茅ヶ岳(その一) | 気ままにアウトドア

気ままにアウトドア

気の向くままに四季折々
  自然の中を流離う

2019年11月30日

 

中央高速で山梨県へ入ると

甲府辺りから右前方に特徴的なギザギザ山塊が見えて来る

チョットした山好きならば八ヶ岳連峰かと心躍るのだが

実は”偽八ツ”とも呼ばれる茅ヶ岳

本家の八ヶ岳は韮崎辺りまで走らないと見えてこない

その茅ヶ岳、本家八ヶ岳のように伸びやかに裾野を伸ばし

頂きまで美しいラインを描く

美しい山は登行欲を呼ぶもの

何時かは登ってみようと思ってました

 

 

 

前夜に深田公園の駐車場入り

駐車車両は無し

外気温は-2℃

かなり冷え込みました

 

翌朝、車が続々やって来て

週末の登山口らしくなってきた

 

 

 

 

身支度をして

7:01

駐車場を出発

 

林道を西へ向かい

深田公園手前が茅ヶ岳登山口

 

 

 

ここから広い登山道を登って行きます

落ち葉の積もる道は浮石が隠れていたりもするが

概ね歩きやすい道

サクサクと落ち葉を踏んで

目線は路傍のお楽しみを探しつつキョロキョロ・・・

今朝はかなり冷え込んで

霜柱も至る所に育ってました

「白髪ねぎみたいだな」

繊細な氷の芸術を見ては色々と想像してみる

 

 

 

赤い実の灌木はノイバラかな?

と、思ったが刺も無い緑の茎が謎・・・

 

枝先に黄緑色の繭がぶら下がる

ヤママユガの仲間ウスタビガの繭だ

注意して見るとあちこちの枝先に黄緑色

この辺りはウスタビガの好適地なのかな?

 

ウスタビガの繭

 

 

冬枯れの森に黄緑色

見るからに保護色とは程遠い色ですが

実はこの時期の繭はもぬけの殻

役目を終えた残り物なのです

ウスタビガは秋に成虫へと羽化し

短期間に交尾を済ませて死を迎える

成虫に口吻は無く羽化後に餌を摂る事は無いのだとか

まるで子孫を残す為だけに羽化するようなものですね

人生にお楽しみを求めるのは人間だけでしょうか?

 

落ち葉の積もる道を行く

 

 

林道を横切って

道は徐々に傾斜を増してくる

岩ゴロ道は相変わらずの落ち葉道

このルート唯一の水場に立ち寄って

備え付けの柄杓で水を一口

甘みがあって美味しい水でしたが

気温が低いせいか

水の方が温かでした

 

水場から暫く登って

 

今回もシモバシラに出会えました

 

水気のある沢沿いで程よく陽の光が届く空間

そんな場所にシソ科の植物が育つのですが

そういう場所を探しながら歩いていると

前方にそんな適地が見えてきました

 

「今朝は冷え込んだし、きっとある。」

 

近付いて見ると見事に的中

白い氷の花が幾つもありました

 

 

 

 

すぐさま後続のご夫婦に

「シモバシラがありますよ」と

教えてあげたのですが

興味が無いのか先に歩かれて行きました

まあ、山のお楽しみは人それぞれ

シモバシラに出会えた嬉しさを共感したかったのですが残念

 

その後も幾人かの方に教えてあげたのですが

皆さん同様に興味を示さず

 

「え~!珍しいのにな~」

 

そもそもシソ科の植物に起こる

シモバシラ現象をご存知ない?

こちらがシモバシラと言っても

地面に起こる霜柱現象と捉えてしまって

興味を示さないのだと後で思い直しました

「シモバシラがありますよ」って言ったら

「この人なに言ってるの?」って

思われていたのかも知れません

 

 

 

 

前回の有明山で見つけた時は余りにも嬉しくて

カメラの設定も変えずに

緩~い写真を撮ってしまいましたが

今回は確り絞った甲斐があり

氷の筋も写り込んでくれました

 

 

 

 

シモバシラを見つけて自身はすっかりご満悦

ですが、道程はまだまだ先を残しています

 

8:16

谷間の道を詰めると”女岩”

落石の危険により現在は立入禁止でした

 

 

 

女岩から左岸のガレ場を登って

女岩の巻道ルート

上部から女岩を覗くと

穴の開いた岩が見て取れる

古の人達が女性器に見立てて崇めたものだろうか?

この手の物は古くからの信仰地で度々目にするものだ

 

女岩

 

 

女岩の上部に出ると

いよいよ斜面はきつくなる

道は九十九折に切り替わる

落ち葉の道は踝辺りまで沈み込み

ゴロゴロの岩道は程好いステップ

 

 

 

冷たい谷風が時々吹き上がる

カラカラと乾いた音を立て落ち葉が舞う

日差しを受けて上昇気流が出て来たようだ

 

漸く日差しの当たる斜面まで登って

頃合いの倒木を見つけて

ここで遅い朝食タイム

冬枯れの樹間越しに富士山が眺められ

中々の特等席でした

 

斜面の道は尾根上に這い上がる

東側の切れ落ちたヤセ尾根道

樹間に金峰山を見ながら登って行くと

”深田久弥終焉の地”

少しだけ手を合わせて

偉大な先生の功績を想う

 

深田久弥終焉の地

 

 

ヤセ尾根道を更に登って行く

 

背後に岩を抱えた日溜まりに

可愛い冬芽を見つける

春を待つヤマハハコのロゼットだった

細かい毛羽立ちがまるでセントポーリアのように滑らか

冬枯れの山でまた一つ良いものを見ました

 

春を待つヤマハハコのロゼット葉

 

 

9:45

茅ヶ岳山頂へ到着

 

茅ヶ岳山頂

 

 

山頂には数組の登山者が休憩中

週末の山頂らしい賑わいです

展望は360度

山座同定も楽しい

 

八ヶ岳(左奥)と金ヶ岳(右)

 

 

北アルプス

 

 

南アルプス 千丈ヶ岳と北岳は頭がちょっぴり見える

 

 

南アルプス

 

 

富士山と天子山地

 

 

丹沢(奥)方面

 

 

奥秩父方面

 

 

さて、今日はもう一座

金ヶ岳まで行ってみようと思ってます

 

山頂から北に伸びる尾根道は

日の当たらない凍った道

先ずは慎重に一歩を踏み出しました

 

 

 

(その二)へ続く