋研究センターが同町にあったのですが、大震災と大津波により同町の壊滅的被害と同様に被災しました。
 今秋、新青丸は大槌町の復旧中の港の沖合で就航のお祝いセレモニーを催すそうで、今から全町民はその時を心待ちにしていてくださると思います。

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 各種機器類は試験中とのことながら、先日試験航行した相模湾海底の様子が手にとるように見ることができ、現時点で世界最高の機器類だそうです。ちなみに、船内では各自がタブレット端末で各種の情報を共有できるようになっていました。

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 新青丸には水深3,000mまでの深海底に潜れ、高精細のハイビジョンカメラで深海生物や地形を撮影、記録することができ、ロボットアームでサンプル採取もできる無人探査機「ハイパードルフィン」も搭載しています。同機は2004年スマトラ沖大地震の海底調査で巨大亀裂の発見をした実績があるそうです。

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 ハイパードルフィン操縦席。後部甲板上に設置された電子機器類だらけのプレハブのような箱の中の操縦席で、2名の操縦員によってコントロールするそうです。

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 船橋(ブリッジ)にて、船長席に掛けさせていただきました。新青丸は航海性能が飛躍的に高まった船舶で。「アジマス推進器」と「ダイナミックポジショニングシステム」とにより、「操縦性能」と「定点保持性能」が高まったため、自動車のハンドルとギアレバーのようなものが数個、ボタン類がいくつかと計器類が数個あるのみでした。
 同船のふたつの推進装置は海中で回転させることができ、前後はもちろんその場で左右に動くことができるそうです。機関室は無人化されており、騒音防止のため電気推進器が採用されているそうで、確かに静かでした。

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 第2甲板には研究員、船員の居住スペースがありました。大変うれしいことに、近年海洋研究の分野では女性研究員が増加の一途で、新青丸にも女性専用の居室、設備が備えられていました。ただ、欧米では女性研究者が半数近くにのぼるそうです。



 イノベーションと言うと「IPS細胞」や「スーパーコンピューター京」などが報道されるのでとかく目が行きがちですが、海洋国家日本の将来も日々の国土の安全や国民の安全・安心も、このような分野で頑張る多くの職員や研究者、新技術の開発や活用によっても支えられています。
 本船の就航による各種データの収集や公開によって、沿岸漁業者のみなさんに一刻も早く光明が射すことを願ってやみません。







以下、今回の視察の関連リンクです。

東北マリンサイエンス拠点形成事業

JAMSTEC「独立行政法人 海洋研究開発機構」