家に戻ってもまだ頭の中が混乱していた。

 

サイト上の男性と現実の男性と、別人かと思うくらい印象が違いすぎてショックだった。

半年もやり取りしてしてたのに、メッセージの雰囲気だけで勝手に想像を膨らませすぎたと一人反省会。

 

少し落ち着くと男性の不可解だった行動を思い出す。

 

サイト外の連絡先は聞かれなかった。

写真交換はしない主義と言っていた。

待ち合わせ場所に着いた時近くには誰もいなかったのに、私が「着いた」とメッセージを送った途端降って湧いたように現れた。

 

もしかしたら先に着いてて、どこかに隠れて見ていたのだろうか?

私の容姿が彼にとって「アリ」だったので慌てて飛び出してきた??

連絡先も写真も交換しなかったのは「ナシ」だった場合に備えて???

 

男性からまたメッセージが届いていたけど怖くて開封できなかった。

 

こうして約半年にわたる初めてのネット恋愛は、出会い系の強烈な洗礼を受けてあっけなく幕を閉じた。

 

 

だいぶ経ってから、ふとあの時未読のままだったメッセージを思い出す。

男性はもう退会してしまっていたけどメッセージを読むことはできた。

 

「今日はとても楽しかった。会ってくれてありがとう。」

 

(サイト上では紳士的で素敵な人だったのに・・・)

 

もし会わずにいたら、良いお友達のままでいられたかもしれない。

 

 

(了)