懐かしのアルバムから(12) *谷川岳PartⅡ | 気ままにアウトドア

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  自然の中を流離う

2001年12月8日

 

この年二度目の谷川岳は

新雪の山でした

 

ロープウェイで天神平に上がると

一面の銀世界

まだ山を始めたばかりのずぶの素人には

早々と目にすることができた雪景色が嬉しくて

意味もなく興奮してしまいました

まだ雪山の怖さも何も分かってない雪山初心者です

 

ロープウェイ駅舎を出ると

足跡も何もない真っ新な雪面

積雪は4~50㎝でしょうか?

躊躇もなく標示板に従って夏道に突入

初めての雪山なのにソロのラッセルで始まるという展開

当に怖いもの知らずとはこの事

 

トレース無しの夏道

 

 

膝ほどの雪を踏みしだき無心にラッセル

ボッフボッフ、モッフモッフ

雪下に隠された石や段差を

足裏で確かめて

新雪の道を突き進む

一頻り進んでは息を調える

振り返ると然程の距離も進んでおらず

ロープウェイ駅舎がまだ傍に見える

右手に対峙するとんがり山がカッコいい!と

独り雪山を楽しむ脳天気な余裕がまだあった

その山は後に知ったが笠ヶ岳

 

左から笠ヶ岳 小烏帽子 大烏帽子 右端は白毛門

 

 

何度も立ち休みしては

新雪に立ち向かうが

流石にソロのラッセルは厳しい

するとタイミングよく

後ろから三人組がやって来た

その中で「ラッセルを代わりましょうか」と

声を掛けて下さったのは

当時の谷川岳では有名なMさんとそのお仲間

Mさんは天候が許されれば毎日でも谷川岳へ登るという

地元在住の屈強の谷川人

ザックにその日の登頂回数を記した粘着テープを貼り付けて

毎日のように谷川岳へ登っていた方

この日は14XX回目の数字が記してあったような記憶が

 

谷川岳は遠し

 

 

ラッセルを代わってくれたのはお仲間の二人

その後を付いて行きながら

Mさんが色々な山のお話を聞かせて下さった

ラッセル泥棒の話

天神尾根の夏道と冬道の話等々

 

後に何度も谷川岳を訪れる事になるのですが

Mさんには度々出くわして

沢山の山の知識を頂きました

 

さて、お仲間と三人で新雪のラッセル

漸く熊穴沢避難小屋へ到着して

小屋内で暫しの山談義

お仲間二人もかなりの山経験をお持ちでした

そして、Mさんは谷川岳の気象データを取るために

毎日のように登っている事を明かしてくれました

当時の谷川岳にはアメダス観測の装置が無く

Mさんが日々のデータを気象庁へ送っていたそうです

 

 

熊穴沢避難小屋でMさんと

 

 

小屋で一休み後

再び三人で交代しながらのラッセル

ルートは尾根上になり展望も良くなってきた

 

 

至仏山

 

 

 

武尊山

 

 

しかし

スタミナが続かない

天狗ノ留場を目前にして

自分はここでギブアップ

Mさん達に「頂上まで行きましょう」と

誘われましたがとても行ける状態ではなく

ここから下山を選択しました

 

俎嵓

 

 

トレースの出来た下山路はとても歩きやすくて

あっという間に避難小屋着

後から登って来た登山者に

「もう下山ですか?」と訊かれる時間帯

頑張れば山頂に立てたかもしれないが

新雪にトレースを切り開いたという事だけで

自身の気持ちは満たされてました

 

谷川岳を振り返って

 

 

その後、谷川岳で何度もお会いしたMさんですが

肩ノ小屋が増築され

沼田署OBのBさんが小屋番に入ると

Mさんと出くわす事も無くなりました

観測データ取りはBさんに引き継がれたのでしょうか?

あれから20年近く経って

Mさんとの出会いは

懐かしい思い出です