あおいです。
とても長いです。そして解決してません。
息子がお金を貸した相手Aくんは、高校1年生の時のクラスメイトでした。
古い言い方をすれば一軍男子で文武両道。背も高くオシャレで目立つ存在でした。
高校3年間で息子がAくんを良い奴だと言った記憶はありません。
良い奴ではないけど、でも息子の認識だと普通に仲良くしていたらしいです。
息子と同じ部活をしていた女子の話では、Aくんは思春期らしく鬱屈した何かを抱え込んでおり、真面目すぎる人間や強くなさそうな女子にウザ絡みをして楽しんでいる迷惑なヤツでしかない、という評価でした。
そんなAくんは、息子より偏差値にして20も高い大学へと進学していったそうです。
一方、やさぐれて諦めて今の大学を選んだ息子は「今の大学で友だちは作らない」と言って、サークルにも入りませんでした。
これが、まぁ、今にして思えば良くなかったんでしょうね。
いえ、結局、友だちは出来たんです。
みんなで旅行に行ったり、授業の課題を融通し合ったりするような、そういう友だちは出来たんです。
でも、息子のコンプレックスが今の大学の人間関係を肯定出来なかったんでしょう。
1年の前期の終わり頃、突然、Aくんからラインが来たそうです。
息子からしたら、希望する進路を掴み取った天上人のような人だったんでしょうね。
そんな彼が「本当は俺、大学に行きたかったわけじゃなくて、起業したかったんだ」「今の大学の奴らは入ることが目標になってて向上心もないし、よっぽど資格試験に合格するために行動できてるお前のほうが立派だよ」「だから俺も行動する、起業する」とまぁ、息子の気持ちをくすぐる言葉を連ねたわけです。
そしてAくんは起業したんですが、怪しいセミナーに参加して騙されて、お金を失ってしまうのですよ。
でも、諦めたくない、再起したい、応援して、お前が俺の一番のファンになって!
…などと言われ、その気になるんです、息子は。
Aくんは起業を許さず大学へ行くよう強要したご両親を恨んでいて、反発するかのように進学後タトゥーを入れたそうです。
それがバレて、勘当されて、だから親に頼るなんて出来ないと言ったそうです。
そしてお金を借りるにしても、キレイなお金を借りたいんだと言ったそうです。
投資や怪しいバイトなんかで生み出された金は汚れていて、自分の起業理念とは合わない。
だから、純粋に応援してくれる人の、僅かだけどキレイなお金に価値があり、その価値で自分も頑張れるって言ったそうです。
あと、大人はどうしたって邪魔をしてくる汚い存在なんで、ほんと、誰にも俺のこと言わないでってお願いされたそうです。
ラインのやり取りもお金の履歴(ペイペイ経由)も消して欲しい、という懇願もオマケでついてきました。
その全てをまるっと信じた息子は、ただしラインも金銭のやりとりの履歴も証拠として保存したまま(相手には消したと嘘をついている)ダラダラと金を貸し始めてしまうんですよ。
まぁ、大人なのでね、これは詐欺だろ、って思うんですよ。
でも、息子は友だちと呼ばれる存在に褒めてもらいたくてたまらないという、そんな欲求がとても強い人です。
Aくんの言葉に満たされて快感を得ちゃったんだろうな、そういうのに騙されちゃ駄目だって私も夫も言っていたけど、どうしても息子の骨身に染み渡らせることが出来なかったんだな、と思いました。
で、極めつけが、これまで借りた金を耳を揃えて返しに行くって言ったんです、Aくんが。
ところが、なんとAくん、事故に巻き込まれて入院しちゃって、約束の日に行けないって言い出したわけですよ。
そのあとは、急な入院のせいなのかラインも未読のまま、約束の返済期日を迎えた、という顛末です。
息子はこの話を白状したあとも、Aくんの行為を詐欺だと思いたくないようでした。
私は、息子に、Aくんの論理展開の全てが、あなたの祖父でもある私のクズ父の言い分にそっくりだから、お金は返ってこないと思うよ、と伝えました。
大学に合格したということまでは、もしかすると本当かもしれないけども。
特に親に見放された、勘当された、という話や事故に巻き込まれた話は、嘘か盛ってるかのどちらかだと思うし。
息子が周りの人たちに真実を開示し始めたところで、Aくんのほうが上手だから逆に評判を貶められるかもしれないし。
法的に動かない限り、こういう奴は返済してくれないけど、金額的には弁護士さんに頼むかどうか微妙なラインかもしれない。
資産がないって開き直るパターンもあるし、疲れるよ? 諦めたら? 恨まれても面倒くさいよ?
というようなことを私から伝えまして、それをまぁ、夫に強く叱られたという流れでした。
こちら側が赤字になっても、ここは戦うべき場面。
詐欺にあったことは別に責めない。
今後は家族に相談してもらいたいし、変な見栄とか恥ずかしさを持たないで欲しい。
間違ってもいいから、間違いだと気が付いたら訂正する勇気や力を付けていって欲しい。
だから、そのために、今回の債権回収にかかる費用は親から出すから、まずは弁護士を探してきなさい。
オオゴトにして可哀想? そんなことはない、やるべきことを息子がやらなかったせいでAくんが今後別の誰かを騙してしまったら、息子はきっと後悔してしまう性格だと思うから、とりあえず法的にキッチリ追い込もう。
と、夫に言われ、息子は前に進む力を得たようでした。
さすがに弁護士はこちらで探そうか? と伝えましたが、どうやら大学に法律事務所があるそうで、まずはそこに相談するという話でした。
この件が解決したら、また、その時に書ける範囲で書こうかなと思います。
正直、親御さんに電話するだけでも解決しそうな気はしていますが、Aくんの背後に悪い大人が隠れているかもしれませんしね、弁護士さんにお任せしたいと思います。