花咲く森を辿って蝶ヶ岳へ(その二) | 気ままにアウトドア

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2023年6月17日

 

 

(その一)からの続きです

 

 

 

 

 

 

急斜面の連続する階段道から漸く解放されて

トラバース気味に道を辿れば

8:53

目の前に雪渓が現れる

標高は2120m付近

地図を見るとここは蝶沢の源頭部だった

確りと雪切りがなされて

歩くには何の支障も無いが

やはり雪に不慣れな方には難所のようだ

怖さを殺して慎重に歩く姿が

何とも微笑ましくも見える

 

そんな雪渓近くには雪融け直後の野草たち

芽吹いたばかりのサンカヨウやエンレイソウが

瑞々しい葉を広げ出して

ロゼット状のショウジョウバカマには

まだ短い花茎の先に

漸く紫の花が開き出したところ

雪渓から僅かに離れると幾分季節が進んで

イワネコノメやカタバミの花

こういう場所は花好きには堪らない

 

 

 

そして樹林の切れ間からは常念岳の雄姿

先程からしばしばチラ見えしていたが

漸くスッキリと見える場所に出た

 

 

 

更に急登の道は続く

辺りは針葉樹林帯からダケカンバ帯へ

所々に残雪が現れて

その周辺にはお馴染みの花

この高度まで上がると結構な疲労感なのだが

その花々がそれを忘れさせてくれる

 

 

 

更に高度を上げると

ダケカンバ林もいよいよ背丈を落として

森林限界の様相を呈してきた

 

 

 

11:01

左手に大滝山への道を分けると

そこが森林限界

目の前には夏にはお花畑となる雪渓が広がり

行く先にはハイマツ帯が控える

その雪渓の端に続く道を辿って

緑濃いハイマツの中へと分け入る

短い木段道を数段

重たくなった脚を振り上げて登り上げれば

突如として視界が開ける

爽やかな風が吹き抜けるその場所は

もう蝶ヶ岳の頂稜部

前方には蝶ヶ岳ヒュッテが見えて

その向こうに常念岳

足元を見下ろせば安曇野平野が一望できて

その向こうに薄ぼんやりと浅間山

「遂にやって来たぞ」と

ここですっかり登頂した気分に

なってしまったが

実は山頂はもう少し先なのだ

 

 

 

ハイマツの茂みを巻くように辿ると

蝶ヶ岳のテント場に出る

そこには夥しい数のテント

まだ11時を回ったばかりだというのに

テント場はほぼ満杯状態

どうりで先程から皆さん急いでいた訳だ

地面の良いサイトは早い者勝ちで

遅くなればなるほど荒れた地面に

テントを張らなければならなくなる

と言うよりもそれより以前にこの時点で

ほぼ空きスペースは見当たらない

後から来る方達はどうなるんでしょうね?

 

そんなテント場の光景を横目に

二重山稜のような窪地から稜線に出ると

目の前には槍穂連峰が屛風のように現れる

相変わらずの圧倒的な山岳風景

もう幾度となく眺めている風景だけれど

その度に険しい美しさに圧倒されてしまう

 

その稜線から左手に緩やかに登ると

11:08

蝶ヶ岳山頂へと辿り着く

先程のテント場とは裏腹に

ここは静けさが保たれていて

チョット得した気分

多くの人はヒュッテかテント場に屯していて

静けさを好む者としては願ったり叶ったりだ

 

 

 

さて、毎度の如く山頂からの展望写真

この日は梅雨の中休みという事で

6月にしては絶好の展望日和に恵まれました

では、南方から時計回りに

 

 

 

山頂西面の砂礫地で昼食タイムとする

爽やかな風が心地よく吹き抜ける中

贅沢にも正面に穂高岳を眺めれば

何時ものコンビニめしも極上の味わい(笑)

ロケーションは最高のスパイスですね

 

 

 

山頂で一時間近くのんびりして

名残惜しいが下山の途へ

 

賑わうテント場を抜けて

ハイマツ帯を下れば大滝山の分岐点

ここを三股方面へと下る

残雪の残るダケカンバ帯の道には

相変わらず春の花たち

 

 

 

蝶沢の雪渓をトラバースして

連続する階段道を下れば

徐々に傾斜が緩んで

再びのオサバグサ群生地

往きにあんなに眺めまわした花たちだけれど

飽きずにまた繁々と眺めてしまう

 

 

 

”まめうち平“まで下りて

ここでチョット一休み

まだこの時間になっても

テントを担いで登ってくる人たちがいる

あのテント場の状況を知ってか否か

重荷を背負って通り過ぎて行く

 

 

 

”ゴジラみたいな木“から

急斜面を下って”力水“の水場

復路でも迸る水を一口頬張って力を頂く

鮮烈な水が踊り下る小沢に沿って

緩やかに下れば

 

 

 

本沢に掛かる吊り橋に出る

こちらも鮮烈な水が水飛沫を上げて流れ下る

水量の多い梅雨時は渓流の流れも力強い

 

 

 

ここから本沢の氾濫原の道を辿る

往きにセンジュガンピの花を見つけたが

明るさが足らずに写真を諦めて

復路にでも撮ろうと思っていたが

その花を見つけられずに

三股の登山口へと辿り着いてしまった

「確かこの辺り」と注意して見てみたけれど

記憶なんて曖昧なものでした

 

後は林道を辿って

15:56

三股の第一駐車場へと到着です

 

 

 

目的のオサバグサ

思いの外見事な群生に大満足

山頂からの槍穂連峰の眺めも最高で

素晴らしい山行となりました