5:00に起きる。
昨夜は足が冷たくて何度も起きてしまった。
テント内の温度は0.2℃、テントシューズが欲しいくらいだ。
準備を済ませ6:00にテントを後にする。
ザクザクと霜柱を踏みしめ進む、昨日の水場の分岐点を右に行く、この辺りはシカ柵で囲まれたお花畑になっている。盛夏ならきれいな花が見られるのだろうが、今は枯れ草畑だ。
右側が大きく崩れた稜線を登って行く。
左に大きくカーブすると日があたってくる。
昨日も書いたが、本当に日の温もりが嬉しい。
7:01烏帽子岳山頂に到着、後にした三伏峠が下方に見える。
周辺の山が朝日を浴びて、谷や尾根が浮き立つ。
これから向かう小河内岳への稜線がうねって続いている。
太陽が富士山の真上で輝いている。
ご来光に合わせて登ってくれば、素晴らしい日の出が拝めたのかもしれない。
道は少し下りながら真南に向かう、ナナカマドの根元の霜柱が朝日にキラキラと光っている。
7:44前小河内岳(まえおごうちだけ)に到着する。
鞍部に向かって下りだす、一人の登山者とすれ違う。
今日は塩見小屋まで行くと言っていた、この時間なら余裕で着くだろう。
再び凍った道を登り返す。
8:20小河内岳山頂に到着する。
荒川岳が間近に大きく見えて素晴らしい山岳風景だ。
富士山が幾重にも重なった山の向こうに浮き上がって見える。
小河内岳山頂
一旦、小河内岳避難小屋まで下り小休止する。
小屋は冬季入口のみ開けられるようになっているが、面倒なので小屋の東側で風を避け休む。
歩いて来た道を戻る。
日が高くなるにつれ気温も上がって来たようで、大分寒さも和らいできた。
前小河内岳まで戻る。
ここからの塩見岳が素晴らしい。
塩見岳を見るならここがベストポイントだと思う。
富士山も日が高くなったせいで冠雪がきれいに見える。
烏帽子岳まで戻ると三伏峠小屋が見えて来る。
10:35テント場に戻る。
テントの撤収を始めるが、底の部分が結露で濡れてる。
いつもならそんな事は気にせずにどんどん畳んでしまうのだが、今日は時間があるのでテントを逆さまにして日に当てる。
20分程で結露は乾いたのでテントを畳み、パッキングを済ます。
11:30三伏峠を後にする。
水は行動分だけ、食糧は予備食だけとなってしまったザックはとても軽く感じる。登って来る時は水場が心配だったので水を3ℓも詰めていたし、おでんなどの重たい食糧も入っていたからだ。
7/10を過ぎると水場の前、この時期には涸れてしまっていると思っていた水場だ。心細い流れだが十分に水量はある。登って来る時ここで急にザックが重たく感じた所だ。
道は日の当らない北側斜面から日の当たる南側斜面へと変わる。
樹木の切れた場所から振り返ると、今朝登って来た小河内岳が青空をバックに望める。手前の黄葉したダケカンバも見事だ。
登る時はガスが懸っていて何も見えなかったが、ここでこんな景色を見られるとは思いも依らなかった。
シラビソの林を過ぎるとカラマツ林。
二日間で黄葉が進んだようで大分見ごろになっている。
13:30鳥倉登山口に降り立つ。
3人の親子が紅葉を見に来ていた、もう稜線は雪がありますよと話すと驚いていた。
後は退屈な林道歩きと思っていたが、豊口山の西側になると景色が一変した。
来る時に下山時が楽しみだと思った所だ。
これが自然の創り出す色かと思う程の極彩色の紅葉が眼に飛び込んできた。
赤や黄色の葉を日の光が透過して目に届く状態なのだ。
読んでいる方には解り難いと思うが、丁度ステンドグラスを室内側で見ていると思っていただければ良い。屋外からステンドグラスを見たのではあまりきれいではないが、それと同じ事がここで起こっていたのだ。
以下に写真をアップするが、デジタルだからと言って画像ソフトを使った訳ではないので断っておきます。(リサイズはしています)
この間のコースタイムは40分なのだが、紅葉があまりにもきれいなので写真撮影や肉眼での紅葉観賞を楽しみながら歩いた為、一時間も掛かってしまった。
14:30車のある駐車場に到着する。
数人のカメラマンがここから豊口山の紅葉を狙っていたが、皆口を揃えて紅葉はまだ少し早いと言っていた。
確かにここから見る紅葉はそんな風に見えるが、それは紅葉した葉から反射してくる色を見ているからだと思った。
今回予定していた聖岳は行けなかったが、諦めずに塩見岳へ来た甲斐がある。最後にこんな紅葉のご褒美まで用意していてくれたからだ。
また事前の情報収集の大切さも思い知らされた山旅だった。