2025年10月12日
折角のスポーツの日の三連休ですが
北側には秋雨前線が停滞して南海上には台風が
そんな微妙な気圧配置の中
唯一奇跡的に傘マークの付いていないのが
中信から甲州北部の僅かなエリア
という事で
久しぶりに奥秩父の甲武信ヶ岳を
訪れてみました
何時ものように前夜に現地入り
川上村毛木平の登山者駐車場で車中泊
気温は13℃
すっかり秋らしい気温の夜でした
翌朝、身支度をして
6:14
駐車場を出発
傍らの林道入り口が登山口
ゲートを抜けると毛木平の名の通り
緩やかな林の中に道が延びている
6:25
直ぐに分岐点が現れて
ここを十文字峠方面へと進路をとる
道は相変わらず緩やかな林道歩き
時折現れるヤマウルシやヤマブドウの紅い葉が
秋の訪れを感じさせてくれる
千曲川源流峡の橋を渡り暫く進むと
林道を逸れて登山道が始まり
道は涸れ沢沿いに緩々と上りだす
路傍には青い実を付けたトリカブトが幾つも
鹿の多い秩父山地
野草もこんな忌避植物しか残っていない
6:43
五里観音を通過
ここが嘗て信濃と武蔵を結ぶ
峠道であった事を物語る
貴重な石仏でもある
涸れ沢の道はゴツゴツの岩ガレ道
苔も生え濡れた石は滑りやすく
とても歩きにくい
そんな涸れ沢の道も最後の水場を過ぎれば
右岸の斜面を上る急登道に切り替わる
ここは八丁坂と呼ばれる急登道
右に左にジグを切って高度を上げて行く
キツイ登りに息が上がり
ここらで休みたいと思っていた頃に
程よいタイミングで
苔の密生するエリアが現れて
ここで暫しの撮影タイム
あちこちとカメラを覗いているうちに体力復活
残りの急斜面を何とか登り切る事が出来た
八丁坂を登り切ったところが八丁坂ノ頭
ここで暫しの休憩タイム
ウエア調整とエナジー補給をして
十文字峠方面へと歩を進める
道は尾根の南斜面に付けられたトラバース道
朝の木漏れ日の中を緩々と上って行けば
8:55
十文字峠へと辿り着く
そこから僅かに東へ辿ると十文字小屋
可愛らしい小屋が静かに佇んでいる
小屋を過ぎると緩やか尾根の上り道
言葉でそう言えば楽そうな道に思えるが
実際は木の根と岩のとても歩きにくい道
ただ、コメツガとシラビソとヒメコマツが
整然と生える黒木の森はとても美しい
そんな歩きにくい根っこ道は程なく終了
歩きやすい尾根道に切り替わる
ひんやりとした朝の空気の中
美しい木漏れ日が差し込んで
歩調も無意識に軽やかになる
だが、気持ちの良い道は長くは続かないもの
じきにクサリの下がる岩場が現れる
とは言えその岩場にはホールドがたくさん
アスレチック気分で三本の鎖を登り上げれば
10:01
大山の山頂へと辿り着く
山頂からは西上州の山々や八ヶ岳方面が望める
ただ、天気は予報通りのようで
関東平野は雲海に覆われて
秋雨前線のある北方は濃い靄の中
浅間山や北アルプスは望む事すら叶わなかった
一方、これから向かう南方には大きく三宝山
思ったよりも距離は有りそうだ
大山から急な斜面を下ると再び緩やかな稜線道
木の根や岩の露出はあるが概ね歩きやすい道
道は再び緩やかに登り返すと
10:56
そこは武信白岩山直下の巻道
山頂への登路は危険な為か今は封鎖中だ
随分前に一度登った事があるが
脆い岩質と心許ないホールドに
肝を冷やした覚えがある
展望は最高なんですけどね
せめて確りとした鎖でも
設置してくれればと思うのですが・・・
武信白岩山の先でクサリ場を登ると
小さな露岩部に出て
その武信白岩山が間近に望める
やはりここから眺めても
登行欲をそそられるピークですね
11:30
武信白岩山から鞍部へ下ると尻岩へ辿り着く
確かに、お尻といえば
お尻のかたちに見えなくもない
古の人たちが付けたユーモアたっぷりの名に
少しばかり気持ちも和む
尻岩から三宝山へ向けて登り返す
道は緩やか尾根道
じりじりと高度を上げて行くと
辺りは再び苔の道
シラビソ林の林床は一面の苔の絨毯
露岩や倒木の全てを覆いつくして
尚もその幹へと這い上がろうとしている
ここは苔にとって余程条件が良いのだろう
苔の森といえば
南アルプスや八ヶ岳が思い浮かぶが
ここもそれに引けを取らないほどの
美しい苔の森だった
そんな苔の森の道を緩々と登り上げると
12:50
三宝山の山頂へと辿り着く
ここは埼玉県の最高峰なのだが
名山などには選定されておらず
悲しいかなここを目指して来る人は少ない
ただ、ここは奥秩父縦走路の一地点
少ない乍らもここを通過する者はいるのだが
彼らにとってもここは単なる通過点に過ぎない
三宝山から甲武信ヶ岳へと向かう
樹林の中の道を下って行くと
樹々の切れ間から甲武信ヶ岳が見えてくる
本日の最終目的地まではもう少しだ
鞍部まで下ると
アップダウンを交えて緩々と登り返す
途中、甲武信小屋への巻道を分ければ
後は山頂へのビクトリーロード
結構な急登道ではあるけれど
不思議なことに山頂が近いと想えば
疲れが失せて気力も湧きだしてくる
人間とは本当に単純なものですね
13:33
甲武信ヶ岳へと到着です
山頂には三人の登山者のみ
ここは人気の頂きですが
午後のこんな時間になれば静かなものです
展望はまずまず
南海に台風が近付いている事を考慮すれば
今日の眺めは良い方でしょう
ここで千曲川源流域を見下ろしながら
のんびりと一休み
ここまで針葉樹林帯の中を歩いて来たせいか
山麓の紅葉には気付かなかったけれど
樹々の色付きをこうして眺めると
深まる秋を感じる事が出来たのでした
さて、下山です
山頂から西に向かって急傾斜の道を下ると
じきに傾斜が緩んで歩きやすい尾根道となり
14:11
程なくして国師ヶ岳との分岐点
ここを千曲川源流方面へ
道はジグを切りながら急傾斜で下って行く
14:24
程なくして水源地標前へと下り立つ
ここへ来るのは初めてではないので
今回は最初の一滴を見る事はパス
道は西沢沿いに緩やかに続いていて
気持ちの良い遊歩道歩き
西沢の流れを覗いて見ると
水底まで苔が繫茂している
これは豊富なミネラルを含んだ水が
安定した水量で流れている証
確りとした水源の森が保たれているせいか
大雨になっても増水などは無いのだろう
途中、湧水の染み出す斜面に
美しい苔の繫茂する場所を見つける
今日はたくさんの綺麗な苔を見てきたが
ここはそのどれとも違う雰囲気で
恰も人が手を入れた庭園のようでもある
暫し見惚れてしまった
15:36
このルートの貴重な目印ポイント
ナメ滝を通過する
道は右岸側へ渡ると斜面の高巻道へ
ここは崩落によって新しく付け替えられた道
ちょっと歩きにくい感はあるが仕方ない
道は再び左岸側へ戻って沢沿いを下って行く
林相は何時しか広葉樹の森へと切り替わり
一足早く色付きだしたカエデを愛でれば
徐々に谷幅も広がりだして
遊歩道は林道へと吐き出される
後はこの林道を辿るだけ
今朝、分かれた十文字峠からの道を
右手から合わせれば
登山口は僅かな距離
17:11
毛木平の登山者駐車場へと到着です
久しぶりの毛木平からの甲武信ヶ岳
季節の変わり目の微妙な天気でしたが
美しい苔にも出会えて
充実の山行となりました