マイカー登山の場合、入山点と下山点を同じ地点にしなければならないと言う制約がついてまわる。ピストンというのもあるができれば周回コースを摂りたい。そんな考えで日光の地図を眺めていると気になるコースが見つかった。
中禅寺湖周遊歩道だ。湖岸をぐるっと一周、コースタイムは約8時間程だ。
湖岸の道と言う事は標高差はほぼゼロだと判断、それならマウンテンバイクでも面白いのではと思い早速決行する。
立木観音(中禅寺)前の歌ヶ浜駐車場に車を置き出発する。
始めは道路を北に進み大鳥居を左折、国道を竜頭ノ滝まで走る。
二荒山神社前からは遊歩道があるが時間短縮ねらいで並行する国道を走って来た。
湖岸の道路を走る、男体山がきれい
竜頭ノ滝の先を左折すると遊歩道入口だ、ここからがMTBの出番、ギヤをおとし走りだす。
反時計回りにコースを摂ったので湖はいつも左側に見える事になる。
やはり湖岸沿いの道なので思った通りアップダウンが少ない。
始めはこんな感じの道を走る
新緑の広葉樹超しに見る湖がきれいだ。
ヤシオツツジも見ごろで新緑に彩りを加えている。
赤岩で木の階段が出てくる、ここは仕方なくバイクを担ぐ。
この周辺は少し地形が荒くバイクを転がして進む。
赤岩の階段は担ぎのポイント
少し地形が緩やかになり再びバイクに跨り進むと熊窪に到着。
ここで一息いれる。熊窪は静かな浜辺でまるでプライベートビーチのよう。
時間があればのんびり過ごしたいところだ。
まるでプライベートビーチのような熊窪
少し走ると団体さんに追いついてしまった、最後尾のツアーガイドらしき男性が前方に向かって「自転車が来たので道を空けて下さーい」と叫ぶ。
すると一斉に道を空けてくれた、が、なんとそこに現れたのは30m程の木道。
50人程のギャラリーの前を二輪車教習の一本橋のごとく通過しなければならない事になってしまった。
一瞬、躊躇するが思いきって走り抜け最後の段差もジャンプするように通過する。すると一斉に拍手喝采、(あーやってらんねぇオレは見世物か?)
その先もバイクに乗れる道が続き団体さんとは離れる事が出来、一安心。
急坂の上まで来ると下から母娘の二人が登って来る、二人が登り切るのを待ち軽く挨拶を交わしてスタート、三段の階段を降り一気に急坂を下る。
それはスキーで稜線からドロップインする感覚に似ている。
すると背後で「スッゴーイ!」の声が、(あーまたかよ)
つくづく土曜日に来た事を後悔する、平日ならばもっと静かに楽しめるのにと。
小さな坂を越えると千手ヶ浜にでた、数組のハイカーが散策していた。
ここからが難路(MTBでは)の始まりだった。
大小の岩や木の根が浮き出て梯子を伏せたような所や段差が続き、とてもバイクを乗れるような所ではなかった。
仕方ないのでバイクを転がして進むが、平らな道を転がすのとは訳が違う。
デコボコ面ではバイクを持ち上げ気味にしないと進まないし、道が狭いのでバイクと体が近付き過ぎて何度も足をペダルにぶつけてしまう。
大きな段差は当然ながら担ぎとなる。
こうなるとバイクは厄介な荷物でしかなくなる。
何のためにMTBで来たのか?自問自答が始まってしまう。
意味付けをする為に10m程の距離でも乗れれば強引に乗る。
北岸とは違い南岸はあまり人はいない、静かで良いがこの道がなんとかなってくれればと思う。シャクナゲがきれいで辛い気持を和らげてくれる。
相変わらず難路が続く、梵字岩の先に小さな砂浜を見つけそこで昼食を摂る。
夫婦らしき二人組が追い越して行く、先ほどから抜きつ抜かれつしていた二人だ。
白岩の展望台で追いついた、左から日光白根、太郎山、男体山と見渡せる。
白岩から見る日光白根山
難路はまだ続いている。
ヤシオツツジやシロヤシオがきれいだ。
ヤシオツツジ(トウゴクミツバツツジ)
松ヶ崎を通過する。
そして大日崎通過、どうやらやっと乗れるような道になって来た。
やはりバイクの起動力は徒歩とは違う、僅かな時間で上野島に着く。
阿世潟に近くなると気持ちの良い森の道になる。だだっ広い広葉樹の森でペダルも楽に漕げる、思わず鼻歌がとびだしてしまう。
自分で言うのも何だが、新緑の森を鼻歌唄いながらMTBに乗っている変なオジサンという図だ。
阿世潟はきれいな砂浜、男体山を見るにも良い場所だ。
変なオジサンが出現した広葉樹の森
阿世潟からは林道が始まる、砂利道だがスピードが上がる。
八丁出島を過ぎると半月山荘、ここからはデコボコなアスファルト道。
ギヤを上げグングン進む、イタリア大使館別荘前であの夫婦に追いつく。
こちらがあまりに来ないので心配してくれていたようだ、有りがたい事だ。
有料道に合流するとすぐに車の置いた駐車場に着く。
バイクを車に積み込み靴を脱いでいるとあの夫婦がやって来た、歩行速度は唯ものじゃない、かなりの健脚とみる。
横須賀から来たと言う二人、これから立ち寄り湯に寄り帰るようだ。
タイツを脱ぐと、膝から下が傷とアザで悲惨な状況だった、何度もペダルが激突した痕跡が今日の奮闘を物語っている。
今回の計画は単なる思い付きを実行、失敗か成功かと考えると両方の想いが交錯しすぐには結論が出そうにない。
時間が経てばどちらか印象の強い方が残り結果が出るだろう。
** このルートは遊歩道です。自転車の道ではありません。特に赤岩 **
周辺や湖の南西部は危険個所も多く、自転車に乗る事も出来ま
せん。アクシデント等が発生しても容易に救助が駆けつけられる
場所ではありません。どうしても乗りたい方は阿世潟から歌ヶ浜
間に留めましょう。
この記事は個人の記録としてお読みください。