小井塚千加子さん
 
 NHKラジオの「明日へのことば」の番組を、若い人の目に留まるかと思われ投稿を続けていられる方の<明日へのことば>というブログを元に編集しています。
 

 

2018年12月11日火曜日

 

小井塚千加子(NPO法人MMA 事務局長)

 

 ・【人権インタビューシリーズ】人生を変えるファンデーション
 

 メディカルメイクとは皮膚の変色、傷害、事故の傷跡などをファンデーションを使って自然に隠すメークアップ技術の事です。小井塚さんも顔に生まれつきのあざがあります。自らも悩みながら20代の頃からから肌に疾患がある人達などに寄りそって来ました。17年前NPO法人メディカルメイクアップ アソシエーションの設立に携わって、講演会などを通じてメディカルメイクの普及に努めています。

紹介のあと、お話が続きます。

 

 生まれつきあざがあったり、交通事故で傷になったり火傷になったり、皮膚の色が変わっているところにファンデーションを付けて分からなくする技術です。黒いあざなど簡単に隠れてしまいます。
病院で治療している途中に、このファンデーションを使いなさいとか紹介いただいています。

 

 一番最初に来たのは広島の原爆乙女の人がアメリカに治療に行った時に、アメリカで教えて貰って、1セット持って帰りました。メディカルメイクアップというものがある事が分かりました。アメリカで黒い肌の人が真っ白くなる技術があることが分かって、この製品が最初に入ってきました。
 

 私は顔半分にあざがあり、中学の時にはじめてファンデーションの事を知りました。高校卒業後にデパートに行って、やってもらった時に凄く厚化粧されて、黒いのが隠れて良かったと思う反面、こんなに厚くしなければいけないのかと思って、このメーカーに入ってしまえと思ったのが動機でした。
 

 私は顔の半分はあざになっています。中学の時には目の周りだけでしたが、高校卒業するころは顔半分になりました。講演会などにはテーマがあり、白斑の時には、その方々及び関係の方が来ます。接する時には相手の身になることだと思います。

 赤ちゃんのお尻にある蒙古斑が顔に出たと母が言っていました。治療はドライアイスを皮膚に当ててやけどをさせて皮を剥いていくという方法でした。傷が残るので先生がメディカルメイクアップを教えてくれました。

 

 明るい子ではあったと思うが、子供時代のことはあんまり覚えていないですね。表面上明るくふるまっていたという事があったと思います。友達とはあまり深入りしたくないという事があったと思います、そうすると顔の事を言わなければいけないし、しょっちゅう会わなければいけないという事があったと思います。
 

 素顔でいた時の自分の気持ちは、今お母さん達にも言えるし子供達にも言えます。保育士になりたいと思って、保育専門学校に行きました。メディカルメイクアップに出会って、黒い所が白くなったので嬉しいと思った。壁みたいだから(凄い厚化粧)一緒に行った姉は帰ろうと言いました。保育士は素顔の人が多くて、化粧をしていたのは私だけでしたので、化粧が子供の洋服についてはいけない、触られたら取れてしまうという事を絶えず考えていて、合わないなあと思いました。

 このメーカーに入ってお化粧を上手になろうと思いました。(20歳)症状をカバーするメイクアップアーティストの部署に入りました。同じ立場になってものが考えられるので、共有できる部分がいっぱいあるわけです。あざに関する悩みの部分、あざの人の多さなどが分かりました。悩みは計り知れないと思う、手紙、電話などで相談するのはまだ救われると思うが、相談もできず引きこもってしまう人などもいます。

 

 聞いてあげることが一番かと思います。色々悩みを聞いてきましたが、会って相談するという事が一番かと思います。NPO法人メディカルメイクアップ アソシエーションの設立に携わりました。(51歳)化粧の仕方だけでなく、悩みを聞いてもらいたい、製品販売ではなく指導を中心にやろうと思って2001年に開設しました。一日4名程度来ます。中学からポツンポツンと出てきて、20歳過ぎてほぼ全身白斑になってしまって、どうやってこれから生きて行こうかと言う人にも出会いました。

 何気なく「アッ」と言われたりするが、言われた方はショックなので見せない方がいいなということと、相手にも不愉快させたくないというのが、メディカルメイクアップだと思います。メイクをしないで生きることは、私としては生きずらいです。症状などは違ってきても、昔から悩みの内容は変わらないです。隠させてあげられたという喜びはあります。

 

 昔は分からなくて相談に来ることが多かったが、ネットなどで購入して色々経験して最期に相談に来る人が多いです。一度隠すと素顔が出せないという悩みがあり、自分の欠点を出せないということはあると思います。
 

 日本人は肌に対して、皮膚に対して敏感で、なくなってくれればいいと思うが、人と違うところをあまり気にしないで欲しいというところもあります。かける言葉ではなくて、黙って寄り添うしかないのかなあと思います。
 

 人と同じでなくてもその人の個性としてみとめてあげましょう、ということではないかと思います、違っても異様な目で見ないでほしいということではないですかね。
 

 私はメディカルメイクアップ で人生を変えられたので、悩んでいる方は是非一歩前に進んでもらいたいと思います。

キラキラ     キラキラ      キラキラ      キラキラ      キラキラ      キラキラ