2022年7月3日
(その二)からの続きです
南側斜面が大きく崩れた薙地
赤ゾレまでやって来た
文字通り赤い砂礫の斜面には
樹木の姿も見られない
恐らく火山性土壌のために
植物は育ち難いのだろう
だが、そんな過酷な土壌にも育つ者がいた
タデ科のオンタデである
この草は各地の火山等で見られる植物で
雌雄の株があり花も其々の花を咲かせる
写真のものは雄株
雌株の花はまだ見られなかった
赤ゾレを過ぎると道は岩々しくなって
ちょっと楽しいアルペンムード
灌木が岩間を埋めて
優しい半日陰をつくっている
そんな岩陰で見つけたのはリンネソウ
釣鐘型のピンクの花が可愛い
そして更にその傍に咲いていたのは
こちらも可愛い釣鐘型のウラジロヨウラク
この花は木によって微妙に色合いが異なり
それを見比べるのも楽しみの一つ
更に続く岩ガレ道を進んで行くと
数本の小さなツガザクラを見つける
よく見ると萼と花柄の色が緑がかって
アオジクツガザクラに近い特徴を持つ
標準的な萼と花柄の色は紅紫色
ツガザクラは変異が多い植物で
そんな違いを見つけるのも
花を見る楽しみの一つ
背の低いコメツガの作り出す半日陰には
ゴゼンタチバナやイワカガミも咲いて
中々楽しい稜線道が続く
12:28
道は程なくして
開けた岩ガレ地へと飛び出した
そこは水ノ塔山の山頂
ここも南側斜面が開けて
展望には良いところなのだが
到着と同時に強い南風が吹き上げて来て
何やら空模様も怪しくなって来た
下り坂の予報は承知の上で
やって来たのだけれど
崩れは想定より早い展開の兆し
それならば今のうちにと
ここで手短にランチ休憩をとる
先程まで見えていた東篭ノ登山を見ると
今は速い動きの雲の中に隠れてしまっている
ちょっとヤバイかな?
いつものコンビニパンを詰め込むように
お腹に放り込んで
直ぐさま元来た道を引き返す
大きな岩の隙間を縫うように避けながら
脚を運び岩ガレ道を辿る
先程のリンネソウの岩場まで戻ると
先ほどは気付かなかった
白い花が目に留まる
こんなの気付かなかったな~
と思いながら足を止めてカメラを向ける
すると直ぐ近くでホシガラスの声
長いレンズは持ち合わせてない事もあって
いつもは鳥の写真は諦めているのだが
120㎜のレンズでも撮れそうな距離に
こちらを向いて留まってる
これはチャンスと
カメラを向けて一枚だけ撮る事が出来た
(トリミングしてます)
天気事情はそんな写真を
脳天気に撮ってる場合じゃないのだけれど
ここで事態は思わぬ方向に
先程ヤバイと思っていた空模様は
何時しか回復傾向の兆し
速かった雲の流れも内場になって
東篭ノ登山も見えだしてきた
上州側からは雷鳴が聞こえるものの
雲は遠ざかる気配
この状況を自分なりに分析すれば
この一時的な崩れは
積乱雲の辺縁部が通過したもので
大きな崩れには至らずに
過ぎ去ってくれたもよう
マジで中心部でなくて良かった
さて、赤ゾレを過ぎれば鞍部からの登り返し
急な斜面の道を登り上げれば
再度、東篭ノ登山の山頂に出る
今日、三度目の東篭ノ登山(笑)
先ほどの一時的な崩れで見えなかった八ヶ岳
今は赤岳の姿も確認出来るほどに回復して
足元には池ノ平湿原も望める
その池ノ平を目指して
岩ガレ道を下って行く
往きは足元ばかり見て登って来たけれど
下り道視線では足元ばかりではなく
意外に広い範囲を見る事が出来る
なので登りでは気付かなかった
シャクナゲの木に花を見つけたり
咲き始めのナナカマドの花も
見つけることが出来た
そんな背の低い樹林は
徐々に背の高い針葉樹の森へと移り変わり
再びゴゼンタチバナの咲く道へ
相変わらず飽きずにそんな花を愛でながら
どんどん高度を落として行けば
14:07
登山口の池ノ平駐車場へと到着です
車で一気に2000mの高地にやって来て
登山口から標高差にして200mほどで山頂
この暑い時期には持って来いの
篭ノ登山でした