出会い系サイトで初めてご対面したのは、5歳年下で不動産関係の仕事をしている人だった。
プロフィールに写真はあったけどスーツ姿のカオナシで、気軽に誘える飲み友達が欲しいというようなことが書いてあった。
返信は遅めだったが、すぐに会いたいとか連絡先交換をしたがる男性が多い中で、ガツガツしてないマイペースなところが逆に好印象だった。
3ヶ月くらいやり取りしてから食事に誘われる。
主婦なのに夜も出られると答えたらちょっとびっくりされたけど、彼の仕事帰りに会うことになった。
またしても写真交換しないまま約束の日になってしまい、チラリと前回の悪夢のご対面が脳裏をよぎるが、仕事帰りでスーツならそんなにがっかりすることもないだろうと覚悟を決める。
待ち合わせ場所には男性の方が先についていて、「着きました」のメッセージと共に「ここら辺にいますと」と目印を教えてくれた。
ミディアムヘアにインテリメガネをかけたお洒落な男性だった。
何事もなく初めましての挨拶ができて内心ホッっとして、予約してあるというお店に向かう。
お店は隠れ家っぽい雰囲気のカウンターだけのお寿司屋さんだった。
まずはビールで乾杯し、なんでも飲めると答えると喜ばれ日本酒を頼んでくれた。
二人とも飲んでもあまり顔に出ないタイプで、お互い「強いですね」と言い合う。
お寿司もお酒も美味しく会話も弾んだ。
男性の落ち着いた物腰のおかげか年齢差はあまり感じなかった。
L字型のカウンターの向こう側に私と同年代くらいのカップルがいて女性と度々目が合う。
なんとなく夫婦ではない雰囲気で、あちらもこちらの関係を推測っている様子で内心苦笑い。
あがりのお茶の後化粧室に行ってる間に彼がスマートに支払いをしてくれていた。
次は私が払おうとバーに行ったけど、結局彼に先回りされてしまう。
「周りにお酒を飲める女性がいなくて今日は楽しかったから」と言うので、ありがたくご馳走になることにした。
彼とは違う路線だったのに私の路線のある駅まで送ってくれた。
「また美味しいものを一緒に食べにいきましょう!」と笑顔で別れた。
考えてみたら初対面なのにいきなり夜に会ってお酒も飲んで、我ながら大胆なことをしたなと思うけど、最後まで紳士でスマートな男性だった。
(つづく)