2020年3月18日
毎年恒例の雪の西黒尾根
今年も行ってきました
土合の慰霊公園に着いたのが7時前
例年ならここは1m以上の積雪で
とても車を置ける場所ではないのですが
暖冬の今年は雪も無く地面が露わ
スムーズに車を置くことが出来ました
身支度をして
7:08
公園を出発
先ずは登山指導センターまで車道歩き
ドライなアスファルト路をテクテク歩き
登山指導センターで登山届を投函
(トイレは使用不可)
センター先のゲートからやっと雪道が始まる
カーブを二曲がりして
西黒尾根登山口
ここも標石が露わでした
積雪が浅いので先ずは夏道通りに
消えかけた踏み跡を辿る
昨日も降雪があったので踏み跡はそれ以前のもの
今日の踏み跡は無く入山者は自分だけか?
斜面の中程から積雪量が増したのを機に
夏道から逸れて斜面の直登に切り替える
真っ直ぐに背を伸ばすサワグルミ林の南東斜面
方角からして雪が吹き溜まる場所だ
積雪は膝程のラッセル
尾根に載るまではいつもの事だ
そろそろ目印ポイントの鉄塔に着く頃と
辺りを見回すと
右下方の樹林の中に鉄の構造物が見えた
どうやらあれが鉄塔のよう
ちょっと南寄りに登ってしまったようだ
ルートを北寄りに修正して尾根に乗る
尾根上の雪はウインドパックされて程好い硬さ
アイゼンを着けて上って行く
所々に夏道の露出部分が現れる
今年は本当に雪が少ない
ラクダの背が見えてきた
この辺りから南側には雪庇が続く
樹林帯の中なので然程の怖さはないが
気を付けるに越したことはない
自身のトレースを振り返る
樹林が開けたところで振り返ると
樹林の向こうに白毛門
今日は午後から回復の予報なのだが
上空の雲がまだ取れない
白毛門
ふう~!
ため息のような深呼吸
雪が締まってるとは言え
独り黙々と雪を踏みしだく
独りラッセルは堪えるな
ソロは気ままで良いのだけれど
このラッセルだけは頂けない
オオカメノキのように
両手を挙げて降参したい気分だ
春を待つオオカメノキ
ラクダの背直前のクサリ場までやって来た
やはり雪の着きが薄い
上部は雪と岩のミックス状態
一本目のクサリ場
無事にクサリ場をクリアすれば
上部のヤセ尾根ルート
雪の着き具合が少ない分
ヤセ具合も半端ない
ヤセ尾根部分
細いヤセ尾根は平均台のようなもの
足元から視線を外したくないが
ふらつきに気を付けて山頂を望む
天気が良ければ素晴らしい眺めなのだが
今日の谷川は山頂を隠している
本当に雲が取れるんかいな~?
山頂には雲が
天神平は晴れてるんだけど・・・
天神平
でも、白毛門方面も良くなってきたぞ
白毛門
歩いてきたヤセ尾根ルート
再びクサリ場
二本目は難なく通過できたが
三本目が嫌らしかった
雪の着きが薄くて前爪が利かない
何とか岩に引っ掛けて漸くクリア
二本目のクサリ場
三本目のクサリ場
難所のクサリ場を過ぎればラクダの背
南側は雪庇が突き出して
北側は急角度でマチガ沢まで切れ落ちている
たたみ一畳程の平たい雪面が安息の場所だ
山頂を望むと雲が取れて
耳二つも見えてきた
ふふふっ、イイ感じで回復しているぞ
ラクダの背から 山頂を望む
ラクダの背からコルへも嫌らしいヤセ尾根
南側に大きく張り出した雪庇に気を付けて
北側の急斜面をトラバースして行く
ラクダのコルへ向かって
無事に鞍部(コル)まで下りて来た
例年ならクラックやヒドゥンクレバスが走っているのだけれど
今年は雪が少ないせいなのか
そんな亀裂は見当たらなかった
ラクダの背を振り返る 北側斜面に自身の付けたトレースが見える
ここからが西黒尾根の核心部
雪の急斜面を見上げると
その先に青空も見えだした
着実に天気は回復している・・・
ラクダのコルより これから登る斜面を見上げる
急斜面に取り付く
いい感じに雪が締まりアイゼンの利きもいい
ピッケルを突き刺して前爪を蹴り込む
徐々に高度が上がりラクダの背も見下ろせる
見下ろしたラクダの背
二つ目の岩場を過ぎた辺りだろうか
急に北風が強まり出した
上空は青空が見えだしたと言うのに
この強風は何なのだ
直ぐさまハードシェルを着込んで
岩陰に身を寄せる
地吹雪が日差しに照らされてキラキラと走り去り
気付けばサングラスの内側にも雪が巻き込んでいる
岩間を抜ける風の音は悲鳴のように響き
僅か数分前の穏やかさは何処へ行ったのか
これは一時的なもの?
そう思って吹き曝しに出てみると
身体が飛ばされそうな程の風
斜面にピッケルを差し込んで
耐風姿勢で耐えるしかない
1分 2分 3分 と固まったように耐えてみるが
一向に風は弱まる気配が無い
これはもう斜面を登る状況ではないと
あっさりと撤退を決める
それにしても
この青空とこの強風
相反する天候をどう理解すれば良いのか
本当に山の天気は解らない
風でバランスを崩さぬよう
慎重に自身の付けたトレースを辿る
一歩一歩を着実に踏み下ろす
下りでこんなに気を遣うのは初めてだった
ラクダのコルまで下りきると
風は幾分穏やかになった
ここからラクダの背へ登り返す
やはり往きの時よりも風は強くなっているが
耐風姿勢を執るほどでもない
雪煙が雪庇の先から噴水のように噴き出して行く
そんな光景も楽しむ余裕がある
ラクダの背へ向かって
ラクダの背まで戻って来た
山頂を振り返れば
只々美しい雪の峰があるだけ
あの青空の下にあの強風は想像できない
ラクダの背から山頂を仰ぐ 赤い矢印部分まで登ったのだけれど
ここで漸く展望を楽しむ余裕も出来た
以下、展望写真です
谷川岳東尾根
清水峠方面
至仏山
武尊山
白毛門
ヤセ尾根ルートからクサリ場を三本下れば
易しい広尾根の下り
日差しのせいか雪温が上がって
足は雪団子状態
堪らずアイゼンを外して
ピッケルをストックに持ち替える
樹林の中は風も穏やか
年老いたブナやトチの木を愛でながら
自身のトレースを辿って高度を落として行く
目印の鉄塔まで下りて
そこから南東斜面を下って行く
日差しと暖気に曝されて
雪質は水気を増して腐れ雪状態
踏み抜けば太股辺りまで落ち込んでしまう
一頻りもがいて脱出するが
直ぐさま次の一歩で踏み抜いてしまうという
最後の斜面は踏み抜き地獄だった
やっとの想いで登山口へ下り立って
登山指導センターで下山届を投函
後は舗装路をテクテクと下って
15:56
慰霊公園へと戻って来た
毎年恒例の雪の西黒尾根
今年は途中敗退でしたが
とても有意義な山行となりました
山頂に立てても立てなくても
”近くて良い山 谷川岳”
でした。





























