アーティスト: 桑田佳祐
タイトル: ROCK AND ROLL HERO

 このアルバムを「洋楽のパクリ」の一言で済ませてはいけないと思う。では日本のロックやポップスで洋楽をパクらずにオリジナリティ溢れる音楽をやっているミュージシャンがいるのか?少なくとも私はCDを何万枚も売るアーティストでそんな人間を知らない。洋楽からの「パクリ」の要素が無くては、それはもはや「ロック」や「ポップス」とは言えないと思うのだ。
 ○ちゃんねるあたりの掲示板の邦楽板で、桑田やB'zをまるで犯罪者かの様に扱う輩がいるが、そんなこと言ってる奴こそポップミュージックが何たるか知らない大馬鹿者であると言いたい。
 そして「パクリ」の権化=桑田佳祐の魅力を余すところなく堪能できるのが本作である(笑)。

HOLD ON (It's alright)
 『桑田佳祐全国ドームツアー2002「けいすけさん、色々と大変ねぇ。」』というツアーのオープニングを飾った曲ですね。このアルバムのレコーディング中、すでにこの曲を東京ドームのコンサートの1曲にやることを想定していたとのこと。
 Bob Dylan の「Subtarrenean Homesick Blues」を思い出します。ボーカルもなんかノビノビと自由にやってる感じがいいですね。

ROCK AND ROLL HERO
 コカコーラのCMでも使われ、歌詞にも「Coca-Cola」が出て来ます。政治批判の強い歌詞でストレートなロックンロールをやってるところが、スピリット的には John Lennon を感じます。
 「米国(アメリカ)は僕の Hero」という歌詞を見て「アメリカに迎合してる」なんて言い出すのが、前出の○ちゃんねるに纏わり付いている奴らで、これが irony と捉えられない厨たちに大人のやることを批判する資格はないのです。
 irony の意味が分からない?ママに買ってもらった辞書で調べなよ。

或る日路上で
 なんか、ファンクっぽいリズムで始まりますが、この歌に登場する女性は、某お笑い芸人の奥方なのでしょうか?(笑)

影法師
 John Lennon の「Mother」を彷彿させます。「Ah~」ってとこが実にレノンしてます。

BLUE MONDAY
 イントロが Derek & The Dominos の「Why Does Love Got To Be So Sad?(恋は悲しきもの)」に雰囲気が似てます。この曲には、LOVE PSYCHEDELICO の二人がコーラスで参加してます。

地下室のメロディ
 最初に聴いた時、「ドアーズっぽいなぁ。」と思いました。オルガンの使い方とか。

東京
 先行でシングルカットされた曲ですが、ここで扱います。最初にこの曲を桑田の長男に聴かせたところ、「ブルースだね。」の一言で片付けられたとのエピソードがあるそうで。これをシングルカットしてチャートの1位を獲得したというのは、実に驚きです。「名曲だけど、勇気あるなぁ。」ってね。
 「けいすけさん」ツアーでは、ハワイで見初めて日本に帰ってきてから買ったというTVイエローの Gibson SG を抱きかかえるようにしてこの曲のギターソロを弾いていたのが印象的でした。

JAIL~奇妙な果実~
 変拍子が入ってる曲って結構好きなんですよ。だからこのアルバムの中でも私としては上位に入る1曲ですね。ちょっと捻じ曲がったブリティッシュ・ロックという趣なのに、なんでサブタイトルが Billie Holiday なんですかね・・・。

東京ジプシー・ローズ
 演奏はフリージャズっぽい雰囲気を感じますが、歌詞は実に日本的情緒を醸し出しております。

どん底のブルース
 桑田佳祐版「私の世紀末カルテ」(笑)。「世紀末カルテ」が私的な歌詞だったのに比べ、こちらは外に向かっての叫び、とでも言いましょうか、その違いはありますけどね。

夏の日の少年
 Rickenbacker の12弦ギター(おそらく)を使ったリフが The Byrds を思い出させます。ちなみにこの曲、シングル「東京」にカップリング収録されたものとボーカル・トラックが違います。よく聴いてみましょう。

質量とエネルギーの等価性
 私的にはこのアルバムのベスト・トラックです。こういうのをデジタル・ロックというのでしょうか(同じことを「爆笑アイランド」のとこでも言ってるな)。中盤のラップも実によくハマってて、カラオケで歌うと暴動が起きそうです(違う意味でか)。歌詞は訳分かりません。相対性理論の公式が覚えられるメリットはあるようです(笑)。

ありがとう
 ピアノは原由子、ストリングスはライブでもお馴染みの金原千恵子。アルバムの中ではちょっと毛色が違う楽曲ですが、この「異彩」に安堵の溜息をつくのは私だけではないでしょう。

 「孤独の太陽」ほどの深さはないですが、この時に桑田佳祐がやりたかったことは思う存分やった、って感じが出てていいんじゃないですかね。なんか KUWATA BAND の「NIPPON NO ROCK BAND」日本語版って気がします。