サザンオールスターズ, 桑田佳祐
バラッド '77~'82

 現在発売されている編集アルバムでは最も古い作品ということになるのだろうか。デビューアルバム から『Nude Man 』まで、シングルで言えば『Ya Ya (あの時代(とき)を忘れない)までを収録したバラード・ベストの第一弾である。この編集盤と発売済みのシングル、オリジナル・アルバム以外に収録されていないナンバーを語ってみたい。


ラチエン通りのシスター

 アルバム『10ナンバーズ・からっと 』に収録されている。最近、シングル『愛と欲望の日々 』のカップリングでライブ・バージョンが収録されたことにより、その名曲ぶりが再認識された感があるので、多くを語る必要はないだろう。

 「ラチエン通り」とは茅ヶ崎に実在する通りで、ドイツ人貿易商ルドルフ・ラチエンの別荘があったことにちなんで付けられたらしい。桑田佳祐が好きだった中学時代の同級生の女の子がこの通り沿い住んでおり、その子がモデルになっているとされているが、これには諸説あります。


ラチエン通り


一応、上の写真がラチエン通りだが、「茅ヶ崎ライブ」に行った際通ったけど、エボシ岩がこんなに大きく見えたかな・・・と思ってるんですけどね。


Just A Little Bit

 アルバム『Nude Man 』に収録。個人的にはとても好きな曲なんですけど、ファンの評価はどうなんでしょう。この曲の逸話としては、桑田さんがレコーディングを終えて喫茶店にいると、店内に流れた Stevie Wonder の新曲がこの曲にそっくりのメロディで、「またパクっちまった!」と思ったら目が覚めて夢だった、というのがありますね。「パクり」に敏感になっていた頃の曲なんですね。

 サザン・ファンとして知られる平井堅の曲で『片方ずつのイヤフォン』の歌詞にも、一番で


 J.B. Stevie Wonder Southern All Stars


が「選び抜いたカセット」に入っていると歌っており、二番でこの曲が登場します。最近発売したベスト盤にも入っているので、興味がある人は聴いてみてください。

平井堅
Ken Hirai 10th Anniversary Complete Single Collection '95-'05 歌バカ (通常盤)

松田の子守唄

 アルバム『TINY BUBBLES. 』に収録されている松田弘のボーカル曲で、作詞・作曲は桑田佳祐。松田弘のボーカル曲としては『翔~鼓動のプレゼント』と並んで人気のある曲でしょう。


恋の女のストーリー

 アルバム『ステレオ太陽族 』に収録。『モーニング・ムーンは粗雑に』という映画で主役を演じていた高樹澪がシングルで発売し、映画の中でも歌っている。高樹澪はただメロディをなぞっているような歌い方だが、桑田佳祐の方は「さすが」。哀愁というより倦怠感と恍惚感が上手く表現されている(笑)。


Oh!クラウディア

 アルバム『Nude Man 』とこのアルバムにしか収録されていないのに非常に有名な曲です。シングル『女神達への情歌(報道されないY型(ケイ)の彼方へ) 』のカップリングで横浜スタジアムにおけるライブ・バージョンが収められているせいでしょうか。


働けロック・バンド(Workin' for T.V.)

 アルバム『TINY BUBBLES. 』収録。テレビ出演をやめてレコーディングに専念した上で完成したアルバムの一番最後にこの曲が入っているという、なんともアイロニーに富んだ作品だと思います。


思い出のスター・ダスト

 アルバム『Nude Man 』に収録。スター・ダスト とは横浜に実在するバーの名前であり、もちろんオールディーズのスタンダード・ナンバーの曲名にもひっかけてタイトルをつけたのでしょう。「どこから聞こえるの Duke Box 」という歌詞がありますが、このバーに行ったことがある人に訊いたところ、お店にあるデューク・ボックスに入っている邦楽曲は『LOVE AFFAIR~秘密のデート』だけだそうです(笑)。映画『モーニング・ムーンは粗雑に』で舞台になったバーに似ているのですが、ロケに使われたかどうかはハッキリ覚えてません。(間違ってたら御免なさい)


素顔で踊らせて
 アルバム『ステレオ太陽族 』収録。おそらく男性タレントで初めて生理用品のCMに出演したのが桑田佳祐なのですが、その時の「キャティ」という生理用ナプキンのCMで使われていた曲の1つがこれです(もうひとつはアルバム『Nude Man』に収録されている『女流詩人の哀歌』)。


 僕は男にも生理日があっていいと思います

 ああ、偉大なる女性に、感謝・・・


 桑田佳祐が出演するCMには名コピーが多いですね。


 ところでサザンがデビューしたのは1978年なのですが、この編集盤のタイトルは「'77~'82」になっています。私の推測が正しければ、デビュー・アルバムにも収められている『別れ話は最後に』が1977年に作曲(あるいは録音)されているから「'77~」になっているのではないでしょうか。ちなみに同じデビュー・アルバムに収録されている『恋はお熱く』はアルバム用に作曲されたものなので、78年の作品で間違いないと思われます(私の記憶が正しければ、ですが)。

 それはさておき、この編集盤はデビューから1982年までの「まさに」バラード・ベストと言える作品です。「まさに」と言ったのは、この後に発売される「2」「3」には、バラードと言われて「?」という曲が多く含まれているからです。「2」「3」は所謂「大人の事情」により仕方なく作られた感があります。まあこのアルバムも選曲にメンバーが関わってはいないようですが・・・。サザンのバラードが好き、という人がまず最初に聴くべきベスト盤だと個人的には思っています。