あおいです。
夫から、夫の考える偏差値の概念についての説明を受けた息子は、落ち着きを取り戻していきました。
本当は、地区外の高校へ通うことになっても、今と同じ環境になってしまうのじゃないかと、不安で仕方がなかったのだそうです。
一人暮らしが不安、というのは、問題が発生したときに私が側にいないからだそうで…まぁ、電車で2時間もあれば駆けつけられるんだし、今はオンラインでお話が出来るからね…
さて。
偏差値の概念からすると、実は地元の高校でも問題なさそうだと判明し。
息子の志望校選びは、10月にして振り出しに戻りました。
正直、私はもう、どこでも良くって。
もしも勉強について行けなくて自信をなくしてしまうのが心配なら、上位の公立高校を失敗した生徒が集まる私立高校でもいいのかな、と思っていました。
ただ、息子自身は、もう少し心境が複雑なようでした。
それは、学校の先生にも、塾の先生にも「地区外の高校を志望する」と告げ、そして「応援してるよ」と言われた以上、やはり、その期待に応えたい気持ちが芽生えていたからです。
地元の高校へ通うなら、その分、お金も浮くし、家事に手を取られないメリットもあります。
大好きな塾の先生方とも別れずに済むし、新しい塾の友達と同じ学校へも通えます。
でも、高校から一人暮らし、などという得がたい経験を捨ててしまって良いのか、という葛藤もありました。
人と違う経験を積めるチャンスを手放したくないのです。
「お母さん、僕の目の前には、古い空気清浄機と、新しい空気清浄機があるんだよ。
古い空気清浄機は、ちょっと前に故障してしまって、使えなかったんだけどね、色々とメンテナンスを重ねたら、また、動くようになったんだ。
古い空気清浄機は、とても愛着があって、見るだけで懐かしく感じる。
あまり正常には動かないんだけど、手を加えれば加えるほど、頑張って動いてくれるんだよ。
周りの人たちも、古い空気清浄機が故障しないように、見ていてくれるんだ。
新しい空気清浄機は、もう新型だけあって、高性能なんだよね。
だけど、新型だから値段も高いし、初期不良の心配もあるんだよ。
故障しちゃったら、きっと僕では対処できなくて、もしかすると、もっと費用がかかってしまうかもしれないんだ。
修理が不可能なこともあるかもしれない。
部品が新しいから、誰もどうなるかが分からないんだよ。
だから、今、とても不安。
だけど、僕は分かってるんだ。
古い空気清浄機は、結局は古いから、だましだまし使っているに過ぎないってことを。
もともとの機能はほとんど使えないってことを。
そういうのがイヤで、新しい空気清浄機が欲しいって思ったことを。
お母さん、大変だと思うんだけど、やっぱり僕は、地区外の高校に進学しようと思ってる。
まだまだ一緒に暮らせるかもって、期待させて、本当にごめんね」
そういうことで、息子の公立高校の志望校は、当初の予定通り、地区外の高校に決まりました。