日時 2013年7月16~17日
ルート 沓形登山口→三眺山→利尻山頂→利尻山避難小屋→鴛泊登山口
4:30 起床、朝食を済ませ出発の準備をする。
6:00 車を後にする、10分程歩きフェリーターミナルに着く。
ターミナル内は乗船客で一杯だった、団体客が多いようだ。
乗船手続きを済ませ船に乗り込む。
6:40 船は定刻通り出港する。
隣に座った男性、大阪から来たライダーだった。
彼はキャンプをしながら北海道を回っていると言う。
北海道へ来て困った事があるそうだ、ATMの使えるコンビニが道北には殆んど無いらしい。あまり現金は持ち歩きたくないのだが道北では多めに現金を持っていた方が良いと言っていた。確かにそう言われてみれば内地でメジャーなコンビニは目にしない、幸い自分はまだこちらへ来たばかりなのでそんな想いはしてないが、旅行者にとってお金が無いと言う事は死活問題である。
8:20 定刻通り鴛泊港に到着、殆んどの乗客が宿の送迎車や観光バスで港を去って行き、残されたのは自分を含め数人の路線バスを待つ者だけだ。
利尻島と言えば映画「北のカナリアたち」のロケ地、ターミナル内には大きなポスターが掲げられDVDが売られていた。
待つ事約一時間 9:30 に路線バスに乗る。
島内の路線バスはAとB二通りあり島内を周回している。
今回はBコース(反時計回り)に乗る。
10:00 国保中央病院前で下車、料金は¥720だった。
ここで降りた登山者は自分だけ、あとは病院へ向かう人達だった。
ほかに登山者がいればタクシーの相乗りでもと考えていたのだが、その考えはいとも簡単に崩れ去った。
「まぁ歩いても二時間位だろう」と軽い気持ちで登山口へ向けて舗装路を歩きだす。
緩い坂道のダラダラ登り、登山口へ向けてほぼ一直線に登って行く。
利尻山は水場が無いと言う事前情報の下、水を3ℓザックに詰めて来た。
一時間程歩くとそのザックの重さが身に堪えて来た。
今回は避難小屋か麓のキャンプ場で一泊するつもりなので装備も重い。
群馬ナンバーの車が一台登って行く、展望台に行く観光客か?
数分後、その車は下って行った。
道は九十九折れに変わり距離を稼げなくなってきた、そこへ一台のワゴン車が止まる。ウインドーが開き女性が「乗って行きませんかぁ」と声をかけてくれる。
「救いの神現る」である、ここは遠慮なく乗せてもらう。
車には二人のおばさんが乗っていて、これから登山口のトイレ掃除に行く所と言っていた。初めて行く所なのに「いつもきれいなトイレをありがとう」的な返答を返した自分が可笑しかった。
11:15 沓形登山口の駐車場に降ろしてもらい、丁寧にお礼を言い50m程下の登山口へ向かう。
沓形登山口
こちらからの登山者は少ないのか?
石の真上でもコケが生えていて滑りやすい。
天候は曇りと言う感じだ。
昨日サロベツ側から見た利尻は中腹以下を雲が覆っていたが今日も同じ状態なのだろう。
11:45 ちょっとした小スペースで昼食を摂る。
12:22 6合目「五葉の坂」を通過。
12:56 沓形側の避難小屋に到着。
外見はコンクリートブロックでしっかりしているが内部は大分傷んでいた。
緊急時以外はあまり使いたくない感じだ。
裏手には携帯トイレのブースが設置されている。
ほぼ直登してきた道は斜面に対し斜めに登りだす。傾斜が増してきたと言う事だろう。
辺りを覆っていたガスが一瞬だけ晴れ青空が顔を出す。
雲の上辺に近付いてきている証拠だ。
ハイマツ滞に入ると 1:24 礼文岩だ、ここで小休止。
次々とガスが流れて行き日差しが降り注ぐ。
どうやら上空の晴天域に出たようだ。
ハイマツの斜面を登りきると尾根上の道に変わる。
狛犬の坂、夜明しの坂と沓形稜を登って行く。
2:25 8合目到着。
ハイマツが茂っていてあまり判らないがかなりヤセた尾根道だ。
馬の背を過ぎると山頂が見えて来る。
中央の特徴のある岩はなんだろう?
一ノ倉の衝立岩に似ている。
3:19 三眺山の山頂に到着。
素晴らしい展望だ。
正面の山頂から南稜への荒々しい稜線。
その下に広がる雲海。
そしてその先には本物の海が広がっている。
景色を堪能して再び歩きだす、時間はあまりないのでのんびりはしていられない。
ヤセた尾根を進むと「背負子投げの難所」
ロープが張られていて名前程ではなく難なく通過する。
エゾツツジが咲き乱れミソガワソウのお花畑を通る
再びヤセ尾根に出る。
高度感たっぷりの西ノ大空沢を見下ろす。
ここからは斜面をトラバースするように道が続いている。
4:10 先ほどから小さな落石音が聞こえていたがその場所に出た。
「親不知子不知」と呼ばれるザレた斜面だ。
常時落石があり慎重に通過しなければならない。
足を一歩踏み出して驚いた。
今まで経験した事の無い砂ザレだった。
軽石の砂利と砂でできている斜面は足を簡単に流してしまう。
まるでアリジゴク。
就いた足は30cm程下へ流されて行く
大きな岩を拾っては足を置き態勢を整える。
上部からの落石に注意を払いながらやっとの思いで通過する。
この先もトラバースが続くが先ほどのような難所は無い。
小さなお花畑が現れ目を楽しませてくれる。
急なザレた直登の道、ハクサンイチゲがきれいだ。
ここを登ると北稜の登山道に出た。
4:38 この分岐点にザックをデポし山頂に向かう。
先ほどの親不知子不知と同じようなザレた道を登る。
踏み出した足が半分ほどズリ落ちる。
アリジゴクに落ちたアリの気分だ。
効率の悪い登高を続けると整備された道に出る。
ここからはスムーズに登る事が出来る。
整備された道を登りきると祠のある山頂が見えた。
右側にはローソク岩がそびえている。
この時点で先ほどから気になっていた衝立岩のような岩がローソク岩である事が判ったのだ。
見る角度でこんなに違うのかと驚いた。
ここからは岩稜の道、足元には花々が咲き乱れ、雲海の先には日本海が広がる。
5:02利尻山山頂(北峰)に到着。
間近に見えるローソク岩は圧倒的だった。
この先、南峰へ続く道があるが道が崩壊している事もあり、ここを登頂とする。
こんな絶景はなかなか見られないが日没まであまり時間が無い
名残惜しいが下山を開始する。
先ほどのひどいザレを慎重に下りザックを回収して鴛泊コースを下って行く。
左手のザレた斜面に固有種のリシリヒナゲシが咲いていた。
ロープ越しに望遠レンズで写真を撮る。
もっとズームしたいが200mmではこれが限度だった。
長官山の手前に避難小屋の屋根が見えて来る。
本日のゴールは間近だ。
道は樹林帯に入り9合目の広場に出る。
携帯トイレのブースとベンチが設置されていて休憩には良い所だ。
6:17 利尻山避難小屋に到着。
扉を開くと誰も居ず今夜は一人かと覚悟をする。
内部は上下二段に床が張られていて上段に陣取る。
装備を解き夕食の準備を始める。
持ってきた泡盛も今日は格別だ。
小屋の外を覗くと日没が迫っていた
カメラを取り出し夕日を撮る。
日没は 7:13
この山上から見る日本海へ沈む夕日は忘れられないだろう。
長官山の方から人の声が聞こえる。
良く見ると二人の登山者がこちらへやってくる。
「良かったぁ今夜は一人じゃないぞぉ。」
二人は神奈川から来たと言い、明日は登頂後沓形コースを下ると言っていた。
自分とは逆ルート、なのでお互いに今日通って来たルート状況を教え合う。
辺りが暗くなるころ睡魔がやってきてシュラフに入る。
何か変な夢を見たのだが思い出せない。
( 続く )