- 桑田佳祐, 島健, 山本拓夫
- 明日晴れるかな (通常盤)
明日晴れるかな
CX系月9ドラマ『プロポーズ大作戦』の主題歌としてお馴染みのバラード・ナンバー。ドラマのエンディングに桑田佳祐本人が出てくることでも話題に。
ラジオで桑田さんが言っていたようにビートルズを意識して作ったらしいが、彼の曲にしては珍しいキーが「F」。ビートルズには「Hey Jude」や「Yesterday」など名曲と言われている曲にキーが「F」の曲があるのだが、いずれも作詞・作曲はポール・マッカートニーであり、鎌倉でのレコーディング合宿で片山敦夫氏が弾いたピアノを聴いて、ビートルズ後期からソロ初期のポールをイメージしたのだろう。「ミュージックステーション」でこの曲を歌っていた桑田佳祐を観たが、通常彼の楽曲にはキーが「G」や「D」の曲が多く、たまに「F」や「C」の1音低いキーの曲を歌うとファルセット(裏声)がよく出るという効果があるなあ、などと穿った見方をしてしまった。まあ年齢的なこともあるし、10年前、20年前と同じことを求めるのは酷なのも分かっているつもりだけど。
楽曲自体は10人に訊けば9人は「いい曲」と答えるのではないか、というぐらいの曲。「白い恋人達」以来の名バラード、などと評価する輩が多いが、そこまではどうか。というより並べて比較する対象ではない気がする。この曲の良さと「白恋」の良さはまったく別物と思っている。
歌詞で気になったのは、「神より賜えし孤独やトラブル」のところ。表記がカタカナなのに発音は英語に近い「トゥラボォ」なのである。これは明らかにビートルズの「Let It Be」の冒頭の歌詞、「When I find myself in times of trouble, Mother Mary comes to me」からの引用である。しかし桑田は「あるがままに(Let it be)」とは歌わない。「これが運命(さだめ)でしょうか?あきらめようか?」と弱気なこと口にする者に対し、「残るのは後悔だけ」だと言い、「その鍵はもう君の手のひらの上に」(=君次第でもどうにでもなる)と励ますのだ。韻のふみ方など相変わらずの桑田節も健在で、基本的には今までの彼の「いいとこ取り」である。
最後の子供のコーラス部分についてだが、必要かどうか意見が分かれるところだろうが、私は「必要」だと思っている。「ミュージックステーション」のタモリとのトークの中で、あそこは一番最後に歌入れした部分で、いくつか歌詞を変えて歌ったが、子供に歌わせて一番シックリきたのが「明日晴れるかな」だった、とのこと。「明日晴れるかな」という歌詞はこの部分しか登場しない。つまり歌入れがすべて終わった時点でタイトルが決まったのだ(別に桑田佳祐のレコーディングにおいて珍しいことではないのだが)。こんな重要な部分はないだろう。そして子供に歌わせることによって、ある程度大人になった人間が思い悩むことも、無垢な子供の頃に思った「明日晴れるかな」、その程度のことでしかないんだよ、子供の頃みたいにピュアに考えてみれば自ずと答えは出るでしょう?というメッセージが込められているのである。
こんな僕で良かったら
「American Express」のCM曲。ちょっとジャズっぽい雰囲気だと思ったが、B.B. King 的なブルースを意識したとか。ギターソロも桑田佳祐が弾いているらしい。フルバンドでのアレンジはゴージャスさを醸し出している。サザン初期に出会った故八木正夫氏から影響を受けた部分を上手く消化した結果がこの作品に出ている気がしてならない。
歌詞を見ると、男の下心満載の、ある意味すべての男どもが共有できる「情けない男」を歌ったものである。白眉は最後の部分だろう。
男らしい首筋に口づけてバナナ
桑田佳祐以外にこの歌詞を考え、歌える日本人を私は知らない。
男達の挽歌(エレジー)
そんなタイトルの映画があったような・・・w
桑田佳祐自身が出演している「ダンディハウス」のCM曲。1曲目がポールなら対称的にこちらはジョン・レノンか。いやいや「But I like it !!」の借用(笑)、女性コーラスの入れ方、ホーン・アレンジと、70年代前半のローリング・ストーンズに対するオマージュであるwww
「明日こそ晴れるだろう」という歌詞は、明らかに表題曲とのシンメトリーを成立させるために持ってきたのだろう。「明日晴れるかな」がどちらと言えば「知的な」解決方法を提案しているのに対し、こちらは「痴的」に行こうとw
闘魂(たましい)の Rocket 宇宙(おおぞら)へブチ射精(あげ)ろ !!
歌詞カード見るまで、この当て字に気づきませんでした。
個人的には今回の3曲ではこの曲が一番好き。奥田民生ならこの曲をトップに持ってくるだろうけど(笑)、それが出来ないのが桑田佳祐なんだよなぁ~、などと思ってしまう。最後に夏目漱石の『草枕』からの引用との断りが記載されているが、やはりヤバかったのか?
初回プレス限定で「こんな僕で良かったら(Trumpet & Jazz Piano Trio : CM Version)」がボーナス・トラックとして収録されているが、桑田佳祐のヴォーカルは入っておらず、ジャケットへの拘りやそんなに熱心なファンでない人なら通常盤で十分だろう。
来年デビュー30周年を迎えるサザンへのつなぎとしては上等なのではないか。このあとさらに映画『Life 天国で君に逢えたら』の主題歌が控えていることを考えると、磐石の攻めですね、ア○ューズさん、○クターさん!