2023年7月16日
(その一)からの続きです
10:37
いよいよこのルートの核心部
クサリ場下までやって来た
振り返れば登って来た県界尾根と
下山に辿る真教寺尾根が
平行するように俯瞰できる
先ずは一本目のクサリ場
比較的傾斜が緩く足がかりも豊富
ここは然程の難しさも無く登り上げる事が出来た
そのクサリ場上部の岩陰には
ヘビイチゴやムシトリスミレ
岩から染み出す水に潤されて
苔間で健気に花を咲かせる
そんな花を愛でられるのも束の間
再びスラブ状のクサリ場が現れる
斜面はザレ気味
小砂利が嫌らしくまぶされて気が抜けない
ただここは、クサリを確り握り
足裏感覚に集中すれば問題無しだった
道は瘦せた尾根道に切り替わり
ハイマツの陰には
チシマギキョウやコケモモの花
いよいよ高山植物たちの世界になってきた
右手に細い踏み跡を分ける
赤岳展望荘への道だ
だが、我が進路は直登ルート
心細いハシゴ段が続いている
一段だと思っていたハシゴ段は
幾本も繋ぎ合わさって
何処までも続くかのよう
長い長いハシゴ段を登り切ると
下山者が待っていてくれた
如何やらこのルート
下山に使う方が殆どのようで
この辺りからすれ違う人が多くなった
登っているのは自分一人
迷惑な奴と思われそうだったが
気にせずに登って行く
岩陰に黄色いスミレを見つける
固有種のヤツガタケキスミレかと思ったが
よく見るとキバナノコマノツメ
生育場所がチョット湿り気のある所
条件が違いましたね
右手に並行する稜線道が見えてくる
そちらには多くの登山者の姿が列をなす
言うなれば銀座コース
それに比べればこちらは静かなものだ
上部に赤岳頂上山荘が見えてくる
もう一息だ
だが、標高が2800mを超えたせいか
足を踏み出すほどに息も上がる
幾度も立ち休みをして呼吸を調えながら
漸く山荘まで登り上げると
山荘周辺は登山者たちで溢れかえっている
チョット一息つきたかったけれど
そのまま南峰へ向かう
南峰の道も人が多く譲り合いながら辿り
11:44
赤岳山頂(南峰)へと辿り着く
ここも言わずもがな人だらけ
僅かなタイミングを見計らって
山頂写真を撮って
直下の岩陰に下りる
期待していた展望は
ガスが取れず仕舞いで得られず
西からの風も冷たくて
山頂に留まる理由は見つけられないが
タイミング的にここで昼食タイムをとる
山頂から東側へ一段下がった岩陰は
風も無く休憩には程よい場所
文三郎道から登ってくる
登山者たちが目の前を行き来するが
気にせず休憩をとる
山頂から「文三郎道→」の指示に従って
岩場の道を辿る
危うい岩場の道が続くこの辺り
要所要所で譲り合いながら下れば
更にもう一度その文三郎道との分岐点
ここを「キレット→」方面へ外れると
登山者は一気に少なくなった
やっと落ち着ける道
ふと振り返ると先程までガスの中だった
山頂が見えている
山を下りるとガスが晴れる
山あるあるですね
キレットへの道は険しい岩場道
その岩間に咲く花々を愛でながら
慎重に下って行く
更にガスは流れて
キレットへの道も俯瞰出来て
天狗尾根の大天狗も姿を見せる
いよいよ晴天域も
この八ヶ岳山麓まで押し寄せてきたようだ
12:27
真教寺尾根の分岐点
ここからクサリ場手前までザレ場道
そのザレ場下部にはクサリが
前回はここに何も無くて
石車に乗って転倒
あわや滑落一歩手前という苦い記憶があるが
今はちゃんとクサリが設置されてました
やはり安心感が全然違いますね
そのザレ場から南方を見れば
特徴的な天狗尾根の大天狗
そしてその向こうには権現岳
青空も見えて日差しもやって来た
さて、ここから真教寺尾根の核心部
幾本ものクサリ場を下って行く
先程の県界尾根は礫岩の壁だったが
こちらは目の細かいチャート
垂直に節理が走り板状に岩が剝がれて
スタンスが取れない部分もある
これはこれでまた違った難しさがある
最後のクサリ場を下りると
展望の得られる最終地点
正面に真教寺尾根のピーク扇山が見えて
その向こうには奥秩父の峰々
富士山も雲に隠れてはいるが
伸びやかな裾野を覗かせている
そこからダケカンバ帯へと入り込むと
薙ぎ上部のヤセ尾根へと出る
やはり日当たりの良い場所には
それらしい花々が見られる
平地に咲くジシバリに似たタカネニガナ
厳しい岩場には多肉系のマンネングサ
が見られる
道は急激に高度を落としていたが
徐々に傾斜が緩み歩きやすい樹林の中へ
小さなアップダウンを繰り返し
気付くと徐々に登っている
今日はもう登る事は無いと思っていたが
よく地図を見ると
扇山まで登り返すよう等高線が並んでいる
まあ、大した高低差ではないけれど
事前チェックを怠ってました
14:20
その扇山へ到着
ここで暫しの少休憩をとる
扇山から僅かな距離
14:52
牛首山までやって来た
ここはCTのチェックポイント
下りでは扇山が目印になるよう思えましたが
登って来るとここが良い目印になるようです
牛首山からはもう本当に下る一方
路傍には笹が繁茂しだすが
刈払いがなされて歩き難さは無し
その笹の中に幾本ものホタルブクロを見る
高地性のヤマホタルブクロかと思ったが
萼の形が平地性のホタルブクロでした
こんな2000m近い高地にも進出してるとは
種の同定は難しいものです
15:41
賽ノ河原へ到着
これで今回の周回はここで繋がった
後は往路を下るのみ
振り返ると今朝は見えなかった
赤岳と権現岳が見えている
この風景は朝日の中で見たかったですね
スキー場裏手へ出ると
リフトトップには多くの観光客の姿が見える
ここの標高は約1900m
皆さんここからの展望が目的なのでしょう
非日常の光景を楽しんでる様子
その光景から電気柵を挟んで一線を画す
こちらは対照的な笹被りの登山道
美し森を目指して無心に下って行けば
道は程なくして刈払いがなされた道へ
防火帯 植林地と下って行き羽衣池へ到着
大きく傾いたベンチに寄りかかり一休み
後は整備のされた緩やか道
展望台から迂回路に廻って
幅広の木段道を下れば
16:51
美し森駐車場へ到着です
7年前はもう少し体力に余裕があったはず
今回は下山した時点でかなりの疲労感
標高差1400mの往復は
やはりきついものでした
それでもなおこの充足感
やっぱり山はやめられそうにありません
*** 追記 ***
もう10年以上愛用していた靴を新調しました
今回も同じスカルパの靴
ここ1~2年山行後半になると足が痛くなって
辛い思いをして歩いてましたから
思い切って新調してみました
結果は頗る良好
今回の山行がデビューでしたが
足の痛みは出ませんでした
ショップの方によると
スカルパは2年程前に
日本人向けに靴形を変えたとか
以前の靴を並べて見比べると
なるほど、靴幅がスリムになってました
それに自身の足の形も
歳と共に変化するものだとか
前の物は一度ソールを張り替えて
10年も履き続けましたが
今後はそこまで足の形状が保持できるか
微妙なところです
永く履き続けたいのは山々なのですが・・・