西黒尾根から花咲く谷川岳へ(その二) | 気ままにアウトドア

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2022年6月18日

 

 

(その一)からの続きです

 

 

 

 

 

 

8:09

西黒尾根中程のラクダの背までやって来た

休憩がてら暫し四周の展望を楽しむ

梅雨時の靄々のお天気で遠望は利かないが

雪の残る越後の山が印象深く眺められる

 

 

 

一方でラクダの背を形作る尾根には

赤いドウダンツツジが取り囲み

マチガ沢の雪渓と赤い花のコラボ

これもまたこの時期だけの景色だ

 

 

 

さて、休憩はこのくらいにして

正面の山頂への道を辿るとします

 

 

 

先ずはラクダのコルへと

緩やかにヤセ尾根道を下って行けば

最低鞍部で巌剛新道を合わせて

ここから再び急登道が始まる

積雪期ではここが一番の核心部なのだが

雪の無いこの時期はホールドが豊富で

快適な岩尾根道となっている

 

 

 

そんな岩尾根には風を避けるように

岩陰や窪地に初夏の花が咲き出している

黄緑の艶やかな葉っぱはムシトリスミレ

スミレの名が付くがスミレではなく

タヌキモ属の食虫植物

そしてその傍にはタチツボスミレ

 

 

 

よく見ると葉脈に赤みが差して

アカフタチツボスミレに近い個体

なのかも知れない

 

場所を同じくしてこの辺りから

数多く咲き出しているのは

鮮やかな色のイワカガミ

 

 

 

笹と灌木に守られて

中々状態の良い花が多い

そんな中に見つけた

今回唯一の蘭の花はノビネチドリでした

やはり蘭の花はゴージャスですね

 

 

 

笹と灌木帯から岩場に出れば

黄色い花が沢山現れる

その花の正体はナエバキスミレとキジムシロ

先ほどの第一クサリ場辺りから

その花は幾つか目にして来たが

この標高まで上がってきて

漸く状態の良い花が見られるようになった

 

 

 

で、その岩陰には

珍しい白花のユキワリソウ

この花は毎年ここに咲いていてくれる

 

 

 

そして白い花がもう一種

高山ではお馴染みのハクサンイチゲ

見慣れているとは言え

やはりこの花に出会えると嬉しくなる

 

 

 

さてさて、この高度まで登って来て

漸く今回の目的の花が現れました

 

 

 

このウスユキソウに会いたくて

梅雨時のこの時期を選んで

この尾根を登って来たのでした

あるのは確実と分かってはいるのですが

やはり実物を見るまでは気が気でなくて

目の前に現れた時は

本当に嬉しいものでした

 

 

 

このホソバヒナウスユキソウ

ここ谷川岳と至仏山の

蛇紋岩地にだけ見られる貴重な花なのです

 

 

 

更に花咲く岩尾根は続いて

 

 

 

北側の危うい斜面の際にはイカリソウ

ここのイカリソウはどれも白花ばかり

谷川岳で紫色のイカリソウは

未だにお目に掛れてない

 

 

 

そして同じ斜面に咲き競うように群れるのは

 

 

 

尾根の南側を見れば

紫の鮮やかなシオガマとイワカガミ

 

 

 

再び北側に廻ってショウジョウバカマ

ここはまだ雪が融けたばかり

漸く春がやって来たという場所でした

 

 

 

さて、岩尾根道は

西黒尾根第二の核心部に差し掛かる

登山者の靴で磨かれた蛇紋岩の岩場は

滑らかでツルピカ状態

今日は幸いにドライな状態だから好いものの

雨の日には始末の悪い岩場に変わる

 

 

 

その岩場をフィックスロープに縋って登り

その登った先には蛇紋岩の石舞台

氷河の爪痕と呼ばれる引っ搔き傷が

斜面に向かって走っている

遠い太古の記憶がここでは見られるが

残念ながらそれと気付く者は少ない

 

 

 

その石舞台から更にひと登り

10:11

この尾根の目印ポイント

ザンゲ岩を通過する

 

 

 

ザンゲ岩にはシャクナゲの花が見られたが

残念ながら遠巻きには良く分からない

 

 

 

ザンゲ岩を通過すれば

稜線までは僅かな登りを残すのみ

毎度の事なのだが

この辺りまで来ると疲れが溜まってか

登りがキツく感じる

さあ、最後のひと頑張り

と、自分に喝を入れて

気持ちを奮い立たせて

何とか稜線部へと登り上げる

 

正面にはトマ オキのピークが間近に見えて

 

 

 

足元には

イワカガミがまた美しい

 

 

 

トマノ耳へ直接向かう道は

段差の大きい岩場を通過するため

残雪部分に巻道が付けられている

 

 

 

その残雪部分の巻道を辿ると

多くの登山者が屯する肩ノ小屋へ出て

そこからトマノ耳へと登って行く

 

10:49

トマノ耳へ到着

 

 

 

トマノ耳には幾人かの登山者の姿

梅雨時のせいか賑わう程の数ではなく

展望もそこそこ楽しむことができた

 

先ずは北方稜線

 

 

 

そこから右へ視線を移せば越後方面

 

 

 

翻って西方を見れば

上越国境稜線のお気に入りの景色

苗場山が靄の中辛うじて眺められた

 

 

 

そして南方はこんな感じ

 

 

やはり南からの湿った気流のせいか

こちらは本当に遠望が利かない

 

さてさて、時刻はまだ11時前

展望はこの位にして

偶にはオキノ耳まで行ってみましょうか

 

 

 

(その三)へ続く