あおいです。
帰宅した息子は、いつも通りの様子でした。
「極力、ジョニーのことは考えない、今のクラスメイトは誰のことも信用しない、明日のカウンセリングで何もかも言ってくる、だからお母さんは心配しないで」
ピシャリと言われました。
でも、その夜もなかなか眠ることは出来ず。
消えない怒りを持てあまして泣いてしまいます。
「僕、思うんだよね。
相手を許すことが出来ないと、イヤなことを忘れることが出来ないんだよね。
だからそれでフラッシュバックが起こって、何度もあのイヤな場面を体験するんだ。
これって、精神を削られてしまうから、イジメられた人は自殺に追い込まれてしまうんじゃないかって思うんだよね」
深刻です。
何があったのか知らないフリをしながら、ジョニーくんが取るに足らない人物であることを言うことが精一杯でした。
所詮は「パリピ」と言っても田舎の「パリピ」です。
「パリピ」でイメージするアゲアゲな行動をしてみたところで、まぁ、ダサいんです。
取り巻きどもは、今でこそ祭り上げてくれているけれど、結局は子どもっぽい「パリピ」を見捨てる日がやってきます。
見捨てられたくなければ、自分自身が成長するほかないけれど。
ジョニーくんの考える「パリピ」のイメージが貧困なので、陽気に騒いで上から目線、という態度から抜け出すことは難しかろうと思うわけです。
「お母さんはね、そういう点では、ジョニーくんも取り巻きどもに消費される気の毒な男だなと思うわ、実際に、参観日で騒ぐの、男ではジョニーくんだけじゃん、ほかの子たちは沈没する船から逃げ出している感じ」
「なるほどね」
「例えは汚いけど、まぁ、う〇こみたいな存在よね、堆肥として役に立つってもてはやされても、農薬の開発によって無用のものとして見捨てられちゃう、みたいな」
おどけて言うと、ようやく息子は「そうかも!」と言って眠りにつきました。
翌日も、Mくんと2人で学校へと登校しました。
スクールカウンセラーとの面談を終えた息子は、実にご機嫌な様子で帰宅しました。
「ちゃんと相談できた?」
「うん! ジョニーに言われた内容も含めて、今のクラスが嫌いなことや、学校が無理っていう話までしてきた!」
「そうかー」
「やっぱり、カウンセラーの先生は話しやすいし、僕のこと心から褒めてくれるし、人の悪口言っても僕のこと責めないし、本当に安心する!」
「そうかー、良かったね」
「うん! また話したいことがあったら予約入れてねって言われたから、そうするつもり!」
前回同様、細かい内容は当然のように教えてくれませんでしたが、息子の独特な感性を否定せずに「素敵だね!」と認めてくれたようでした。
「だから、僕はやっぱり、今まで通り、誰にも支配されずに行動する。ジョニーのことは、どうでもいいし、僕は頑張って希望する高校に行きたいし」
その日の夜からは、もう泣くこともなく、いつもの時間に眠れるようになりました。