桑田さんが主題歌を担当し、「我が心の妻」(笑)=伊東美咲が出演ということで、前売券まで買っておいて、今日観に行きました。売店でプログラムと携帯ストラップを購入。ポップコーンとウーロン茶(アイス)を持ち込んで出陣です。平日の昼間だけに館内はガラガラ。

 予告は邦画中心で、もうすぐ公開される『HERO』や『続・三丁目の夕日』の宣伝で、「日本映画も捨てたもんじゃない」と思わせるラインナップだった。


 さて本編だが、この物語を映画化するに当たって、どこに焦点を持って行くかが作品の良し悪しに関わってくる重要な問題だったに違いない。2時間以内で表現するにはあまりにも原作の情報量が多すぎる(まあ、どんな作品も映画化されるときはそうなのだが)。


1.二人で世界を「ドサ周り」した時期

2.レースに勝てるようになり子宝にも恵まれ、幸せな時期

3.レースに勝てなくなり、家族(特に長女・小夏)と折り合いが悪くなった時期

4.ガンが発覚し長きに渡る治療生活の末、パニック障害に陥る苦悩の時期

5.家族や友人たちの支えにより立ち直り、執筆活動に専念

6.そして迎える「死」


この映画では、4.の部分にあまり尺が取られていない。つまり「闘病記」を主としたドキュメンタリーではなく、それを支えた家族たちの「ノンフィクション・ラブ・ストーリー」なのである。『ガンに生かされて』を読んだり、テレビのドキュメントを観た人たちは、同様の感動を期待すると肩透かしを食らうだろう。この映画の主役は飯島夏樹本人ではなく、妻の寛子であり長女の小夏である。

 私はいきなり冒頭の「海洋葬」のシーンで涙が出てきた。それはそこに至るまで過程を予め知っているからであり、予備知識の無い人にとっては、ただのワンシーンに過ぎないだろう。主題歌の歌詞にもあるように「希望に燃ゆ未来」が夏樹の遺灰を撒きながら微笑む家族達に感じられる。次に泣けたのは、ウインドサーフィンを練習する小夏に夏樹が近づくと小夏が「死なないで」と言うシーン。そして最後に寛子がハワイのマンションのベランダで夏樹の死を見届けるシーン。いずれも家族との絆が強く描かれたシーンである。

 原作を読んでから観ても、読まずに観ても、心の琴線に触れるシーンは違えど楽しめる映画だとは思う。これは前述した1~6までのエピソードをバランス良く配した結果であり、そういう意味で本作の構成は成功したと言えるだろう。そして冒頭が「別れ」のシーンであり、ラストが夏樹と寛子の「出会い」のシーンであることが、「死」によって終わるのではなく、始まるものがあること、力強く「生きる」ことを伝えたいというのがこの映画の趣旨であることを強調している。

 ちなみにプログラムには、桑田佳祐からの短いコメントと『風の詩を聴かせて』の全歌詞が掲載されているので、ファンは買って損はない。